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職務満足度とは?定義や構成要素、測定方法を紹介
従業員の流動化や雇用確保の観点から、職務満足度を重視する企業が増えており、職務満足度を測定・向上させる取り組みが注目されています。
職務満足度は、従業員エンゲージメントとはまた異なる指標で、従業員の定着とも関わりが深い指標です。
今回は、職務満足度の定義や構成要素、測定方法、向上させた企業事例などを紹介します。
もくじ
職務満足度とは?
職務満足度とは、従業員が仕事や会社に対してどれくらい満足しているかを表す指標のことです。
「従業員満足度」とも呼ばれます。近年、転職や副業が盛んになったことで人材の流動性が高まっており、人材の確保と流出防止が喫緊の課題となっている中、職務満足度に注目する企業は年々増えています。
一般財団法人労務行政研究所が2016年に行った「人事関連制度の改定状況アンケート」によると、44.8%の企業が職務満足度を調査していると回答しました。
また、厚生労働省の調査によると、職務満足度と顧客満足度を重視する企業は顧客満足度のみ重視する企業に比べて業績が向上し、人材確保できていることが示されています。
少子化により労働人口の減少も予測される中、企業を発展させるためには社員に「ずっと働き続けたい」と思ってもらえるような環境を作る努力が必要です。
職務満足度を構成する4つの要素
職務満足度の向上を目指すためには、まず職務満足度はどんな要素で構成されているか理解する必要があります。
ここでは、職務満足度を構成する4つの要素を確認していきましょう。
仕事に対する肯定的感情
職務満足度を構成する要素として、仕事に対する肯定的な感情が挙げられます。
仕事に対して前向きな姿勢や高いモチベーションを持っていれば、会社や仕事に対して不満を抱きづらくなります。
さらに、仕事に対して期待感や誇りを持っていれば、能動的に会社の貢献に向けた行動を取るようになるでしょう。
特に、社員の適性やスキルに合った業務を任せている会社は、仕事に対して肯定的な感情を抱きやすくなります。
上司からの適切な支援
上司による適切な支援も職務満足度を構成する要素の一つです。
上司の適切な指示やフィードバックがあると、部下である社員は不安なく円滑に仕事に取り組めるでしょう。
仕事がスムーズに進むことで、社員は仕事に対して前向きになり会社に対する満足度が上がります。
また、部下の思いをくんだコミュニケーションや部下の仕事ぶりをきちんと評価する姿勢も重要です。
上司から認められていると感じることで、部下である社員は自身の評価に納得し会社で働き続けたいと思うようになります。
仕事に対する自信もつくため、職務満足度にも良い影響を与えるのです。
なお、上司本人の仕事に対するモチベーションが低い場合、こうした適切な支援やコミュニケーションは期待できません。
上司本人の職務満足度が、組織全体の職務満足度につながるともいえます。
働きやすい労働環境
社内の労働環境も、職務満足度に大きく影響を与えます。
働きやすい労働環境が整っていることで、ストレスや不満を抱えることなく仕事に取り組めます。
照明や空調などの業務室内環境の改善や休憩スペースの確保はもちろん、仕事量や業務プロセスを最適化したり相談窓口を設置したりすることも重要です。
仕事や職場に直接関わる部分だけでなく、福利厚生や就業規則なども労働環境に影響するでしょう。
また、近年ワークライフバランスを重視する機運が高まっており、働き方の多様性を重視する人が増えました。
ワークライフバランスとは、仕事と生活に費やす時間や労力をバランスよく調整して、人生全体の充実感や満足感を得ることを目指す考え方です。
そのため、在宅勤務や時短勤務できるかどうかが労働環境、ひいては職務満足度に影響します。
さらに、社内の人間関係も一日の大半を職場で過ごす社員にとっては労働環境の一部です。
上司や同僚との人間関係に問題があったり部署内の雰囲気が悪かったりすると、社員は職場に対して強い不安やストレスを感じてしまうでしょう。
特に、いわゆるパワハラやセクハラなどのハラスメントが存在すると職務満足度は大きく低下します。
一方、人間関係が良好で風通しの良い環境であれば、社員同士で意見交換や相互協力が自然にできるため、職務満足度が高くなります。
職場での自らの存在意義
職務満足度を構成する要素には、職場での自らの存在意義も含まれます。
自らの仕事が、社会や会社の業績向上に貢献している実感があればあるほど、社員はやりがいを感じます。
やりがいを感じればモチベーションも上がるため、仕事に対する満足度も高くなるでしょう。
