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カムバック採用とは?メリット・デメリット、導入事例を紹介

カムバック採用とは?メリット・デメリット、導入事例を紹介

少子高齢化や転職活動が一般化したことによって、人材確保が年々難しくなっています。
企業によっては、以前自社で働いていた人材も採用ターゲットに含めたカムバック採用を取り入れる企業も増えています。
今回は、カムバック採用の内容やメリット・デメリット、導入事例などについて紹介します。

カムバック採用とは?

カムバック制度とは、過去に自社を退職した人物を対象として、再雇用する制度を指します。
「ジョブリターン制度」「再雇用制度」「出戻り採用」「アルムナイ採用(アルムナイ:退職者、元社員、OB・OGを指す英語)」とも呼ばれる制度です。
企業により、出産や育児、キャリアアップなどやむを得ない理由で退職した元社員のみを対象とするケースがあれば、退職理由にかかわらず積極的に採用を促すケースもあります。

カムバック採用を導入する目的

「一度自社で働いたことのある人物」ゆえに、新規で入社する人物よりも自社に対する知識や経験があることが想定されます。
そのため、採用後はスムーズに勤務してくれるだろうという期待がカムバック制度には込められているケースが多いでしょう。
主に、人口減少に伴う各種の問題解決を目的とした制度といえます。

カムバック採用を導入する企業が増えている理由・背景

大きく2つの理由により、カムバック採用の導入を実行している企業が増えています。
それは、「人材獲得が難しくなってきていること」と「働き方の多様化が進んでいること」に起因しています。

株式会社プロフェッショナルバンクが2023年3月24日にリリースした「再雇用(アルムナイ採用)に関するアンケート調査(調査期間:2023年2月9日~2月17日)」を見てみると、有効回答者299名(株式会社プロフェッショナルバンクのクライアント企業における経営者および人事・採用担当者)のうち、67%の企業において「再雇用を実施したことがある」という結果でした。
このことからも、多くの企業でカムバック採用の導入が実施されているとわかります。
それでは、カムバック採用増加の理由・背景について見ていきましょう。

人材獲得難易度の高騰

総務省発表の「令和4年版 情報通信白書」における生産年齢人口の減少を見てみると、国内の生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年をピークとして減少を続けていること、そして今後も減少は続いていくだろうことがわかります。
このような背景があるため、新たに人材を獲得しようにも「応募が少ない」「自社とマッチしそうな人材に出会えない」などの課題にぶつかり、採用のハードルは大きく上昇しているのが現状です。

働き方の多様化

結婚、出産・育児や介護、学業やキャリアアップなど、ライフスタイルの変化に伴い1カ所の会社で働き続けるのが難しい場合もあります。
そのため、個人の裁量でワークライフバランスを変化させることは容認されるべきといえます。
しかし、生活の変化に伴って働きづらくなる事実は依然としてあり、求職者にとって復職や転職のハードルは高いでしょう。
このような事態を解決すべく「働き方の多様化」という概念が打ち出されているわけですが、元の会社に戻りやすくなるカムバック採用は、その枠組みの中で良い影響をもたらす可能性があります。

カムバック採用を導入するメリット

カムバック採用の導入により、以下の効果を期待できます。

採用後のミスマッチ軽減

中途採用における課題の一つは、自社の風土や自社で求められる能力と中途入社社員とのミスマッチングです。
前職で高い評価を得ていた人材が必ずしも、自社にて活躍できるとは限りません。
環境が異なれば、新しく入社してきた社員が優秀でも、風土になじめず早期離職につながるおそれもあります。
一方、過去に自社で働いていた経験のある社員であれば、社内環境や働き方について多かれ少なかれ把握している部分があるはずです。
そのため、入社してから「こんなはずではなかった」というようなミスマッチにつながるおそれは大きく軽減されるでしょう。

