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若手社員が早期離職する原因や兆候、対策を紹介

若手社員が早期離職する原因や兆候、対策を紹介

苦労して採用し、育成した若手社員が離職することは、会社にとってマイナスの影響が大きいです。
補填採用が必要になったり、残った社員へのしわ寄せの発生、将来の幹部・リーダー候補の再育成が必要になります。
若手社員の離職を止めるためにも、離職の原因や対策を知ることが重要です。
今回は、若手社員の早期離職の原因や兆候、対策などについて紹介します。

若手社員の入社3年以内の早期離職率

厚生労働省が2023年10月に発表したデータによると、2020年3月に卒業した新規大卒就職者の3年以内の離職率は32.3%でした。
1995年以降、新規大卒就職者の3年以内の離職率は30%前後に推移しており、長期的に見ても若手社員は高い割合で早期離職していることがわかります。

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)

 

若手社員が早期離職する主な原因

若手社員の早期離職を防ぐには、まずその原因を知ることが大切です。
若手社員が早期離職する主な原因について紹介します。

入社前のイメージとのギャップ

社員は、入社前の企業説明や面接を通じ、業務内容や職場環境にさまざまなイメージを抱いて入社します。
企業に対して、良いイメージを抱いたからこそ、入社を決めたのでしょう。
しかし、入社前に抱いていたイメージと入社後の現実が大きく離れていると、社員はショックを受けます。
これを「リアリティショック」といい、若手社員が早期離職する大きな原因の一つです。

リアリティショックが起きる原因の一つに、人材不足が挙げられます。
現在、採用市場は就活生よりも採用したい企業の数が多い「売り手市場」です。
人材獲得に奔走する採用担当者の中には、就活生に魅力的な情報ばかり伝えてしまうケースもあります。
その結果、職場の客観的な情報が伝わらず入社前のイメージと入社後の現実に大きなギャップを感じてしまいます。
エン・ジャパンの調査によると、アンケートに答えた人のうち約8割が入社前後でギャップを感じた経験があると回答しています。
また、そのうちの55%が入社前後のギャップにより辞めた人と回答しており、リアリティショックをいかに軽減させるかが課題となっている企業は多いと考えられます。

職場の人間関係が良くない

若手社員が退職する理由の中で特に多いのが、職場の人間関係です。
リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、入社3年目以下の社員のうち14.5%が職場の人間関係を理由に退職したと回答しています。
一日の大半を会社で過ごす社員にとって職場の人間関係は、仕事のやりやすさやモチベーションに関わります。
若手社員が職場で、人間関係がうまく築けず孤独を感じると、仕事に対しても不安を抱えてしまうでしょう。
仕事で困ったことがあっても、相談や質問もしづらくなってしまいます。結果、退職を考えることにもつながるのです。
また、上司の高圧的な態度や言葉遣い、セクハラ・パワハラなども若手社員にとって大きなストレスになります。

会社に貢献できている実感が無い

会社に貢献できている実感が薄いと、自身の存在意義を感じられず仕事へのモチベーションを失う恐れがあります。
特に、若手社員は貢献意欲が強いため、貢献度の実感を強く求める傾向です。
貢献するには、仕事をよく理解しなくてはなりません。
そのため、研修の機会や教育が十分ではないと退職を考え始める恐れがあります。
これには、若手社員を管理する管理者側が通常の業務に忙殺され、研修や教育に時間を割けない現状も問題とされています。

自分の成長を実感できない

若手社員は成長意欲も強く、将来のためにもスキルが身につく仕事をこなしたいと考える傾向にあります。
しかし「与えられる業務量が能力よりも少なく感じる」「適切なフィードバックを得られない」など、成長が望めないことに不安を感じて退職を考えることもあるようです。
また、課題もニーズも多様化する現代社会では身につけたスキルが必ずしも将来に役立つとは限りません。
新しい技術が次から次へと開発され、身につけたスキルが通用しなくなる場合もあるため、若手社員は成長を実感しにくい傾向にあります。

