日本新薬株式会社 ウェルビーイング推進とTHANKS GIFT活用に関する取り組み事例(2020年 THANKS GIFT導入)

日本新薬株式会社
日本新薬株式会社
業種
医薬品・機能食品の製造及び販売
従業員数
(2024年3月末時点、連結)2,213名

(写真中央)人事部 部長 中西 陽子 様/ (写真左)人事部 ウェルビーイング推進課 課長 吉田 直美 様/ (写真右)人事部 人事課 馬場 可奈子 様

自分の幸せは自分が責任を持つ必要があると考え、健康経営のゴールにウェルビーイングを設定

-ウェルビーイングや健康経営の取り組みの概略について教えてください。

吉田様:健康経営やウェルビーイングの取り組みの土台にあるのがウェルネス、心と体の健康です。
これにより安全が確保され、幸せな状態でいられます。
健康は健康診断やストレスチェックで測定できますが、幸せかどうかは確認しませんよね。ですが、幸せはとても重要なものです。業績が上がったら社員が幸せになるのではなく、幸せな社員たちが業績を上げてくれると信じているからです。だから私は、ウェルビーイングに取り組むことを会社に提案しました。また、「自分の幸せは自分が責任を持つ必要があるのではないか」と考え、健康経営の取り組みのロードマップの最終的なゴールをウェルビーイングに設定しました。
その後、2021年10月には社長がウェルビーイング宣言を発出するに至りました。ウェルビーイングは会社だけが作るものではなく、また社員に押し付けるものでもなく、会社と社員が一緒に創り上げていくものだという趣旨の宣言です。

ウェルビーイングの3つの軸を元に取り組みを展開。まず取締役からウェルビーイングを発信

-ウェルビーイングに関する具体的な取り組み内容について教えてください。

吉田様:ウェルビーイングに関する取り組みは、「ウェルビーイングについて理解を深める」「周りのウェルビーイングを知る」「自分のウェルビーイングを知る」という3つの軸で展開しています。

まずは「ウェルビーイングについて理解を深める」ことに取り組みました。人に感謝を伝えるという行為はウェルビーイングに直結するため、活動の初期にTHANKS GIFTを導入し、活用を開始しました。
次に「周りのウェルビーイングを知る」取り組みとして、取締役のウェルビーイングに関する全17回のインタビュー記事を発信しました。
その後、「自分のウェルビーイングを知る」ことを目的に、社員にも毎月社内のイントラに「自分の嬉しい事」の写真を掲載してもらいました。

さらに今年度からは、慶應義塾大学大学院の前野 隆司教授が開発した「Well-Being Dialogue Card」(トランプ型対話カード)を活用して、業務では関わりのない人とウェルビーイングについて語るワークショップを開始しています。
ウェルビーイングの取り組みには正解やゴールがないので、色々と考えながら様々な施策に取り組んでいます。

ウェルビーイングの取り組みに指標を設け、定点で観測。組織作りに活かす

-健康経営やウェルビーイングへの取り組み開始後の具体的な成果について教えてください。

吉田様:現在、ウェルビーイングの活動効果を測る一つの指標として、エンゲージメントサーベイにおける肯定的な回答率を参考にしています。
この数値は他社と比較して高い水準にあるため、維持することを目指しています。
また、多くの人に毎月幸せ診断に回答してもらい、自身のウェルビーイングを定期的に振り返ることも目標に掲げています。

様々な切り口でウェルビーイングへの理解を促すことで、徐々に社内に浸透

-ウェルビーイングの取り組みに関して、従業員の方からはどのような反応がありましたか。

吉田様:健康経営やウェルビーイング宣言には、多くの良い反応がありました。経営陣からも「ぜひやってください」とお声掛けいただきました。
一方で、社員からは「目の前の業務が忙しく、ウェルビーイングについて考える時間が無い」という声もありました。
誤解されがちですが、ウェルビーイング=楽しいこと だけではありません。会社の業務に一生懸命取り組むこともウェルビーイングの一つです。ウェルビーイングについて正しく理解してもらえるように発信し続けます。

