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なぜ地方企業の採用は難しい?「採用できない」を解決する方法や成功事例を紹介

なぜ地方企業の採用は難しい?「採用できない」を解決する方法や成功事例を紹介

少子高齢化や転職活動の一般化などによって、地方の企業は採用難易度が上がっており、今後もさらに採用できないという状況に陥ることが予測されています。
なぜ地方企業は特に採用できなくなっているのでしょうか。
今回は、地方企業の採用活動における状況や採用できない原因、対策などについて紹介します。

地方企業の採用活動における状況

地方の採用活動は、労働力人口の減少や都市部への人口流出などにより、厳しい状況にあります。
ここでは、地方の採用活動における状況を紹介します。

労働力人口の減少(予測)

少子高齢化が進む日本では、労働力人口が減少が予測されています。
労働力人口とは、15歳以上の就業者と完全失業者を合計した人口のことです。
完全失業者とは、就業していないが1週間以内に求職活動を行っており、すぐに就業できる者を指します。
みずほ総合研究所によると、2020年には約6,000万人いる労働人口が2065年には約4,000万人にまで減少すると予測されています。
労働力人口が減少すると、あらゆる業界において人材不足や採用難に陥るでしょう。
全国的に採用難が進むと、都市部の企業が地方の人材獲得に動き出すため、地方採用は今後ますます厳しくなると予測されます。

都市部への人口流出

都市部への人口流出も、地方採用を困難にさせる一因です。
総務省が2023年に実施した「住民基本台帳人口移動報告」によると、東京・名古屋・大阪圏の転入超過数は10万7635人でした。
転入超過数とは、他の都道府県からある地域に住所を移した者(転入者)の数からある地域を越えて他の都道府県へ住所を移した者(転出者)の数を差し引いた数のことです。
大阪圏の転入超過数は横ばい傾向にあるものの、東京・名古屋圏は増加傾向にあり、特に東京圏の転入超過数は12万6515人と人口の集中が顕著となっています。

一方、首都圏や一部の大都市圏以外の40道府県では転出者の数が転入者の数を上回っており、人口が減少する結果となりました。
都市部への人口流出が進むとスキルを持った人材が都市部へ集中するため、地方では採用難に陥りやすくなります。
また、都市部へ流出する人口の多くは15〜29歳の若年層です。
地方では、若い人材の不足が深刻化するでしょう。今後、都市部への人口流出は加速するといわれており、地方採用はますます難しくなると予測されます。

参考:住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果

高齢化

人口の高齢化も地方採用の課題の一つです。
内閣府の調査によると、2022年の総人口のうち、65歳以上の人口の割合(高齢化率)は地方を中心に30%前後となっています。
そのため、若い人材を求めている企業にとっては、思うように採用を進められない状況です。
また、内閣府の予測では2045年には高齢化率が最も高い秋田県では50.1%、最も低い東京でも30.7%に達すると見込まれています。
そのため、今後地方では深刻な人材不足や人材獲得競争の激化や人件費の高騰などの問題が生じるでしょう。

参考:4 地域別に見た高齢化|令和5年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府

有効求人倍率の高騰

地方採用が難しくなっている背景に、有効求人倍率の増加が挙げられます。
有効求人倍率とは、求職者数に対する求人の数の割合です。
例えば、求職者数が50人に対して求人の数が100件の場合、求職者1人あたり2件の求人があるため、有効求人倍率は2倍となります。
厚生労働省の発表によると、2024年6月の有効求人倍率の全国平均は1.23倍となっており、2014年以降有効求人倍率が1倍を下回った年はありません。
求職者より求人の多い状況が長期的に続いている中、都市部の企業に比べて条件面で優位性を出しにくい地方企業は採用に苦戦しやすいでしょう。
今後も、少子高齢化や人口の流出により有効求人倍率は上昇すると見込まれており、地方採用は厳しい状況にあります。