キャリアを描きにくい、ロールモデルがいない

キャリアアップを目標にしている若手社員にとって、キャリアアップの基準も不透明でロールモデルもいない職場は、先が見えず不安になります。
ロールモデルとは、キャリア形成にあたって考え方や言動が模範となる人物のことです。
近年では、将来的な転職を前提に働く人も多く、SNSを使えば簡単に他社の情報を手に入れられます。
そのため、キャリアアップのために転職する若手社員が増えています。
こうした事態を防ぐためには、ローモデルとなる先輩社員の育成、異動・昇進・昇給に関する基準を明確にし人事評価の透明性を高める必要があります。
また、キャリアコンサルティングの実施や教育訓練休暇の付与など、キャリア形成の支援に取り組むことも大切です。

会社の将来性が無い

会社の将来性が無いと感じる若手社員は、自身の将来にも不安を感じてしまいます。
業績不振に陥っている会社だけでなく、働き方改革やIT化が進んでいない古い企業体質を持っている会社も要注意です。
このような会社は慢性的に離職率が高く、人手不足により職場環境が悪化してさらに社員が退職するという悪循環に陥っている傾向にあります。
若手社員にとって、明るい未来を想像できない会社は、長く働くことに魅力を感じられないでしょう。

労働条件が悪い

給与や福利厚生など、労働条件の不満を理由に退職される場合もあります。
成果主義の企業も増えている中、若手というだけで給与が少ないことに納得する社員は多くありません。
正当に評価されない労働環境に、大きな不満を感じるでしょう。
また、近年の若手社員は、仕事よりもプライベートを重視する傾向にあります。
そのため、長時間労働や残業が常態化して休暇も取りづらい職場は、たとえ高収入であっても、敬遠されるでしょう。

仕事が自分に合わない

仕事内容が若手社員の適性に合っていないと、仕事へのモチベーションや自信を失ってしまいます。
特に、やりたい仕事があるにもかかわらず違う仕事を任されている場合は、不満やストレスにつながるでしょう。
しかし、社員全員がやりたいことしかやらないとなれば、会社の経営は成り立ちません。
目標とする仕事に向けて、必要とされるスキルや経験を身につける大切さを説くことも大切です。
また、適材適所を見極め、個人個人にあった仕事を見つけてあげることも管理職の役割といえます。
なお、若手社員に任せている仕事のノルマが高すぎる場合も要注意です。
若手社員はこなせる仕事量が限られており、能力に対して高すぎるノルマが課されると大きなプレッシャーやストレスを感じてしまいます。

若手社員の早期離職に伴う損失

若手社員の早期離職に伴う損失について紹介します。
若手社員の早期離職は金銭的な損失を発生させるだけでなく、業務や企業イメージにも悪い影響を与えます。

将来の幹部・リーダー候補の減少

若手社員の早期離職は、将来的に重要な役職に就いて大きな成果を出すことを期待されている優秀な人材の減少につながります。
幹部・リーダー候補は、これからの会社を引っ張っていく後継者的な存在であり、幹部・リーダー候補の減少は大きな損失です。
そのため、企業が将来にわたって生き残るには、まずは若手社員の早期離職を防がなければなりません。

補填採用・教育コストの発生

若手社員が離職した場合、失った人材の穴を埋めるために新たな人材を確保しなければなりません。
一般的に、人材一人当たりの採用コストは100万円といわれており、給与や教育研修費や社会保険料なども加えると3年目には数百万円以上のコストがかかってしまいます。
若手社員の早期離職は、企業にとって大きな金銭的損失にもつながるのです。

