評価される仕組みが構築しづらい現場監督。その課題感を払拭するためのアナタカラ建設様の評価制度とは。

株式会社アナタカラ建設
株式会社アナタカラ建設
業種
建設工事業
従業員数
25名

専務取締役 / 中村 健二 様

建設工事事業を展開しているアナタカラ建設。今回は、THANKS GIFT導入の経緯や活用方法、その効果について、専務取締役である中村様にお話を伺いました。

 

 

見えない価値への評価基準を定めたいと導入を決意

‐はじめに、御社の事業内容についてお聞かせ下さい。

中村 様:
私たちは建築をメインに行っています。建設業と聞くと「モノを作る」というイメージがあると思いますが、私は「公共物や大きなビルなどのパブリックなものを作る仕事」と「個人の住宅などのパーソナルなものを作る仕事」の2種類に分けられると考えています。

アナタカラ建設は、主に個人のお客様や分譲販売を行う不動産会社さん向けに戸建住宅の建築を中心に行っています。お客様とかかわりも多いため、建設業のなかでも比較的サービス業に近い立ち位置だと思います。

 

-では、事業を行ううえで、どのような課題があったのでしょうか。

中村 様:
1つ目は、コミュニケーション面です。一般的な工務店や建設会社は、現場監督や大工さんが集まっていますが、私たちの会社は設計から積算、工務、事務など、さまざまな職種のスタッフたちと仕事をします。それぞれのポジションがひとつのプロジェクトに対して同時に進行していき、その中で様々なやり取りが発生しつつ完成に導いていきます。

ただ、私のようないわゆる「ディレクター」という立場から全体を見ると、上手くコミュニケーションがとれていなかったり、接点が少なかったりと感じる場面もありました。そのため、並行に進行する各ポジションの線をポイントでつなぐような、線の幅を広げて各ポジションの線の隙間を少しずつ寄せていくようなツールを探していたのです。

2つ目はスタッフの、評価面です。「可変的かつ数値化できないもの」をどうやってフラットに評価していくかという部分が課題でした。

人間が持っている能力には、「不変的」「可変的」なものと、「数値化できる」「数値化できない」ものに分けられると考えています。「不変的かつ数値化できる能力」は、営業成績や業務効率など、単純に順位が付けやすい。一方、「可変的かつ数値化できない能力」とは、人間性やキャラクターに近い部分であることが多いため、目に見えにくく、評価する人の主観が入りやすい傾向があります。
この評価しにくい部分をフラットに評価するためには周囲と比較すること、つまり「相対評価」が必要です。それを行うために、そのエビデンスになるものがないかとずっと考えていました。

-そのように感じる要因として、業界的な問題点などはあるのでしょうか。

中村 様:
他の業界もそうだと思いますが、慢性的な業界の課題として、「人手不足」があります。「人材の獲得」はもちろんですが、それと同時に、「人材の連携による効率化」をどう向上させるか?も並行して進めなければならないと考えております。

また、建設・建築業界は、体を使うだけでは成り立ちません。頭と身体の両方使えて、かつコミュニケーション能力が高い人材が求められます。しかし、そのような人はどんな業界に行っても成功するでしょう。

では、どうすれば「そのような人材」に選ばれるか?なぜ選ばれにくい業界なのか?と考えたとき、それは、「やった分だけの評価がされない」からなのでは…と思いました。営業職であれば売上げなどの数字で測れる部分がありますが、現場監督やモノづくりの現場は点数を付ける方法が、あまりありません。そのため、評価されない環境で、ひたすらストイックにやっていくしかない状況です。

もちろん「お客さんが喜んでくれるだけでうれしいです」という考えもありますが、「それだけでは物足りないのではないか」ということですかね。そこで、私はストイックにやっている人を正当に評価したいとずっと考えていました。このような課題があるなかで、THANKS GIFTはイメージにピッタリのツールでした。

 

 

「可変的で測れない能力」を測るため、THANKS GIFTのポイントを偏差値化して運用

-では、現在の運用方法についてお聞かせ下さい。

中村 様:
運用に関してルールは設定していません。強いて言うなら「登録したら必ず1回はコインを送ってもらう」というぐらいでしょうか。もし、1回も送っていない人がいたら、「自分に1枚送ってくれ」と伝えています。送る時間に関しても決まりはなく、忘れないために早めに送る人や、気付いたときにまとめて送る人もいます。

