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従業員体験(Employee Experience)とは?向上した企業事例を紹介

従業員体験(Employee Experience)とは?向上した企業事例を紹介

従業員体験は、英語の「Employee Experience」を和訳した言葉で、企業において従業員が働くことを通じて得られる経験や体験を意味します。
昨今、労働の対価として賃金だけでなく体験ややりがいを重視する人が増えているため注目されています。
今回は、従業員体験の概要や各企業の具体的な取り組みについて紹介します。

従業員体験(Employee Experience)の意味

「エンプロイー・エクスペリエンス(Employee Experience)」は直訳すると「従業員の経験」という意味の言葉です。
ここでいう従業員の経験とは、単に仕事に従事するうえで得た経験やスキルだけにとどまらず、従業員の満足度や健康状態をはじめ、会社や組織のなかで経験するすべてのことを含む考え方です。

ビジネスの現場では働きがいや職場環境を整えることも含め、従業員の経験価値を高めていくことが求められるようになっています。

↓エンプロイー・エクスペリエンスの意味や向上させる方法について紹介した記事はこちら↓
エンプロイーエクスペリエンスとは?高める方法や事例を紹介

従業員体験が重要視される理由

従業員体験が重視される昨今では、労働は単なるお金を稼ぐ手段としてではないと考える人が多くなっています。
仕事をすることによって満足したりスキルを向上したりといった体験が得られるかどうかを、働く企業を選ぶ上で重要視しています。
それではなぜ、人々はこのように考えるようになったのでしょうか。
それには大きく3つの要因があります。

1.人材の流動化

特に日本においては、一昔前は企業で働くということイコール終身雇用を意味しており、企業は働き手を確保すれば長期間人材を確保することができました。
しかし近年では自身のライフワークバランスを考える人が増え、またマーケットもグローバルになったことにより働き方にさまざまな選択肢が生まれるようになっています。
これが人材の流動化です。
転職をしたり一定期間休職をしたりといった必ずしも一つの企業で働き続けない選択を考える人が増えたことで、働くことに対するお金以外の要件も重要視されるようになっています。

2.人的資源の減少

現在の日本では労働人口の減少が続いています。
人材について研究を行っているシンクタンク「パーソル研究所」の調査では、2030年には7073万人の労働需要に対して6429万人の労働供給しか見込めず、644万人の人手不足となる見込みです。
そのため各企業は、自身の会社で働いてもらうために単なる賃金だけでないメリットを労働者に提供する必要が出てきました。
労働者にとってだけでなく経営者の目線で見ても、従業員体験は今後の働き方を考える上で重要な指標です。

3.インターネットの普及による会社の評判の流布

現在は就職・転職を行う際にインターネットを使って企業情報を集める人も少なくありません。
特に実際に働いていた人が企業の評判を書き込める「口コミサイト」では、会社が従業員の満足度向上のためにどのような施策を行っているのかが赤裸々に記載されることもあります。
このような口コミサイトは年々その数を増やしており、例えばジョブマーケット・プラットフォームの「OpenWork」では2020年9月に「社員クチコミ数」が1000万件を突破するなど大きな盛り上がりを見せています。
このように企業内情報が広く知られてしまう時代の中で、経営者はどれだけ従業員のことを考えた経営をしているかが問われるようになっています。

従業員体験を向上する方法

昨今大変注目されている従業員体験はどのようにすれば向上させることができるのでしょうか。
ここでは具体的な施策を2点紹介します。

1.エンプロイージャーニーの設計

エンプロイージャーニーとは、従業員が入社から退職までの間にどのような体験をしていくのかを視覚化したものです。
従業員が働く間にたどる筋道を明確にすることで、その中でどのような体験がプラスになるのか、そして企業が具体的にどのようなアクションを従業員に行うのかといったことを考えられます。
エンプロイージャーニーを設計する上では、単に従業員がどのようなキャリアプランを辿るのかといった業務的なことだけではなく、その中でどんな感情を持ちどんな行動をするのかを考えることが重要です。
例えば感情面では、「ストレスのない同僚・上司との関係が築ける職場環境が整っているか?」「会社に不安や不満を抱えてしまったときにそれをマネージャーに伝えやすい仕組みがあるか?」などを考えます。
従業員の目線に立ち、実際に職場で体験することをシミュレーションすることがエンプロイージャーニーにおいては重要です。

2.健康経営の促進

現代社会では心身ともに健康な状態で働き続けることのできる職場環境が重要視されています。
先述したとおり従業員には転職や休職といった選択肢が広まっているため、仕事が原因でストレスや病気などを抱えてしまう場合は、自身を守るためにもその企業を離れていかざるを得ません。
健康経営の促進にあたっては、オフィスの設備を整えることで働きやすい環境にしたり、業務効率を向上するITツールの導入により残業を減らしたりする施策が考えられます。
従業員がストレスフリーな状態で業務に集中することができれば、離職率を下げるだけでなく生産性の向上にもつなげることができるため大変効果的です。

実際に従業員体験を向上させた有名企業の施策事例

従業員体験を向上させた具体例として、実際に従業員の満足度が高い有名企業を2つ紹介します。

まず1つ目は、世界的な民泊マッチングサービスである「Airbnb, Inc.」です。
Airbnbでは社内に「Employee Experience」という部署を設けており、ここで働きやすいオフィスの設計や報酬に関する制度づくり、従業員のキャリア開発などを行っています。
中でも特に重点的に実施されているのが、「オンボーディングプロセス」と呼ばれる新入社員がスムーズに仕事や仕事や企業文化に慣れるための施策です。
Airbnbの企業目標やそこに向けた戦略、具体的な自社サービスの説明などを研修で学び、すぐに職場環境に馴染むことができるよう支援しています。
Airbnbのこのような施策は、CEOであるブライアン・チェスキー氏の考え方を大きく反映しています。
チェスキー氏は従業員が企業の理念に共感し、全員がそれに向かって努力することが重要だと考えています。
彼が最初に従業員を雇った際には、実際に自ら1000人以上の履歴書を確認し、100人以上の面接を行ったといいます。
それだけ企業と従業員の考え方がマッチしているかを重視しており、逆に企業側も従業員の求める働き方にマッチさせるよう経営をしているのです。

2つ目は、日本の家具小売大手である「株式会社ニトリホールディングス」です。
ニトリでは従業員ひとりひとりの従業員体験を作ることに大きく力を入れており、先述したエンプロイージャーニーの作成を行っています。
特徴的なのは、エンプロイージャーニーをそれぞれの従業員に作成してもらう点です。
これにより将来的にどのような経緯を辿って仕事をし、何を目標としていくのかなどを自信やマネージャーが把握できるようになったといいます。
ここから個人の持っている価値観と企業の施策とをマッチできるようになり、従業員満足度の向上に繋がりました。

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従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

今回は、従業員体験の概要や各企業の具体的な取り組みなどについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。

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