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労働組合とは?作り方や活動目的・内容、加入方法について紹介
賃上げや労働環境の改善、就労時に起きた問題解決のために会社と交渉する際に「労働組合」は心強い存在です。
労働組合を組織する権利は憲法で認められており、会社に労働組合がない人は、自分たちで作ることもできます。
今回は、労働組合の概要と活動目的、作り方や加入方法、メリットとデメリットについて紹介します。
労働組合の概要や活動目的
労働組合という言葉を聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「春闘」での賃上げ要求ではないでしょうか。
4月からの新年度に向け、2月から3月にかけて労働組合が使用者と交渉するもので、月給やボーナス、労働時間の短縮や働きやすい仕組みづくりなど労働環境に関する多様な事柄について交渉します。
労働組合は、労働組合法によって「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体またはその連合団体」と定められており、労働者自身が労働環境の改善を目的として団体で交渉するために作る組織のことです。
日本国憲法第28条では「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」の労働三権を保障しており、労働組合を作って会社と交渉し、団体で行動することは憲法で認められています。
日本では、労働組合は企業ごとに作られることが一般的で、それぞれの組合が集まって作られた全国的な中央組織が「連合」(日本労働組合総連合会)です。
連合は春闘を主導したり、政府への要請活動を行ったりします。
労働組合は自由に設立することができ、届出は必要ありません。
ただし「不当労働行為の救済申立てをする場合」「労働委員会の労働者委員候補者を推薦する場合」「法人登記をするために、資格証明書の交付をうける場合」「労働協約の拡張適用の申立てをする場合」「職業安定法で決められている無料の労働者供給事業の許可申請を行う場合等」には、その都度、労働委員会に対して資格審査を受ける必要があります。
労働委員会は、各都道府県に設置されています。
労働組合の作り方の流れと必須事項
労働組合は、発起人を含めて2人以上のメンバーがいれば結成することができます。
大まかな流れは、2人以上で組合を結成して組織化し、結成大会で承認を受けるというものです。
より具体的に説明すると、組合を結成する意志を固めたらまず、労働組合結成準備委員会を発足させます。
次に、労働組合を結成する目的を明確にし、規約案、予算案などを作成します。
労働組合は単なる労働者の集団ではなく、組織化された団体です。
法的に認められた組織にするためには、必要なプロセスを経て、組合規約案に労働組合法第5条第2項に基づいた条項を入れる必要があります。
組合説明会で広く加入の呼びかけを行い、結成大会に向けた準備を経て結成大会を開催します。
この場で組合規約などの承認決議を行うと、法的に意味を持つ労働組合が組織されたことになります。
会社に組合結成の通知を行うと、以後の交渉は労働組合と会社の間で行うことになります。
労働組合の結成は、経営者側に知られないように行うのが鉄則です。
事前に漏れてしまうと、ほとんどの場合で組合結成を妨害されてしまいます。
準備段階では信用できる少人数で進めるようにし、会社に許可を得る必要がある会場などは使わないようにしましょう。
労働組合への加入方法
勤めている会社に労働組合がある場合は、組合の窓口に相談をして加入します。
同僚に組合員がいる場合は、労働組合の加入方法や活動内容について相談してみるのもよいでしょう。
ただし、役員や人事権のある役職者など、使用者の利益代表者は加入することができません。
一方で、パートやアルバイトなどの非正規社員であっても基本的には加入することができます。
会社に労働組合がない場合は、外部のユニオンに加入することが可能です。
ユニオンとは一定地域や業種ごとに組織している合同労組のことで、中小企業に勤める人が多く加入しています。
1人で加入することができるほか、労働者であれば雇用形態を問わず加入できることも特徴です。
インターネットで簡単に検索もできます。
日本における労働組合の現状
厚生労働省の「令和2年労働組合基礎調査」によると、単一労働組合の数は平成28年では2万4682組合あったものが、令和2年には2万3761組合になるなど、年々減少しています。
労働組合員数自体は、平成28年の994万人から令和2年の1011万5000人へと一見増加しているように見えますが、雇用者数に占める割合は令和2年で17.1%と多いものではなく、平成28年からの推移を見ても横ばい状態です。
「勤めている会社に労働組合がある」という人は、10人のうち2人に満たないということになります。
産業別に推定組織率をみると、「複合サービス事業」が53.6%、「電気・ガス・熱供給・水道業」が52.7%と過半数を占めている一方で、「農業、林業、漁業」では、わずか1.6%しか組織されていません。
企業規模別にみると、従業員数が1000人以上の会社では全体の65.8%で単一労働組合は組織されているのに対し、300~900人規模では13.1%、100~299人規模では6.7%と、大きな差があることが分かります。
労働組合に入るメリットとデメリット
労働組合に入るメリットは、1人では解決できない問題に直面したときに、団体の力で経営者側と交渉し、改善要求を行うことができる点です。
不当な解雇や異動、ハラスメントなどを訴える際にも労働組合の要求として交渉できます。
問題が起きたときに相談できる窓口があるのは心強いものです。
このような労働組合の存在自体が、労働者に対する不当な取り扱いの抑止力になるともいえるでしょう。
労働組合は、団体交渉を行う権利が認められており、経営者側はそれぞ拒むことができません。
賃金や労働時間などの労働条件についても、要求を会社に伝えやすくなります。
労働組合に入るデメリットは、勤務時間外に労働組合の仕事を任されたり、イベントへの参加が必要になったりする可能性があることです。
通常の業務をこなしながら労働組合の仕事にも携わるには、プライベートの時間を割く必要があります。
また、毎月の労働組合費も必要です。
厚生労働省の「平成30年労働組合活動等に関する実態調査」によると、労働組合の平均月間組合費は3707円で、年間にすると4万4484円と高額になります。
組合費を払うだけの価値がある活動が行われていない場合は、デメリットと感じる人が多いでしょう。
従業員が定着・活躍できる組織を作ろう
今回は、労働組合の概要と活動目的、作り方や加入方法、メリットとデメリットなどについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。
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