参考:一般職業紹介状況(令和6年6月分)について | 厚生労働省

地方企業が採用できない主な課題

ここでは、地方採用における課題を紹介します。
地方採用を成功させるには、現在抱えている課題を把握することが重要です。

自社の採用活動における課題が不明確

地方企業の中には、自社の採用課題が不明確なまま採用活動を行うケースがあります。
採用課題を把握しないと、課題への対策や自社に適した人材を確保する施策を講じられず、採用活動が難航するでしょう。
そのため、自社が採用活動においてどのような悩みや課題を抱えているのか現状を整理しなければなりません。
採用課題は「外的要因」と「内的要因」の2種類に分けられます。
外的要因とは、政治や経済や景気など周囲の環境にある要因のことです。
一方、内的要因とは「自社の強みを言語化できていない」「採用担当者のスキルが無い」などのように自社の中にある要因のことです。
採用課題を解決するには、この内的要因をいかに改善するかが重要になります。
特に、外部の視点が不足しがちな地方企業は採用課題を客観的に探せない傾向にあるため、こうした分析方法を使って課題を明確にする必要があります。

採用ターゲットが不明瞭

地方の中小企業では、採用に関するノウハウが蓄積されていない傾向にあるため、採用ターゲットが定まっていない場合があります。
しかし「人手が足りない」「人材を確保したい」など漠然と採用を進めても優秀な人材はなかなか集まりません。
採用ターゲットが不明瞭になると、自社と合わない人材からの応募の増加や自社が求めている人材の不採用など、採用方針にブレが生じてしまいます。
また、採用ターゲットが定まらないとどの層に自社の強みや魅力をアピールすればよいのかわからないため、採用活動が思うように進まないでしょう。
採用業務の効率が悪化し、採用活動が長期化してしまう恐れもあります。

母集団が不足している

地方では少子高齢化に加えて都市部への人口流出による人口の減少が進んでいるため、地方企業の多くは母集団が不足している傾向にあります。
採用における母集団とは、自社に興味を持つ求職者のことです。
近年では地方人材の獲得に力を入れる大企業も増えており、全国規模の大企業に比べて知名度の低い地方企業は母集団を形成しにくい状況にあります。
母集団が不足していると求人を公開しても応募が集まりにくくなるため、採用活動が長引いてしまうでしょう。
また、人手不足に悩む地方企業では母集団が不足しているのにもかかわらず人材に求めるスキルが増える傾向にあり、採用基準が高くなっています。
こうした背景も重なり、募集を出しても希望の人材が集まらない地方企業が後を絶ちません。

適切な媒体を活用できていない

ハローワークや求人情報誌やWeb求人サイトなど、求人媒体にはさまざまな種類がありますが、どの求人媒体にも採用ターゲットとなる人材がいるわけではありません。
大手の求人媒体に募集を出したとしても、自社と合わない人材から募集が来たりそもそも応募が集まらなかったりする恐れがあります。
また、都市圏に比べて応募者が少ない地方は求人広告の効果が出にくいといわれています。
そのため、採用ターゲットを明確にしたうえで職種や雇用形態に合った求人媒体を選定・活用し、求人広告の効果を最大化しなければなりません。

採用に関する情報を発信できていない

地方採用の大きな課題の一つが情報量の少なさです。
地方企業が提供する情報が少ないと、自社の存在を求職者に認知させられません。
また、存在自体は認知されていても求人を出していることを知らない場合もあるでしょう。
全国的に知名度のある都市部の企業に比べて地方企業は知名度が低いため、採用に関する情報が少ないと求職者の関心を引き付けられません。
さらに、求人情報に仕事内容や条件が詳細に書かれていない場合、求職者が地方企業に興味を持ったとしても応募をためらう恐れがあります。
企業の思いや求める人材など、求職者が望む情報を掲載せず企業目線の情報ばかり掲載している場合は要注意です。

転職潜在層にアプローチできていない

中途採用を募集している地方企業の中には、現在転職活動を行っている転職顕在層にのみアプローチしているケースがあります。
しかし、転職顕在層へのアプローチだけでは企業の採用の幅が狭まってしまうため、十分な応募数を集められないでしょう。
中途採用を実施する際は、現在転職活動を行っていないが今後転職したい、好条件の求人があれば転職したいと考えている転職潜在層へのアプローチも必要です。
特に、地方企業の場合は将来的に地方への移住を考えている転職潜在層にもアプローチすることが重要になります。

