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ノーレイティングとは?導入メリットや事例を紹介
社員をランクで評価しない「ノーレイティング」という新しいスタイルの人事評価制度をご存知でしょうか。
日本でも導入する企業が増えている話題の制度で、「自社に合うのかわからない」と導入を迷っている人事担当者の方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、ノーレイティングの基礎知識や導入メリット、実際に導入している企業の事例などを紹介します。
もくじ
大企業も導入を進める「ノーレイティング」とは?
日本では、多くの企業が「レイティング」と呼ばれる人事評価制度を導入しており、社員ごとに年次目標などを設定して、成績や目標達成率などを基準としてほかの社員との相対評価を行うケースが一般的です。
一定の基準があることで社員の評価を行いやすいというメリットがある一方で、過程や普段の姿勢などを評価しにくいことや、社員をランク付けするため従業員間で格差を感じてしまうという問題点もありました。
こういった従来の人事評価制度の問題点を解決するべく、新たに考え出されたのが「ノーレイティング」です。
ノーレイティングとは、従来とは異なり、社員の能力を単純なランク付けによって判断しない新たな人事評価制度です。
ノーレイティングでの評価方法
ノーレイティングでは、期末や年度末にまとめて成果を確認するのではなく、リアルタイムで細かな目標設定とフィードバックを行います。
ノーレイティングを導入することによって、短いスパンで定期的に評価を行えるため、業務に対する姿勢や過程、人物像といった見えづらい部分まで含めた総合的な評価が行えます。
さらに、半年や年に1度しか行われない従来の人事評価制度とは違い、変化の激しい日々の業務に対する適正な評価を行いやすくなります。
この評価方法では、従業員ごとに目標の設定が行われるため、一定の基準による従業員ランク付けが意味をなしません。
そのため、ノーレイティングでは画一的なランク付けが廃止され、個々の社員に合わせた基準で評価が行われています。
なお、ノーレイティングは「評価をしない制度」と誤解されることもありますが、人事評価そのものをしないわけではなく、あくまでも「ランク付け」と期末・年度末など「長いスパンでの評価」をしないだけですので、導入や社内説明の際は注意しましょう。
ノーレイティングを導入するメリット
ノーレイティングには、主に3つのメリットが期待されています。
1.リアルタイムの目標設定・評価が可能
従来の人事評価制度では、多くのケースで半年または1年に1度しか評価が行われていませんでしたが、企業を取り巻く環境は常に変化しており、それに応じて社員の業務も日々変わっていきます。
そういった状況では、当初設定した目標と実際の環境が乖離し、適切な評価が行えないことも起こり得ます。
この点、頻繁に目標の設定や評価を行うノーレイティングであれば、その状況に合わせたリアルタイムの目標設定や評価が可能であるため、「今求められていること」を社員が自覚しやすくなり、能動的に行動できるようになるなどのメリットが期待できます。
また、その社員や所属する部署が抱える課題なども見つけやすくなり、改善することで企業全体の生産性向上を実現できることも期待できます。
2.従業員の評価への納得感が高まる
従来の人事評価制度では、評価を受ける時点ではなく、目標を設定した頃の過去の行動が評価の対象になるため、「今はもっとやれるのに」と評価に不満を感じる社員も少なくありません。
これに対し、ノーレイティングでの評価であれば、現状や自分のスキルにその都度合わせたリアルタイムの目標設定・評価が可能になります。
「今の自分に最適な目標を設定できる」「現在の行動や努力を正しく評価してもらえる」と社員が考え、評価への納得感や日々の業務へのモチベーションが高まることが期待できます。
3.様々な働き方でも適した評価が行える
働き方改革により、現代では時短勤務や裁量労働、テレワークなど多様な働き方が導入されるようになりました。
一定の基準で評価されていた従来とは違い、ノーレイティングでは社員ごとの状況に合わせた目標設定や評価が行われるため、多様な働き方の中でも臨機応変に目標の設定や修正を行いやすいです。
労働力不足が懸念される現代では、今後も多様な働き方が広がっていくと考えられており、適切な対応や評価が可能なノーレイティングの必要性はますます高まっていくと思われます。
ノーレイティングの導入事例2選
ノーレイティングによる評価にはどのような効果が期待できるのか、実際の導入事例を2社紹介します。
マイクロソフト株式会社のノーレイティング導入事例
1社目は、世界的企業として知られる「マイクロソフト株式会社」です。
従来は社員にランク付けを行うレイティングを導入していましたが、より良い評価をもらうためには、競合他社ではなく隣の席の同僚と争う必要があったため、社内で不健全な競争が起きていました。
これでは企業としての成長が見込めないと危機感が高まり、評価基準を従来の目標達成率から「企業や顧客へインパクトを与えたか」を基準とした個人評価へ変更しました。
2週間に1度のペースで上司と部下による1対1の打ち合わせを行い、社員には評価の仕組みをすべて公開しています。
同僚との競争ではなく、企業・顧客への貢献度や周囲へのサポートの有無などによって評価が決まるため、社員が高いモチベーションのもとで働けるようになりました。
その後も1年に1度は社員に意識調査を行い、社員がより意欲的に働ける環境づくりを追求しています。
この結果、ノーレイティングを導入した2010年からの5年間で生産性を26%高め、女性の離職率を40%抑えるという成果を残しています。
カルビー株式会社のノーレイティング導入事例
2社目は、大手菓子メーカーとして知られる「カルビー株式会社」です。
カルビーでは、その年のはじめに企業と社員の間で「Commitment & Accountability」と呼ばれる契約を結びます。
C&Aの内容は社員ごとに異なり、評価は一律の人事評価制度ではなくC&Aの達成具合によって決まります。
C&Aはトップ層からブレークダウンしていくため個々の目標が影響し合う場合も多く、日ごろから社員どうしがフォローやサポートを行う場面が増えました。
カルビーでは、この新たな人事評価制度を含んだ働き方改革により、5年で利益率を10倍にに上昇させています。
従業員が定着・活躍できる職場環境を整えよう
今回は、ノーレイティングの導入メリットや実際の導入事例について紹介しました。
従業員にとって、目標設定や評価をはじめとした働く環境に対する満足感は働く上で生産性に大きな影響を与えるとともに、企業で頑張り続けるか退職するかを決める要因でもあります。
従業員が安心して働き続けるとともに、その会社で活躍するためには、会社は、職場環境に対して投資を行うことが必要です。
Take Actionでは、従業員相互に感謝や賞賛のメッセージを送り合える社内SNS「THANKS GIFT」を提供しています。
「THANKS GIFT」では、会社の大事にしているミッションやバリューを浸透させるとともに、感謝や賞賛のコミュニケーションを通して、従業員がより定着・活躍できる職場を作ることが可能なサービスです。
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