採用・教育コストの軽減

カムバック採用において、求人への応募から採用に至るまでのプロセスは大幅に削減できるでしょう。
なぜなら、企業側は応募者への理解、応募者側は会社への理解がすでに出来上がっているため、適性検査や面接といった選考プロセスは最低限で済ませられる場合があるからです。
また、応募者において自社における働き方についての知見もすでにあることが想定されるため、改めて社内教育の場を設けるとしても内容は該当社員の退職後に変更された点など必要最低限で問題ないでしょう。
このように、採用プロセス、および教育コストの削減が可能な点は、カムバック採用におけるメリットの一つといえます。

即戦力人材の獲得

カムバック採用にて再入社した社員は、すでに自社における働き方を把握していることが想定されるため、すぐにでも現場の戦力として働き始められるケースが多いでしょう。
また、他の企業で培った経験やスキルがあれば、より一層、自社における即戦力人材としての活躍が期待できます。

再雇用後の離職率低下

一度転職を行った方の中には「前の会社の方がよかったかもしれない」と考える方は少なくないでしょう。
そのような方にとって、カムバック採用という制度は願ってもない制度といえるかもしれません。
転職後の会社と比較して、やはり前の会社の方が自分に合っていたと思えれば、業務に打ち込むモチベーションの維持向上につながるだけでなく会社への愛着が増し、結果として離職率の低下につながる可能性が高まります。

カムバック採用を導入することのデメリット

もともと所属していた社員の出戻りによるメリットは前述した通りですが、必ずしも良いことばかりとは限りません。
カムバック採用において想定されるデメリットについても把握しておきましょう。

既存社員の不満が発生する可能性がある

カムバック採用によって出戻ってきた社員について、既存社員よりも好待遇で迎え入れると不満につながるおそれがあります。
好待遇で再雇用してはいけないわけではありませんが、出戻り社員の経験とスキルについては慎重に見定め、見合った待遇で雇用することを心がけましょう。

社内の雰囲気が悪化する可能性がある

一度退職した社員が出戻ることについて、快く思わない層が存在するケースは想定しておきましょう。
それが、出戻り社員の待遇なのか、出戻り社員と既存社員との間で前々から存在していた不和ゆえなのかなど、原因についても把握しておくことが必要です。
カムバック採用によって社内の雰囲気が悪化すると、既存・出戻り双方の社員において業務へのモチベーションが低下し、生産性の低下につながるおそれがあります。
また、雰囲気に耐えられず離職してしまう社員が発生しかねないため、採用プロセスの時点で慎重を期すことが重要です。

会社の変化に適応してもらう必要がある

もともと自社に所属していたことがある社員とはいえ、社内ルールや業務プロセスは変わるため、変化に柔軟に対応してもらう必要があります。
そのためにも、カムバック採用によって再入社した社員用の研修制度を設けるといった試みが必要になるでしょう。

カムバック採用を導入する際のポイント

続いて、カムバック採用の導入における6つのポイントについて紹介します。
以下を踏まえておくことで、カムバック採用を成功させられる可能性が高まるでしょう。

再雇用の対象範囲・対象者を決める

まず、カムバック採用制度を利用できる元社員の属性をある程度決めておきましょう。
企業によって「元社員であれば誰でも可」というケースがあれば「一定の条件を満たしている元社員のみ利用可能」というケースもあるなど、その対象範囲・対象者はさまざまです。
例えば、離職理由は対象者を決める際に便利です。
出産やキャリアアップなど、やむを得ない理由によって退職した社員であれば、出戻ることについて不満は発生しにくい可能性があります。
一方で、何かしら問題を起こして解雇となった社員についても出戻り可能としてしまうと、社内の雰囲気が悪化する要因になりかねません。
そのため、「なぜ離職したのか」についてはカムバック採用における条件として設定しておいた方がよいでしょう。
他にも、退職者の勤続年数や退職してからの年数、年齢や退職時の雇用形態など、自社にとって重要と思われる属性についてはカムバック採用の条件に入れ込んでおくことをおすすめします。

