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タレントプールとは?メリットや活用方法、企業事例を紹介

タレントプールとは?メリットや活用方法、企業事例を紹介

採用難易度が高騰しており、なかなかターゲットとなる人材を採用できない、求人を不定期で出すために毎回母集団形成を行う必要があるといった課題を持つ企業が近年力を入れているのが、タレントプールの構築です。
一度、採用活動で接点を持った方や採用したい候補者の情報を蓄積しておくことで、求人を出した後にすぐアプローチできるなど、採用活動がより上手くいく可能性を高められます。
今回は、タレントプールを構築するメリットや実際の活用方法、企業事例などについて紹介します。

タレントプールとは?

タレントプールとは、将来採用するかもしれない優秀な人材を中長期的に確保すること、またはそのデータベースのことで、人材プールとも呼ばれます。
優秀な人材に対して適切なタイミングでアプローチを行える効率的な採用活動として、企業に利用されています。

タレントプールが注目される背景

近年、タレントプールはさまざまな社会的要因により注目されています。
注目される理由として、以下の3点が挙げられます。

人材獲得難易度の高騰

近年、人材獲得の難易度は上がり続けています。
帝国データバンクの調査では、約半数以上の企業が正社員不足と回答しています。
多くの企業が人材不足に陥っている中、自社の募集条件に合った人材を獲得することは困難です。
また、人材確保を困難にさせる要因の1つとして、少子高齢化による労働人口の低下も挙げられます。
厚生労働省によると2070年には、総人口が9,000万人を割ると推計されており、高齢化率もさらに上昇すると予測されています。
少子化が進むと新卒の一括採用が難しくなるため、中途採用の人材獲得競争がますます激化するでしょう。
若い労働者の割合も減少するため、社員の高齢化や後継者不足なども起こる恐れがあります。
さらに、雇用形態の多様化も人材獲得を困難にさせる要因です。
企業のほとんどでは、正社員やパートや派遣社員など多様な雇用形態が混在しています。
そのため、正社員として雇われていた人が多かった時代に比べ、人材の確保が流動的になりました。
こうした背景の中、新たな採用の仕組みとしてタレントプールが注目されています。

参考:人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月) 我が国の人口について|厚生労働省

スペシャリスト人材の人手不足

急激な技術革新や企業のグローバル化が進む中、専門的な知識やスキルを持つスペシャリスト人材の需要が高まっています。
これからの時代は、人工知能やロボット工学など最新のテクノロジーに精通した人材が不可欠です。
しかし、スペシャリスト人材は希少であり、企業の求める専門的な知識やスキルを持った人材の獲得は困難です。
パーソル総合研究所と中央大学の共同研究によると、2030年には「専門的・技術的職業従事者」が約200万人不足すると予測されています。
こうした厳しい状況下でスペシャリスト人材を確保するため、タレントプールに期待が集まっています。

参考:労働市場の未来推計 2030

人的資本経営の浸透

人的資本経営とは、人材を企業の資本として捉え、その価値を見いだして企業価値の向上につなげる経営手法です。
現代では、自社の人材が持つ能力にまつわる情報を公開する人的資本の情報開示が国際的に始まっています。
アメリカでは2020年8月から、日本では2023年3月期決算から上場企業を対象に情報開示が義務化されました。
情報開示の義務化により、人材のスキルや知識を資本として捉える人的資本経営の考えが広まります。
その結果、タレントプールを構築して資本となる優秀な人材を獲得する動きが活発化しています。

タレントプールを活用するメリット

タレントプールの構築には時間や手間がかかりますが、それを補って余りある大きなメリットがあります。
タレントプールを活用するメリットとして、主に以下の4点が挙げられます。

採用コストの低減

人材を採用するためには求人広告を出す、人材紹介サービスを利用するなどの手段が考えられます。
しかし、求人サイトや求人広告を活用する場合、母集団の形成に苦戦するかもしれません。
母集団の形成とは、求人に対して、自社で採用する可能性のある人材の応募者を獲得する活動のことです。
母集団を形成するためには、広告の掲載期間を延ばすと効果的ですが、掲載料が高騰してしまうでしょう。
また、人材紹介サービスを利用する場合は紹介手数料が発生します。
一方、タレントプールは過去に応募してきた人材や採用活動で出会った人材をデータベースに蓄積する手法です。
登録されたデータベースから人材を探すため、掲載料や紹介手数料などのコストが発生しません。
データベースには人材の基本情報がそろっているため、選考の工数も減らせるでしょう。

優秀人材の採用可能性の向上

優秀人材を採用するには、採用ターゲットを具体化し、採用におけるミスマッチを防ぐことが重要です。
採用のミスマッチが発生すると、採用者が早期離職したり配属先で活躍できなかったりする恐れがあります。
タレントプールに登録されている人材は企業と中長期的に接触しているため、採用候補者は業務内容や社風を理解できます。
また、企業は採用候補者の人物像やスキルを正確に把握できるため、採否や配属先の判断に役立つでしょう。
採用候補者と企業の相互理解が深まることで、採用する人材の質が向上し、優秀人材を獲得できる可能性が高まります。

転職選挫創の人材と接点を持てる

転職潜在層にアプローチできる点も、タレントプールのメリットでしょう。
転職潜在層とは、転職の意欲があるものの、転職活動を行っていない人たちを表す言葉です。
YOUTRUSTの調査によると、全国20~49歳の男女のうち61.1%が転職潜在層といわれます。
しかし、転職潜在層は表立って転職活動を行っていないため、転職サイトやスカウトなどの従来の方法では接点を持つことが難しいです。
一方、タレントプールであれば現時点で転職活動を行っていなくても将来的に採用へつなげられるため、転職潜在層と接点を持てる可能性があります。
他の企業が発見できない人材を確保できる可能性があるため、効率的な採用活動につなげられます。