コインは、「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」に分けて運用していますが、どのコインを送るかは自由としています。実際に、ゴールドばかり送っている人もいれば、ちゃんと分けて使っている人もいて個性が出ていますね。

このように規定がなくても運用できているのは、オープンな環境で送り合っていても相互監視ができているからだと思います。また、THANKS GIFTを評価に活用し、賞与にも反映させているので、この部分が大きいのかなと思います。

 

-差し支えなければ、その評価の内容について詳しくお聞かせ下さい。

中村 様:
先ほどの「不変的かつ数値化できる能力」と「可変的かつ数値化できない能力」を数値としてそれぞれ算出し、標準偏差にかけて偏差値化しています。
前者の数値は、一定期間における施工物件数や勤務時間数などの数字を分析しています。この方法は、1年半ほど続けて、やっと形になったかなという感じです。

THANKS GIFTを活用するのは、後者の能力を数値化する際です。コインをもらった数、コインを送った数、もらったコインや私が投稿した記事に対する「いいね」の数を、独自に数値化しています。

この評価を導入するため、3月頃に全スタッフの前でデモを行ったところ、「この評価、めっちゃあたってます」と好感触でした。恐らくですが、皆この会社の中でどの位置にいるのか、偏差値50以上か以下か、ということが知りたかったのだと思います。

 

 

賞与や面談の内容に盛り込むことで、目に見えにくい部分の可視化を実現

-その評価を始めて、どのような変化があったかお聞かせ下さい。

中村 様:
偏差値を書いた「通知書」をもとに、各スタッフと面談を行っています。一人ひとりの働き方が見える化できるので、ピンポイントで伝えられるのが良いですね。

なかには、コインをたくさんもらっているのに贈呈数が少ないスタッフがいました。本人に話を聞くと、「頼まれたものは断れず、人を頼れない」という性格から来るものだとわかりました。「人に頼み、断る勇気を持ちましょう。そうしないと数年後に悪い結果が出てしまうよ」と伝えました。

また、もらったコインにリアクションをしていないスタッフもいました。自分の承認欲求を満たすために仕事をしていたことがわかり、「このままでは自分勝手だという評価になってしまう。次の半年は意識してみましょう」と伝えました。

その後の様子を見ていると、断れない性格のスタッフは贈呈数のランキング上位に来るようになり、承認欲求が先に来ていたスタッフも、もらったコインに対して「いいね」を押すようになりました。今までなかった動きが生まれたら十分だと思っているので、そういう結果が出てきたのは良かったなと思っています。

-その他の部分で、THANKS GIFTが良いと感じた点を教えてください。

中村 様:
「ありがとう」をコインに置き換えているツールなので、送ることを催促できる点が良いなと思っています。「ありがとうって言ってよ」とは言いにくいですが、「コインちょうだい」や「コイン送って」は笑い話(ノリ)で比較的言いやすいんじゃないかな?と。そこが大きな変化だと思います。

これは個人的な見解ですが、ビジネスにおけるチームワークの正体は、ぶっちゃけたところ「貸し」と「借り」だと考えています。そのため、コインを送り合うことで貸し借りができ、結果的にビジネスで通用するチームワークにつながると思います。このチームワークは職場環境にも直結する部分があるはずです。

また、THANKS GIFTは、目に見えない部分の何かに「目盛り」を付けるためのツールだと考えています。導入によって測れない部分の「可視化」が実現しました。今後はそれを活かした、各メンバーの効率的な弱点克服が目標ですが、既に成果は出てきております。

 

 

きちんと評価を行うことで、少しでも居心地の良い会社に

-最後に、今後の目標などがあればお聞かせ下さい。

中村 様:
仕事が「生きがい」であったり、好きな人もいれば、仕事なんかしたくない!と思っている人も、正直いっぱいいると思います。当然です。ですが、「家族のために」とか「趣味のために」とか、個人的には働きたくなくても、やらなきゃいけない理由があるのなら、それは結局、大きな視点で見れば、「やりたくてやっている」と言えるのではないかと思うんですよね。
どんな経緯であれ、「仕事をしよう」と思っている人が「アナタカラ建設に居たい」と思ってくれて、そういう人たちをきちんと評価することで、そういうメンバーが居心地の良い会社になれば良いなと思っています。

-本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!