残った社員への業務のしわ寄せ

若手社員が早期離職した場合、若手社員に任せていた業務は他の社員に引き継がれます。
そのため、残った社員に負担がかかり、疲労やストレスが蓄積してしまう可能性があります。
そうなれば、仕事へのモチベーションも低下してしまうでしょう。
若手社員の早期離職が続くと、場合によっては次々に離職が続く連鎖退職につながるかもしれません。
連鎖退職を防いで業務を円滑に遂行できる環境を守るためにも、若手社員の早期離職の防止は重要です。

企業イメージの低下

若手社員の早期離職が多い企業は「職場環境が悪い」「業務内容が過酷」などのイメージを持たれやすくなるため、企業の評価や信用に悪影響を及ぼすでしょう。
また、若年雇用促進法に基づき、企業は採用広報時に過去3年間の新卒採用者と離職者数を開示する義務があります。
就活生は企業の離職者数を把握できるため、離職者数が多い企業は応募を避けられてしまう可能性があります。
今の若い世代は、幼い頃からインターネットやSNSに触れてきた「ソーシャルネイティブ」です。
離職者数のようなネガティブな情報は、SNSや口コミサイトで拡散されやすいため、今後の採用活動が困難になる恐れもあります。

若手社員の早期離職の兆候

早期離職する若手社員は、退職前に何かしらの兆候を見せているといわれます。
離職の兆候は、個人差もあり判断が難しいところもありますが、ここでご紹介するような兆候が見られる若手社員には注意が必要です。

会議時の発言や質問が減る

退職を考えている若手社員は「意見しても無駄だろう」「もう辞めるからどうでもいい」と考えているため、会議での発言や質問が減る傾向です。
また、仕事に対して自信を失っている場合や、他社員との関係が悪い場合も会議で消極的になります。
特に、元々は積極的に発言していたのに突然会議で存在感が無くなった若手社員や、他の業務が忙しいわけでもないのに会議に集中していない若手社員には注意が必要です。

仕事の相談や報告が減る

退職を考えている若手社員は、業務に対して当事者意識を失っていることも多く、仕事の相談や報告の回数が減ることも兆候の一つです。
特に、転職活動を行っている若手社員は転職活動を行っていることを知られたくないという心理が働き、社員とのコミュニケーションを避ける傾向にあります。
仕事の相談や報告が減ると業務が円滑に進まなくなりトラブルへの対応も遅れてしまうため、早期の対応が必要です。

仕事時の集中力が低下する

仕事中の集中力の低下は、離職する典型的な兆候です。
退職を考えている若手社員は「どうせ辞めるから頑張っても仕方がない」「評価も気にならない」と考えるため、仕事に身が入らなくなります。
また、任されている仕事が合っていない場合や自分のスキルが発揮できていないと感じている場合も仕事中の集中力が低下するでしょう。
仕事でのミスが増えていたり、仕事中ボーッとしていたりする若手社員がいる場合は要注意です。

休暇取得や遅刻・早退が増える

仕事へのストレスや転職活動を理由に、遅刻や早退が増える場合もあります。
ストレスは、体調不良を引き起こす原因でもあるため、注意が必要です。
また、転職活動をひそかに行っている場合には、遅刻や早退の理由があいまいになる傾向があります。
突発的にまとまった有給休暇を取得している若手社員にも注意しましょう。
退職を考えているかもしれません。退職を前提に、付与されている有給休暇を使い切ろうと考えている可能性があります。

会社に対する愚痴や不満が増える

愚痴や不満の増加も離職の兆候です。
会社で働く意欲のある若手社員は、他の社員との関係を良好に保つために愚痴や不満をこぼさないよう我慢する傾向にあります。
一方、退職を考えている若手社員は他の社員との関係が悪くなっても構わないと考えているため、愚痴や不満をこぼすようになります。
愚痴や不満の増加は会社に対する満足度が大きく下がっている証拠であり、不満を抱えたままだと仕事へのモチベーションも下がってしまいます。
一向に不満が解消されないと、会社への愛着心も失ってしまい離職につながるでしょう。

