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リファレンスチェックとは?内容や流れ、質問内容を紹介
採用活動で書類選考・面接選考で合格点が出ても、書類の記載内容や面接で虚偽の回答をしている可能性も0ではありません。
どうしても自己認識と他社からの評価にはズレが生じるため、採用するかどうかの判断材料を増やし、入社後のミスマッチのリスク軽減のためにもリファレンスチェックを実施することは有効です。
今回は、リファレンスチェックの内容や流れ、質問内容などについて紹介します。
もくじ
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、中途採用に応募してきた採用候補者の前職の関係者にヒアリングを行い、採用候補者の情報を調べることです。
前職の上司や先輩や同僚、得意先の幹部などに依頼し、今までの職場での勤務態度や仕事の実績などを調査します。
リファレンスチェックは、海外や外資系企業で広く行われていましたが、近年では日本でも取り入れる企業が増えました。
一般的に、採用選考プロセスの最終段階や、重要なポジションに就く人材の採用時に実施されます。
リファレンスチェックを実施する目的
リファレンスチェックを実施する目的として、以下の3つが挙げられます。
事実確認
履歴書や職務経歴書に書かれている内容に、事実と反することが無いか確認します。
ライトアーム社の調査によると、35歳以上の経営者のうち81.7%の経営者が採用した人材に経歴を詐称された経験があると回答しました。
また、First Advatnage社の調査によると、日本で経歴詐称が見つかった割合は5.47%と、約20人に1人が経歴を詐称していたという結果が出ています。
経歴を詐称している採用候補者は、企業の信頼を失墜させる恐れがあるため、採用段階で除外しなければなりません。
また、採用候補者に休職歴が無いか、チェックすることも大切です。
候補者は、転職に不利に働くことを恐れて休職歴を隠す傾向にあり、採否に悪影響を与えることがあります。
例えば、1年間休職していた場合、経理部に2年在籍していたとしても実際には1年分の経験とスキルしか持っていません。
休職歴を隠されると採用候補者の経験やスキルを見誤ってしまうため、入社後の業務に支障を来たす恐れがあります。
このようなリスクを防ぐためにも、事実確認は重要です。
人柄や働きぶりの確認
採用候補者の人柄や前職での働きぶりを確認して、採用に関する判断材料を集める目的もあります。
採用候補者の人柄を知ることで、経歴や資格以外の人としての強みや弱みを理解できます。
人柄の良い採用候補者であれば、社内でトラブルを起こさず社員と良好な人間関係を築けるでしょう。
また、勤務態度や仕事の実績を調べれば、採用後どれだけ会社に貢献してもらえるか判断できます。
採用候補者の人柄や働きぶりは、書類や短時間の面接では把握することが困難です。
リファレンスチェックで採用候補者の不足している情報を補完することで、正確な採否が下せます。
採用のミスマッチの防止
候補者のスキルや経験や性格を把握して、入社後のミスマッチを防ぐことも目的の一つです。
例えば、一口に「英語ができる」といっても日常会話レベルなのかビジネスレベルなのか、リスニングとリーディングの能力に差があるのかは分かりません。
前職でどのように仕事でスキルや経験を発揮したか調べることで、候補者のスキルや経験を正確に把握できます。
また、採用候補者の性格と自社の社風が合っているかも重要です。
例えば、コミュニケーションが活発な会社に一人で黙々と作業を進めたい人材を採用してしまうと、採用した人材は働きにくさを感じるかもしれません。
採用のミスマッチが起こると採用後すぐに離職される恐れがあり、企業にとって大きなリスクです。採用や教育研修にかける費用を無駄にしないためにも、リファレンスチェックで採用のミスマッチを防いでリスクを最小限にする必要があります。
リファレンスチェックを実施する際の流れ
ここでは、リファレンスチェックを実施する流れを解説します。
リファレンスチェックは、オンラインサービスを使って実施することが増えてきました。
リファレンスチェックにかかる時間は、平均で3日程度といわれています。
対面や電話で実施する場合は、日程が調整しづらくなることもあり、少なくとも1〜2週間はかかると理解しておきましょう。
企業から採用候補者にリファレンスチェック実施の承諾を得る
採用の選考中や内定後に、採用担当者が候補者にリファレンスチェックの説明をして承諾を得ます。
承諾してもらう内容は以下の通りです。
- リファレンスチェックの実施
- 採用候補者から推薦者(採用候補者と一緒に働いたことのある第三者)にリファレンスチェックを説明して回答の同意を得ること
- 推薦者にインタビューを行って採用候補者に関する情報を得ること