中西様:吉田さんがウェルビーイングの活動を開始した頃、私は人事部ではなく開発部門でハードな働き方をしており、幸せについて考える時間はありませんでした。
そんな中、京都大学でウェルビーイングを専門に研究をしている内田 由紀子教授が社員向けに講演会を行い、人事部メンバーが熱心に広報していたため参加しました。内田教授の「誰だって幸せになりたいでしょう」という言葉が心に響き、ウェルビーイングへの見方が変わりました。人事部が様々な施策を行うことで、社内への浸透が深まったと感じます。

また、すべての社員が目指す行動・態度・意識を言語化した「NS Mind」が策定されました。その中には「人々のウェルビーイングな未来のために行動しよう」という趣旨の文言があり、自分や相手、社会のウェルビーイングについて素直に考えるきっかけになりました。

コロナ禍の孤独感の軽減のため、感謝や賞賛のやりとりをオープンに行える「THANKS GIFT」を導入

-ウェルビーイングの取り組みの一環で導入いただいた「THANKS GIFT」の導入背景やTHANKS GIFTに期待していた事について教えてください。

馬場様:THANKS GIFTを導入した2020年は、コロナ禍で緊急事態宣言が発出され、全員が在宅勤務を行っていました。
当時の社内コミュニケーションツールはメールや社内掲示板など、業務に関する一方通行のものしかありませんでした。
対面のコミュニケーションが取れないなか、孤独を感じる社員が増えることを懸念し、感謝や称賛の気持ちをオープンな場所で伝え合える場をつくる検討が進められました。

THANKS GIFT上のやりとりは全社員に公開されているため、業務上関わりがなくとも、社内の人と人の繋がりを感じ、感謝や称賛のメッセージを目にすることができます。

緊急事態宣言が解除され、対面でコミュニケーションを取れる場面は増えましたが、心理的安全性の高い組織風土を醸成していくため現在も継続して利用しています。

日本新薬様で実際に送付されたコイン事例

コインに行動指針を紐づけて運用。やりとりも業務の内容に閉じず、幅広く活用を促している

-THANKS GIFTの運用方法について時系列で教えてください。

馬場様:導入当初は業務内でのみ活用し、コインもシンプルに感謝を伝える「ありがとうコイン」と称賛を伝える「拍手コイン」の2種類のみでした。
その後、運用を変更し、業務外の活動に関してもTHANKS GIFTを利用できることにしています。
社員に利用は促しているものの、あくまでも任意で、自発的に使ってもらえるようにしています。

2023年の「NS Mind」策定後は、「拍手コイン」を「NS Mind」の3つの視点から「自分に本気コイン」「相手に本気コイン」「社会に本気コイン」に置き換え、合計4種類で運用しています。

新しいコインを作成した際に、掲示板に投稿したニュース

まずは「THANKS GIFT」を自発的に使ってもらい、徐々に社内に広げる運用を実施

-自発的に利用して欲しい一方、活用を促す中で、THANKS GIFTの利用を社内へ浸透させた効果的な方法があれば教えてください。

馬場様:特定の取り組みで一気に活用が広がったという事はありません。
まずは自発的に使ってもらえる社員から、徐々に多くの社員に波及していくことを期待しています。
ただ、せっかく贈られたコインに気付いていない社員もいるので、RPAツールを用いて定期的にメールで通知するといった働きかけも行っています。
新規利用者を増やすことと、アクティブユーザーの維持の両軸で運用しています。

THANKS GIFTの活用で会社を良くするだけでなく、社会貢献に繋がるような取り組みにしていきたい

-THANKS GIFTを活用して、今後どのような新しい取り組みや施策を検討されていますか?期待する効果も含めて教えてください。

馬場様:THANKS GIFTに関しては、新規利用者と継続利用者の両方を増やしていきたいです。
きっかけがあれば使ってもらいやすいと思うので、他部門の管理職や企画担当者に引き続き活用提案を行っていく予定です。
また、コインを贈りあうことでポイントが貯まる機能は現在利用していませんが、THANKS GIFTを心理的にも使いやすい仕組みに変えていきたいです。

中西様:コインを贈りあうことで貯まるポイントを、単に個人のインセンティブにすることは社員も望んでいないと受け止めています。全社で貯めたポイントを、本社がある京都府南区の地元貢献や、社会貢献に繋がるような活用を検討していきたいと思います。

-THANKS GIFTの活用が良い取り組みであり、かつ社会の貢献にも繋がることによって、より皆様が前向きな気持ちになっていただけると思いますので、ぜひご検討いただけますと嬉しいです。
今回は、素敵なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。