服装や髪形が変わる

服装や髪型が変化している若手社員にも注意しましょう。
以前はカジュアルな雰囲気だったにもかかわらず、フォーマルな服装が増えた場合、転職活動を行っている可能性があります。
また、以前は身だしなみに気を使っていたにもかかわらず、服装や髪型がだらしない印象になった場合も危険な兆候です。
現状に限界や不満を感じ、働く意欲が低下すると、服装や髪型に気を配れなくなることがあります。

若手社員の早期離職を減らすための対策

若手社員の早期離職を減らすための対策について紹介します。
若手社員の早期離職に課題を感じている場合は、速やかに以下の対策を講じましょう。

採用時の要件を見直す

人材に求めるスキルや経歴などの基準や発信する情報を見直すことで、採用のミスマッチを減らし、早期離職の原因の一つであるリアリティショックを防げます。
採用の基準を明確にし、企業風土や待遇や業務内容などの情報を詳しく伝え、求職者が考える入社前のイメージと入社後の現実の差を小さくする目的です。
また、求人広告や会社説明会で会社の良い側面ばかり強調すると、リアリティショックが起きやすくなり若手社員に早期離職されてしまいます。
現状をしっかりと伝えつつ、問題があれば改善に向けた動向も発信していくと良いでしょう。

入社後のオンボーディングを見直す

採用時だけでなく入社後のオンボーディングを見直すことでも、若手社員の早期離職を減らせます。
オンボーディングとは、若手社員が早く活躍できるように組織全体でサポートするプログラムのことです。
オンボーディングを見直す際は、いかに若手社員の不安やストレスを減らせるかがポイントになります。
例えば、入社初日であれば仕事を進めるうえで必要な情報を提供するだけでなく、ランチや懇親会などを行って親睦を深めることも大切でしょう。
また、若手社員は経験が浅いため、仕事の不安や不満を抱え込む傾向があります。
入社後も定期的に業務フォローを行って相談しやすい環境を整えることで、若手社員は安心して働けるようになり、会社に定着しやすくなるでしょう。

労働環境を整備する

労働環境は、ワークライフバランスを重視する若手社員にとって働く意欲を左右する重要な要素です。
例えば、残業時間が多い場合は業務を自動化したり配分を見直したりして労働時間の是正を図る必要があります。
休暇が取りづらい雰囲気がある場合は、有給休暇消化推奨日の設定や特別休暇の導入も効果的です。
なお、制度の利用率が上がらない場合は上司に積極的に制度を利用してもらうと、職場全体に制度を利用しやすい雰囲気を作れます。

期待していることを伝える

期待していることを伝えることは、若手社員のモチベーション向上につながります。
特に、貢献意欲の強い若手社員にとって「会社に必要とされている」と感じさせることは重要です。
期待していることを伝える際は、主観的な意見だけでなく客観的な評価も合わせて伝えると良いでしょう。
さまざまな社内関係者からの評価を伝えることで、自分がどのような評価を受け、どのような成長や役割を求められているのか理解できます。

会社のビジョンや計画を定期的に発信する

会社のビジョンや計画を発信することも、早期離職防止に効果があります。
組織内での自分の役割や存在意義が分からないと「なぜこの会社で働いているのか」と目的や目標を見失ってしまいかねません。
会社のビジョンや計画を理解することで、自分の仕事がどのように会社のビジョンや計画の実現に結びついているのかが理解できます。

定期的に組織サーベイを実施する

定期的な組織サーベイの実施も、早期離職防止に効果があります。
組織サーベイとは、自社の問題把握や改善活動を目的に行われる従業員向けのアンケートのことです。
組織サーベイを実施することで、若手社員が何に不満を感じているのかタイムリーに調べられます。
なお、組織サーベイの実施後には、改善活動やフィードバックをしっかりと行いましょう。
組織サーベイを実施したにもかかわらず状況が改善されないと、若手社員はかえって会社に対して不信感を抱いてしまいます。

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