採用候補者にヒアリング推薦者の連絡先を共有してもらう
リファレンスチェック実施の承諾を得られたら、採用候補者に推薦者の連絡先を共有してもらいましょう。
採用候補者は、推薦者に対してリファレンスチェックの概要を説明し、連絡先の共有を承諾してもらいます。
推薦者は、前職の上司や同僚で、人数は2名程度とする場合が一般的です。
推薦者とヒアリングの日程調整を行う
推薦者の連絡先が確認できたら、推薦者とヒアリングの日程調整を行います。
実施日は、なるべく早く設定することが重要です。
実施日まで時間が空いてしまうと、他の企業の選考が進んでしまい採用候補者に内定を辞退されるかもしれません。
ヒアリングにかかる時間は、質問の内容や量によりますが、10分〜30分程度が一般的です。
ヒアリングは、勤務時間内に実施することが多いため、日程調整の段階でどれくらい時間がかかるか推薦者に伝えておくと良いでしょう。
推薦者の業種や役職によっては、日程調整に時間がかかる恐れがあります。
早めに日程調整したりヒアリングからメール回答に切り替えたりするなど、柔軟な対応が必要です。
書面やメール上で回答を求める場合は、日程調整の代わりに回答までの期日調整を行います。
ヒアリングを実施する
リファレンスチェック当日になったら、事前に設定した質問内容に沿ってヒアリングを実施します。
推薦者の業務に支障を来たさないように、質問を増やして延長せずに案内した時間通りにヒアリングを終了しましょう。
事前に採用担当者同士でシミュレーションをしておくと、無駄な質問や本当に知りたい内容を確認できます。
回答結果をレポートにまとめる
ヒアリングで得られた回答をレポートにまとめます。
記載する内容は、推薦者・質問内容・回答結果・総評などです。
レポートの共有は、個人情報保護の観点からも採用担当者や研修担当や配属先の部署など、採用に関係する人に限定します。
また、採用判断に一定の基準を設けるためにも、事前にレポートの書式を用意して統一しておくと良いでしょう。
リファレンスチェックで質問する内容
ここでは、リファレンスチェックで質問する内容について紹介します。
以下の質問内容を参考にして、採用候補者の情報を引き出しましょう。
勤務状況
採用候補者の申告に間違いは無いか、勤務状況を質問します。
具体的な質問例は以下の通りです。
- 在籍期間はいつからいつまででしたか?
- 在籍中に休職していましたか?
- 役職や部署に間違いはありませんか?
- 採用候補者は以前どこかで勤務していましたか?
- 退職が決まった後の勤務状況はどうでしたか?
- 採用候補者の退職理由に間違いはありませんか?
勤務態度
勤務態度や勤怠状況などを質問します。
遅刻や欠勤などがあった場合は不当な理由かどうか、頻度が多いか少ないかなどが確認項目になります。
具体的な質問例は以下の通りです。
- 仕事に対する姿勢は前向きでしたか?
- 会議中は積極的に意見を出していましたか?
- 残業は少なかったですか?
- 上司や同僚や部下との関係は悪くありませんでしたか?
- セクハラやパワハラなどの問題行動はありませんでしたか?
- 遅刻や欠勤や早退はどの程度の頻度でしたか?
- どのような時に遅刻や欠勤や早退していましたか?
業務経験
採用候補者がどのような仕事をこなして成果を挙げたか、業務経験や実績などを質問します。
具体的な質問例は以下の通りです。
- 在籍中はどのような業務をしていましたか?
- 成功させた業務やプロジェクトはありますか?
- プロジェクトのリーダーは務めていましたか?
- 部下は何人いましたか?
- 業務上のトラブルに対してどのように対応していましたか?
- 社内表彰を受けたことはありますか?
スキル
採用候補者は業務の中で何が得意だったか、スキルや長所・短所などを質問します。
具体的な質問例は以下の通りです。
- 仕事を効率的にこなしていましたか?
- 決断力や決定力はありますか?
- マネジメント能力はありますか?
- 基本的なパソコンスキルや文書作成スキルはありますか?
- コミュニケーション力や交渉力はありますか?
- 仕事を進めるうえで個人とチームどちらが合っていますか?
- リーダーシップを発揮していましたか?それともサポートが得意でしたか?
- どのポジションや業務の時に最も活躍していましたか?
- 採用候補者の強み・弱みは何だと思いますか?
人柄
採用候補者の人柄や性格などを質問します。
人柄や性格に関しては推薦者の主観も含まれるため、必ず複数人に同じ質問をしましょう。
具体的な質問例は以下の通りです。
- 採用候補者とはどんな関係ですか?
- 採用候補者は一言でいうとどのような人物ですか?
- 協調性はありましたか?
- 行動がつかめないことはありましたか?
- また一緒に働きたいと思いますか?
- 仕事で悩みを抱えていましたか?
- 過去にストレスで体調を崩していたりメンタルに問題を抱えたりしていましたか?