地方企業の採用できないを解決する方法

ここでは、地方採用を成功に導く方法を紹介します。
全ての施策を一度に行うのではなく、できる取り組みから着実に進めることが大切です。

採用ターゲットを明確にする

地方採用を実施する際は、求める人材の人柄や実績やスキルなど採用ターゲットの人物像を明確にしましょう。
採用ターゲットを明確にすると、採用ターゲットに対して自社の存在を効果的にアピールできます。
また、採用ターゲットが就職・転職活動で何を重要視しているかを考えることも大切です。
例えば、スキルを身につけたいと考えている人には資格取得支援制度を、プライベートを大切にしたいと考えている人には在宅勤務制度をアピールするなどが挙げられます。
ただし、採用ターゲットに求める要件を細かく決めすぎると要件にマッチする求職者が見つからない恐れがあります。
そのため、求める要件を決める際は優先順位を整理することが重要です。

自社の仕事内容や強みをWebで発信する

地方採用を成功させるには、地方の求職者だけでなく都市部の求職者にもアプローチする必要があります。
しかし、フリーペーパーやタウン誌などの求人広告や新聞広告では、都市部の求職者にアプローチできません。
多くの求職者にアプローチするには、自社の仕事内容や強みをWebで発信することが大切です。
採用活動に特化したWebサイトを作ったり求人サイトや求人検索エンジンに情報提供したりして、自社で働く魅力をアピールしましょう。
また、近年ではSNSを活用して情報発信する地方企業も増えています。
SNSの多くは無料で利用できるうえに拡散力も強いため、採用活動費を抑えながら多くの人に自社の情報を発信できるでしょう。
なお、Webで情報発信する際は自社のアピールポイントを言語化することが大切です。
3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用して、自社と競合他社の分析を行いましょう。
自社と競合他社の違いを把握できれば、自社の強みが明確になります。

Uターン、Iターン人材にも情報を届ける

地方採用では、Uターン・Iターン人材へのアプローチが大切です。
Uターンとは、生まれ育った場所以外で就職・進学した後、故郷に戻って就職することを指します。
Iターンとは、生まれ育った場所以外で就職・進学した後、出身地ではない場所へ移住して就職することです。
近年、就職活動の厳しさや経済状況の懸念から地元で就職しようと考えている学生が増えています。
株式会社マイナビの調査によると、Uターンを含む地元就職を希望する2025年卒業の大学生は62.3%に上りました。
Iターン就職に関心のある2025年卒の就活生も44.4%となっており、Uターン・Iターン人材は一定数存在することがわかります。
こうしたUターン・Iターン人材にも情報を発信すると母集団を拡大させられるため、採用率が上がるでしょう。
また、移住支援制度やテレワーク制度なども用意すると、求職者の不安を軽減させられます。
自治体によっては、Uターン・Iターンを促進する助成金や補助金を支給している場合もあるため、企業による支援が難しい場合は自治体のサポートを活用しましょう。

参考:2025年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査 | マイナビキャリアリサーチLab

適切な採用媒体を活用する

採用ターゲットに合わせて適切な採用媒体を活用することも重要です。
例えば、一口に求人サイトといっても「新卒採用向け」「中途採用向け」「アルバイト・パート向け」などさまざまな求人サイトが存在します。
また、ハローワークは多くの求職者に発信できる一方で求人が埋もれやすく、求人情報誌はWeb媒体を使わない求職者に発信できる半面一部の地域にしか発信できません。
採用媒体ごとの向き不向きを把握したうえで、どの採用媒体を活用するか取捨選択する必要があります。
Uターン・Iターン採用を行いたい場合は、地方企業向けの転職イベント・セミナーへの参加や地方転職向けの人材紹介サービスの利用が効果的です。
また、地方に住んでいる人材を集めたい場合、全国的に展開されている採用媒体よりも地元の新聞や情報誌やメディアに掲載したほうが集まりやすいでしょう。

