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人的資本とは?開示項目や上場企業の開示事例を紹介
一部の上場企業に対して2023年3月から人的資本情報の開示が求められています。
既に上場企業では人的資本情報の開示が始まっていますが、その内容や見方について疑問を抱えている方も少なくないと思います。
そこで今回は、人的資本の概要や開示が求められている項目、有名上場企業の開示事例などについて紹介します。
もくじ
人的資本とは?
人的資本とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出そうとする考え方のことです。
多くの企業にとって、人材はどちらかといえば効率よく消費していく「資源」であって、従業員にかかるお金は「コスト」の一部でしかありません。
コストは少しでも削減したいという考えのもと、従業員へ積極的に投資しようという企業は多くないのが現状です。
ただし、お金のことばかり考えて従業員の能力に磨きをかけずにいれば、中・長期的な企業価値の向上は見込めないでしょう。
そこで重要になるのが、海外では常識でもある人的資本という考え方です。
人材を育てるには一定の投資が必要になります。
そこを削るのではなく、従業員のスキル向上に対して積極的に投資していくことで、企業価値の向上につなげようという経営戦略が求められています。
人的資本の開示項目
一部の上場企業に対して、2023年3月から開示が求められている人的資本情報は19項目に及びます。
なお、これら項目は、「人材育成」「エンゲージメント」「流動性」「多様性」「健康・安全」「労働慣行」「コンプライアンス」の7分野にまとめられています。
1.人材育成
人材育成分野は、「リーダーシップ」「育成」「スキル・経験」の3項目です。
具体的には、「会社の将来を担う後継者の育成」「従業員への研修や教育によるスキルの向上」「業務を通しての経験の蓄積」などです。
また、「優秀な人材の確保と定着のための取り組み」に関する情報なども含まれます。
2.エンゲージメント
エンゲージメント分野には、「従業員満足度」が入っています。
エンゲージメントとは、「従業員が会社に対して愛着を深め、貢献度を高めようとする意識」を指す言葉です。
そのため、当項目には、「福利厚生」や「職場環境」とともに、「業務に対するやりがいの度合い」や「ストレス・不満などの数値化」が含まれます。
なお、数値化には、サーベイやストレスチェックといったツールが使われます。
3.流動性
流動性分野に入るのは、「採用」「維持」「サクセッションプラン(後継者育成計画)」の3項目です。
「人材の確保と定着に対する取り組み」や「採用にかかるコストや離職率」などを開示します。
4.多様性
多様性分野に入るのは、「ダイバーシティ」「非差別」「育児休業」の3項目です。
「国籍、人種、性別を問わない多様な人材の採用率」「男女それぞれの業務内容や給与」「育児休業取得率」などを記載します。
5.健康・安全
健康・安全分野に入るのは、「精神的健康」「身体的健康」「安全」の3項目です。
「欠勤率」や「労災の発生率」といった、従業員の心身に関する健康に配慮した取り組みなどを記載します。
6.労働慣行
労働慣行分野に入るのは、「労働慣行」「児童労働・強制労働」「賃金の公正性」「福利厚生」「組合との関係」の5分野です。
「適正な賃金の支払い状況」「不正労働の有無」「福利厚生の種類」「労働組合員の対象者割合」などを記載します。
7.コンプライアンス
コンプライアンス分野に入るのは、「法令遵守」です。
「法律の遵守」や「倫理の確立」などに関する情報を記載します。
有名上場企業の開示事例
対象となる上場企業では、人的資本情報の開示が進んでいます。
本項目では、有名上場企業8社の主な開示事例を紹介します。
1.日立製作所
日立製作所にとって、人的資本はサステナビリティ(持続可能)な目標を実現するための大切な財産です。
この財産を充実させるための戦略として、「多様性」に関する人的資本情報を開示しています。
具体的には、「女性や外国人の役員比率」や「国内外のデジタル人材数」などです。
2.三井化学
三井化学では、自社の長期戦略に対する優先課題として、「人材の採用・育成・定着」や「グループとグローバル経営の強化」といった情報を開示しています。
独自の取り組みとしては、「人材の採用・育成・定着」に関する「後継者準備率」という数値の開示が挙げられます。
3.伊藤忠商事
伊藤忠商事が最重要課題として取り組んでいるのは「従業員の持続的な能力開発」です。そのための目標と行動計画として、「総合職と管理職の女性比率」や「従業員エンゲージメントスコア」などを開示しています。
4.オムロン
オムロンが重要視しているのは、「多様で多彩な人材の活躍」や「リーダーの育成と登用」です。
そのために、従業員の取り組みを表彰する制度を設けて、「参加人数」や「エントリー数」を開示しています。
その他の際立つ情報としては、海外支社で採用した従業員の育成に関する「海外重要ポジションに占める現地化比率」が挙げられます。
5.エーザイ
エーザイが重点的に取り組むのは、「新しい価値創造に貢献する人材の輩出」です。
そのための取り組みとして、業績管理評価のための重要な指標である、「KPI(重要業績評価指標)」を設定して開示しています。
6.第一生命ホールディングス
第一生命ホールディングスが人材への投資として取り組むのは、「従業員の能力開発」や「ワークライフマネジメント」です。
これらに関連する人的資本情報として、「女性管理職比率」や「男性従業員の育児休業取得率」などを開示しています。
7.積水ハウス
積水ハウスが開示している人的資本情報は、「女性管理職と中途採用者の数と比率」や「海外子会社における現地採用管理職の数と比率」などです。
特に、女性管理職に関してはKPIを設定して開示しています。
8.双日
双日では、人材戦略として「多様性」「挑戦」「成長」を掲げ、それぞれのKPIを設定して開示しています。
「多様性」分野で開示されている指標は、「女性従業員比率50%と女性課長職比率20%」や「外国人のCxO(業務執行統括責任者)比率50%以上」などです。
次の「挑戦」分野では、「挑戦指数と成長・貢献実感指数90%以上」という指標が開示されています。
最後に、「成長」分野で開示されているのは、デジタル基礎研修を修了した割合を示す、「デジタルエキスパート比率25%以上」という指標です。
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