リファレンスチェックを実施することのコストメリット
社員に早期離職されると、採用費や人件費や教育費などの費用が無駄になってしまいます。
欠員を補うには新たに人材を探さなければならないため、採用活動費もかかるでしょう。
リファレンスチェック実施により、採用のミスマッチを未然に防いで早期離職率低下に期待できます。
結果、金銭的損失を抑えることにもつながります。
リファレンスチェックを実施するタイミング
リファレンスチェックを実施するタイミングは、選考中と内定後に分かれます。
選考中に実施する場合は、リファレンスチェックの結果を基に採否を決めることが一般的です。
ただし、選考の早い段階でリファレンスチェックを実施すると採用候補者に断られたり選考を辞退されたりする恐れがあります。
そのため、実施する際は最終面接の前後に行うと良いでしょう。
また、企業によっては配属の検討材料や新人研修の参考資料を得るため、内定後にリファレンスチェックを実施することもあります。
内定者が早く職場や業務に慣れてもらうために、リファレンスチェックの結果を基にどのようにサポートできるか計画します。
ただし、内定通知書を出した時点で内定者とは労働契約が成立しており、法的に内定取り消しは解雇と同じ扱いになることに注意です。
労働契約法により解雇は客観的かつ合理的な理由が無い限り無効になるため、リファレンスチェックの結果を理由に内定を取り消すことは一部の例外を除いてできません。
リファレンスチェックで内定取り消しが認められるケースは、学歴・経歴の詐称や懲戒処分や反社会的勢力とのつながりがあった場合などです。
リファレンスチェックの結果を理由に内定取り消しを検討する場合は、必ず弁護士や司法書士などに相談しましょう。
リファレンスチェックに関するよくある質問
ここでは、リファレンスチェックに関するよくある質問を紹介します。
リファレンスチェックは、一歩間違えると法律に違反してしまうため、実施する前に注意点を把握しておくことが大切です。
リファレンスチェックを実施することは違法ではない?
リファレンスチェックの実施自体は法律で禁止されていませんが、採用候補者に関する情報は、個人情報保護法における個人データに該当します。
そのため、本人の承諾無しにリファレンスチェックを行って採用候補者に関する情報を得ると違法になってしまいます。
個人情報保護法を守るためにも、必ず本人の承諾を得てその旨を書面で記録しましょう。
リファレンスチェックを拒否された場合はどうする?
リファレンスチェックを行う際、採用候補者や推薦者などに拒否される場合があります。
特に、採用候補者が在職中の場合、転職活動が会社に知られないように現職の上司や同僚へのヒアリングを拒否されるケースも少なくありません。
推薦者に拒否された場合は、前職の上司や同僚だけでなく、部下や取引先などに範囲を広げて推薦者を改めて選考する必要があります。
交渉しても採用候補者の拒否の意思が変わらない場合は、リファレンスチェックの実施を諦めましょう。
リファレンスチェックで個人情報の取得・共有において気を付けるべきことは?
個人情報を取得する際は、採用候補者の不利益や差別につながるような質問をしてはいけません。
リファレンスチェックを行う際は、厚生労働省が定める「公正な採用選考の基本」を基に、適切な質問を設定しましょう。
質問できない内容は以下の通りです。
- 人種や本籍や出生地
- 生活環境や家庭環境
- 思想や信条や宗教
- 病歴や犯罪歴
また、リファレンスチェックで取得した個人情報は、個人情報保護法にのっとって利用・管理する必要があります。
個人情報保護法では、個人情報を事業活動に利用している者は「個人情報取扱事業者」に該当し、個人データの取り扱いに関して以下4つの義務を負います。
- 不要な個人データの消去:採用候補者の採用・不採用が決定した時や退職した時など、個人データが不要になった場合は直ちに個人データを消去しなければならない
- 個人データの漏えいを防ぐ安全管理措置:デバイスの盗難対策やウイルス対策ソフトの導入など、セキュリティ対策を万全にする必要がある
- 個人データを取り扱う従業員への監督:個人情報を取り扱う担当者や責任者を明確にし、適切な取り扱い方や漏えいのリスクなどを教育しなければならない
- 外部委託先の監督:外部の調査会社やオンラインサービスを利用してリファレンスチェックを実施する場合は、運営会社が個人情報保護法を守っているか確認することも必要
罰則の対象になったり社会的信用を失ったりしないように、社内で整備を進めましょう。
公務員の候補者にもリファレンスチェックを実施できる?
推薦者が所属する組織によっては、リファレンスチェックの実施ができない場合があります。
公務員は国家公務員法により他の職員や元職員に関する情報提供が禁止されているため、推薦者が公務員の場合はヒアリングできません。
そのため、採用候補者の職歴が公務員以外に無い場合は、他の方法で採否を判断する必要があります。
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今回は、リファレンスチェックの内容や流れ、質問内容などについて紹介しました。
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