オンライン面接の環境を整える

企業の所在地と求職者の住所との距離が大きく離れている場合、面接の際に時間や交通費がかかってしまいます。
特に、地方企業は首都圏から離れているため、求職者が負担の大きさから応募を断念してしまうかもしれません。
遠方に住む求職者を採用ターゲットにする場合は、オンライン面接の環境を整えることが必要です。
二次面接や適性試験などはWebで行い、最終面接のみ対面で実施すると、応募のハードルを抑えながら採用活動を進められます。
なお、オンライン面接を導入する際は通信環境を整えることが大切です。
ツールを導入しても音声が乱れたり回線が途中で切れたりするなど、トラブルが起きるケースも珍しくありません。
マイクやイヤホンなどの機材や有線の環境を整えたうえで、事前に社内でテストしてトラブルを防ぎましょう。

リファラル採用を強化する

地方採用で活用したい採用手法として、「リファラル採用」が挙げられます。
リファラル採用とは、社員から自社にマッチする候補者を紹介してもらう採用手法のことです。
自社を理解している社員からの紹介であるため、採用のミスマッチが起きづらく採用費も抑えられます。
特に、地方では横のつながりが強い傾向にあることから、リファラル採用が効果的です。
リファラル採用を強化する方法として、候補者を紹介してくれた社員に報酬を与える、自社を紹介しやすくするために資料やツールを用意するなどが挙げられます。

地方企業の採用成功事例

ここでは、地方企業の採用成功事例を紹介します。
実際の事例を参考にして、地方採用を成功につなげましょう。

北海道の製造業のドライバー採用

ある北海道の企業は、求人サイトでドライバーと工場内スタッフを募集していましたが、応募数が少なく、応募が来ても年齢面でミスマッチが起きていました。
そこで、採用ターゲットである若い年齢層からの応募を獲得するため、登録者の年齢層が比較的若い求人サイトに変更します。
また、通勤圏内に住んでいる求職者をターゲットに、給与や雇用形態まで絞って直接スカウトを送りました。
さらに、応募者を獲得するために北海道のドライバーの平均月給よりも高い月給であることをアピールしました。
具体的な走行距離の数値も記載して、日帰りで勤務できる残業の無い働きやすい職場であることを強調します。
その結果、ドライバー2名と工場内スタッフ1名の採用に成功しました。
適切な採用媒体の活用と発信内容の見直しが功を奏した好例です。

福岡県の飲食業の料理長採用

福岡県を拠点に焼肉店を展開しているある企業は、新規店舗のオープンのためにマネジメントスキルを持つ料理長を探していました。
飲食業界に特化した求人サイトや、地方専門の求人サイトに掲載していましたが、いずれも応募が集まらず採用活動が進んでいませんでした。
そこで、こだわりの牛肉の仕入れに関する情報や、企業の歴史などをアピールし、企業のビジョンを押し出す原稿内容に変更します。
また、地方の中でも比較的大都市である福岡市での募集だったため、大手求人サイトに切り替えました。
さらに、スカウト機能を使って求職者一人ひとりにアプローチしながら、既読率や応募数などのデータを基に1週間に1度のペースでスカウトメールの文面を見直します。
その結果、調理・マネジメント経験者1名の採用に成功しました。
自社の仕事内容や強みをアピールしたことで採用に成功した好例です。

沖縄県のコールセンターのSV採用

沖縄県のコールセンターでは、責任者や管理者にあたるSV(スーパーバイザー)を募集していました。
1年を通して地元のフリーペーパーで求人情報を掲載していましたが、沖縄県はコールセンターが多いうえに他社に比べて給与も低かったため、採用活動に苦戦していました。
そこで、応募件数を増やすために求人サイトを使い、未経験者向けと経験者向けの2つの求人ページを作ります。
また、市だけでなく区や町まで求人ページ内に記載し、該当エリアで勤務希望の求職者を取りこぼさないようにしました。
さらに、入社お祝い金があることも求人ページ上部に掲載し、給与の少なさをカバーします。
その結果、フリーペーパーに掲載していた時よりも応募数が倍以上になり、コールセンターのSV2名の採用につながりました。

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