ただし、職種や部署によっては会社への貢献度合いを可視化しづらく、やりがいを感じにくい場合があります。
例えば、営業職であれば受注金額や契約数などで会社への貢献度合いを可視化できる一方、経理や人事労務などの間接部門は、会社への貢献度合いの可視化が困難です。
そのため、数値化された結果だけで存在意義を伝えるのではなく、職場内のコミュニケーションを通してお互いを認め合う機会を設ける必要があるでしょう。
最終的な成果だけでなく、周囲への間接的な貢献や仕事への姿勢や配慮も評価することで、社員は会社に貢献していると感じます。
職務満足度と組織への定着の関係
職務満足度が上がると、社員の組織への定着率も上がります。
定着率とは、入社から一定期間後も働き続けている社員の割合を示す指標です。
社員が仕事や会社に不満を抱えている場合、より良い環境や業務変更を求めて離職される恐れがあります。
一方、仕事や会社に対する満足度が高い社員は同じ会社で長く働き続けたいと考えるため、リスクを冒してまで離職しようとは考えなくなるでしょう。
その結果、離職する社員が減り必然的に組織への定着率が上がります。
職務満足度を向上させるための要素
ここでは、職務満足度を向上させる3つの要素を紹介します。
それぞれの要素を把握して、的確な施策を講じましょう。
目標達成
職務満足度を向上させる要素として、目標の設定と達成が挙げられます。
目標を設定すると、社員は日々の業務に明確な方向性を持てます。
また、進捗を社内で共有すると仕事の成果が分かりやすくなるため、社員のモチベーションも高められるでしょう。
さらに、目標を達成した社員や部署に報酬を与えることで、社員に達成感も与えられ、こうした仕事に対する肯定的感情を社員に与えることで、職務満足度を向上させられます。
なお、目標を設定する際は、具体的かつ達成しやすい目標にすることが重要です。
あいまいな目標を設定すると、進捗や達成状況が分かりづらくなり、職務満足度が向上しにくくなります。
そのため、目標を数値化し、具体的に示す必要があります。
また、目標の難易度を極端に高くしたり低くしたりすると、かえって社員のモチベーションが下がることもあるでしょう。
社員にやりがいを持たせるためには、社員が努力して達成できる目標をスモールステップで設定する必要があります。
仕事の意義
仕事の意義も職務満足度を向上させる要素の一つです。
全体像や目的が分からないまま仕事をしても、社員はやりがいを感じません。
社員に今行っている仕事の重要性や全体における役割を伝えることで、社員にやりがいを感じさせるとともに職務満足度を向上させられます。
達成感を与える機会や顧客から感謝や賞賛を得る機会を用意して、社員に仕事の意義を認識させましょう。
また、自社の企業理念やビジョンを伝えることも、仕事の意義を感じさせるうえで効果的です。
自社の企業理念やビジョンを伝えることで、社員は自らの仕事が社会にどのように役に立っているのか理解しやすくなります。
教育・研修
社員に、教育や研修を行うことでも職務満足度を向上させられます。
最新の技術や知識を学ぶための研修制度を提供することで、社員の成長実感につながりやすくなります。
社内で教育するだけでなく、外部のセミナーやカンファレンス(大人数の会議)に参加させることも有効です。
また、社員のキャリアをどのように進めていくか明確にさせるキャリアデザイン研修を実施すると、社員のモチベーションを高められます。
社員が目標とするキャリアに応じたスキル向上の教育も充実させることで、社員は将来を見据えながら自社で働けます。
社員のキャリア形成を手厚く支援することで、仕事への満足度を高められるでしょう。
なお、研修を行う際は、社員の役職や立場によって異なる研修を受講させる階層別研修が効果的です。
社員の属性に応じた研修を行うことで社員全体のスキルを底上げし、仕事への満足度を高められます。
職務満足度を調査する方法
職務満足度の調査には、大きく分けて2つの方法があります。
1.アンケート調査
社員全員に対してアンケート用紙やWebのアンケートフォームを使って回答してもらいます。
無記名で行うことが多いため、社員の率直な本音を調査できます。
ただし、社員全体の傾向しか調べられないため、個人の考えや事情までは調査できません。
アンケートを実施した後は、集計と分析を行います。
集計と分析には、主に3つの方法が存在します。
- 単純集計
単純集計では、各項目ごとに回答した人数や5段階の満足度を集計して平均値を出します。
平均値の高い項目は職務満足度が高く、平均値の低い項目は職務満足度が低いといえます。