再雇用の労働条件を定める

カムバック採用=内定が確定している、というわけではありません。
あくまでも、もともと自社に属していた社員を再び採用する「可能性がある」制度です。
また、再雇用にあたって以前と同等の職位や待遇で出戻りできるかどうかは、会社の状況と応募者の状況次第となります。
そのため、「カムバック採用にあたっては以下の条件で再雇用する」というような旨を明記しておくとよいでしょう。

カムバック採用の選考の流れを策定する

全く知らない応募者を選考するわけではないため、カムバック採用の選考プロセスは通常とは異なるものになるでしょう。
例えば、適性検査を除外したり面接回数を減らしたりなど、不要な選考プロセスは除外します。
一方で「なぜカムバック採用に応募してきたのか」「退職後はどのような経緯を歩んできたのか」といった点に焦点を当てて、応募者を見ることがおすすめです。

就業規則に記載する

新たにカムバック採用制度を作る場合は、就業規則に明記する必要があります。
その際、規則の変更手続きが必要ですが、この際「就業規則変更届」「意見書」「変更後の就業規則」の3点を所轄の労働基準監督署に提出しましょう。
なお、「常時10人以上の従業員を使用する使用者」というように、一定の従業員数を超えているケースにおいて反映される手続きのため、小規模な事業所などにおいてはこの手続きが必要というわけではありません。

「就業規則変更届」には決められた様式はないものの、労働局のWebサイトからダウンロード可能です。
記載する際には、規則全文ではなく変更箇所だけを記載するという書き方でも問題ありません。
「意見書」については、従業員の過半数が加入している労働組合が存在する場合はその代表者が、組合がない場合は従業員の過半数が支持する代表者が意見聴取の対象となります。
代表者からの意見がある場合はその内容を記載し、そうでない場合は特になし、と記載して提出しましょう。

従業員に周知する

カムバック採用の導入に伴い就業規則を変更した場合は、全社的に周知する必要があります。
これは「法令等の周知義務」として労働基準法第106条にも明記されている内容です。
自社に合ったやり方で、全社員が把握できるようにしましょう。

退職者とコミュニケーションが取れる仕組みを構築する

カムバック採用によって自社に戻ってきた社員には、個々の背景があります。
出産・育児を経ての場合であれば、今後も育児と両立して仕事を行う必要があるため、所属部署を検討したり相談窓口を設置したりするなどしていつでもフォローできる体制にしておくことが重要です。
どのような場合でも、一度は退職した身であることを忘れず、適切なコミュニケーションが取れるように社内体制の構築を行いましょう。

カムバック採用導入企業の事例

最後に、3社におけるカムバック採用の事例を紹介します。

三井住友銀行のカムバック採用事例

三井住友銀行では、キャリアアップを目的とした転職や、起業を目的とした退職者などをカムバック採用の対象者としています。
詳細には、「正規従業員としての勤続2年以上」「退職時の理由が次に該当すること(学業、転職、結婚、出産、育児、家族介護、配偶者の転勤など)」が条件です。
また、「通常の選考を受ける必要があり、採用を約束するものではない」旨も明記されています。

参考:COMEBACKカムバック採用

三菱重工業のカムバック採用事例

三菱重工業では、「社員として1年以上勤務し、自己都合退職をされた方」であれば誰でも応募可能な「ウェルカムバック採用制度」を実施しています。
退職理由を問わないため、ハードルは低く、多くの方にチャンスがある制度です。
とはいえ「当社を退職後に新たに得たスキル・知識、経験を活かし」という文言があるため、他社にてある程度の実績を残していることが前提と捉えた方がよいでしょう。

参考:キャリア採用情報 | ウェルカムバック採用

パナソニックグループのカムバック採用事例

パナソニックグループでは、通常のキャリア採用と同等ではあるものの、カムバック採用制度を導入しています。
また、退職者同士や現役社員との交流が図れる「パナソニックグループ・アルムナイコミュニティ」という場も設けているのが特徴的です。
その他、育児や介護、配偶者の転勤など、やむを得ない理由で退職した方を対象とした「社員再就職制度」という制度も設けています。

参考:A Better Career|パナソニックグループ 採用情報

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