そのため、自社の強みや改善すべき課題を洗い出せるでしょう。
ただし、平均値はあくまで社員全体の傾向にすぎません。
平均値の高い項目でも、一部の社員からは不満を持たれている恐れがあります。
より正確に満足度を調査するには、単純集計だけでなく別の集計方法も使う必要があります。
- クロス集計
クロス集計では、単純集計の結果を特定の属性に分けて集計します。
同じ項目を性別や年齢や部署などに分けることで、属性ごとに抱えている課題が浮き彫りになります。
クロス集計の結果を基に満足度が低い属性に対してインタビュー調査を行えば、満足度向上のために何をすべきか具体的に把握できるでしょう。
- 満足度構造分析
満足度構造分析では、総合的な満足度が高い社員と低い社員に分けて、それぞれどの項目で満足度が高くどの項目で低いのかを調べます。
2.インタビュー調査
個別のインタビューによる聞き取り調査で職務満足度を調べます。
アンケート調査とは異なり、個人の考えや事情について深く調査できます。
一方、誰が回答したか会社側に知られるため、社員に本音を隠されるかもしれません。
また、調査には時間がかかるため、人数を絞って行うか時期を分けて行うケースがほとんどです。
職務満足度で調査する項目は企業や調査の目的によって異なります。
以下は主な項目の例です。
基本情報 | ・性別 ・年齢 ・勤続年数 ・所属部署 ・役職 |
仕事に関する質問 | ・仕事にやりがいを感じるか ・仕事内容が自分に合っているか ・スキルが身につく仕事であるか ・仕事に意義や価値を感じられるか ・達成したい目標があるか |
上司に関する質問 | ・上司の業務方針に納得できているか ・上司の指示や指導は適切か ・上司と連携は取れているか ・上司は公平な評価をしているか ・尊敬できる上司はいるか |
組織風土に関する質問 | ・社内の人間関係は良好か ・上司や同僚は適切なサポートをしているか ・安心して相談できる環境か ・自由にアイデアや意見を言える環境か ・他部署とも連携できているか |
会社に関する質問 | ・経営理念やビジョンに共感できるか ・会社に将来性を感じるか ・企業風土に順応しているか ・自社の業績に満足しているか ・経営情報を知らされているか |
人事や処遇に関する質問 | ・自社の人事評価制度に納得しているか ・労働環境の整備や改善はできているか ・社員への教育や研修は充実しているか ・給料は納得できる水準か ・異動やキャリアの相談ができているか |
コンプライアンスに関する質問 | ・職場で法令は遵守されているか ・法令を遵守するための管理や教育は徹底されているか ・機密情報は適切に管理されているか |
業務負荷に関する質問 | ・仕事の難易度や業務量は適切か ・残業は無理のない範囲に収まっているか ・ワークライフバランスは整えられているか ・ストレス無く業務に取り組めているか |
総合的な質問 | ・自社で働いていることに満足しているか ・今後も自社で働き続けたいか ・自社への愛着や信頼はあるか |
満足度の高い社員が特に満足している項目は、社員が自社に対して重視しているポイントです。
反対に満足度の低い社員が特に不満を持っている項目は、企業として特に改善が必要なポイントです。
総合的な満足度と各項目の満足度の関係を調べることで、単純集計よりも詳しく課題を見つけ出せます。
職務満足度を向上させた企業事例
ここでは、実際に職務満足度を向上させた企業の事例を紹介します。
実際の取り組みを参考にして、自社の職務満足度向上につなげましょう。
橋本食品株式会社
橋本食品株式会社は、北九州市に拠点を置く食肉の販売や惣菜、寿司の販売を行う会社です。
同社は「従業員の声と健康を大切にする」という経営理念を持っており、全社員に定期的にアンケート調査を行っています。
また、マニュアルやレシピの整備や教育研修の充実や、T化による生産性向上などの経営施策も行っており働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいます。
その結果、2012年末の調査では55%だった職務満足度が2014年末には70%に向上しました。
職務満足度だけでなく生産性も2012年から2014年の2年間で5.6%向上しており、職務満足度の向上により企業の価値を高めた好例といえます。
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今回は、職務満足度の定義や構成要素、測定方法、向上させた企業事例などを紹介しました。
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