一度採用を見送った人材の再アプローチが可能

タレントプールの最大のメリットは、採用を見送った人材へ再アプローチできる点です。
採用活動では、候補者から入社を断られる場合があります。
また、採用予算に限りがあったり、競合他社との採用競争に勝てなかったりして採用できなかった候補者もいることでしょう。
タレントプールを活用すれば、採用できなかった人材でも継続的に関係を築けるため、必要な時に人材へアプローチできます。
候補者の情報を蓄積しておけば、急な欠員や事業拡大にも対応できます。
また、候補者と接点を持ち続けることで転職を促して自社に招き入れることも可能です。

タレントプールの構築方法

ここからは、タレントプールの構築方法について解説します。
タレントプールの構築方法は、以下の5ステップに分けられます。

自社が採用したい人材を定義

最初に、自社が求める人材を定義します。
やみくもに人材を確保するとタレントプールの質が下がる恐れがあり、自社の課題を基にどのようなスキルや知識を持つ人材が必要なのか明確にしましょう。
人材に求める条件として、年齢や学歴や資格などのハード面と性格や価値観やキャリアビジョンなどのソフト面が挙げられます。
なお、ハード面とは候補者の現時点での外面的なスペックのことです。
反対に、ソフト面とは候補者の潜在的な能力を含めた内面的な要素を指します。
人材の条件をハード面とソフト面に細分化して、求める条件と優先順位を決めましょう。

タレントプール用のデータ管理シート・ツールを活用

次に、データベースを構築するツールを選びます。
データベースを構築できる最も簡単なツールとして、Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシートが挙げられます。
人材の名前や連絡先など、最低限の情報を記録することでデータベースを構築できるでしょう。
更なる機能を求める場合は、タレントプール専用ツールの活用が効果的です。
タレントプール専用ツールには、人材の情報を管理する機能だけでなく、ATSが備わっているものもあります。
ATSとは、応募者の選考管理や内定者管理、求人媒体との連携ができる採用管理システムのことです。
さらに、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用することでもデータベースを構築できます。
MAツールとは、顧客の情報を管理したり分析したりするシステムのことです。
主に、一度接触した人材の情報を蓄積して活用することに向いています。データベースの規模や予算に合わせて、ツールを選びましょう。

過去採用受験者、説明会参加者をリストアップ

ツールを選んだら、過去に採用した受験者や説明会の参加者などの候補者をリストアップします。
リストアップする際は、名前や年齢などの基本情報だけでなく現在の職種や選考状況などもまとめると、後で人材を検索しやすくなるでしょう。
ただし、個人情報の取り扱いには気を付けなければなりません。
個人情報保護法により、過去の不採用者や選考辞退者の情報は破棄する必要があります。
そのため、タレントプールに過去の不採用者や選考辞退者を入れる場合は、本人の同意を得る必要があります。
また、リストアップした候補者をグループ分けすることも重要です。
タレントプールのグループは、「タレント認定プール」と「タレント潜在プール」の2つに分けられます。

タレント認定プールとは、信用できる職歴や実績を持っており、優秀なスキルや知識を持っていることが判明している候補者のことです。
具体的には、中途採用の最終面接で辞退した候補者やリファラル採用の対象者が当てはまります。
リファラル採用とは社内外で信頼できる人物から人材を紹介してもらう採用手法のことです。
タレント潜在プールとは、信用できる職歴や実績を持っていないものの、優秀な人材である可能性が高い候補者のことです。
具体的には、一次面接や二次面接で辞退した候補者やイベントや説明会の参加者などが当てはまります。
登録した候補者をグループ分けすることで、候補者ごとに適切なアプローチがしやすくなるでしょう。

参考:個人情報の保護に関する法律 | e-Gov法令検索

自社が採用したい人材にSNSでコンタクトを取る

候補者をリストアップしたら、SNSで候補者とコンタクトを取ります。
候補者とコンタクトを取るために使用するSNSには「ビジネスSNS」と「プライベートSNS」の2種類が存在します。
ビジネスSNSとは、ビジネスに関する情報収集や人材のスカウトなどを目的としたSNSのことです。
具体例として「LinkedIn」や「Wantedly」などのサービスが挙げられます。
人材の職歴や資格などの情報が登録されているため、ターゲットとなる候補者を発見しやすいでしょう。
また、自社情報の発信を行って多くの人材へ情報を届けることも可能です。
一方、プライベートSNSとは親しい人との個人的な交流を目的としたSNSのことです。
具体例として「X(旧Twitter)」や「Facebook」などのサービスが挙げられます。
一部の職種ではビジネス用に利用している場合もあるため、ビジネスSNSでは見つかりにくい候補者を見つけられる可能性があります。
ターゲットとなる候補者に合わせて、使用するSNSや発信する情報を変えましょう。

採用したい人材がターゲットのイベントを開催

直接候補者とコンタクトを取るだけでなく、候補者をターゲットにしたイベントを開催することも効果的です。
会社説明会やキャリア説明会など、採用イベントを開催して人材との接触を図ります。
参加者の情報を記録しておくことで、候補者となる人材をタレントプールに蓄積できます。
採用イベントの参加者は自社への関心が強いため、人材を獲得できる可能性が高いでしょう。
そのほか、転職潜在層の人材へアプローチするためにセミナーや勉強会などを開催することも有効です。

タレントプール活用における注意点

タレントプールを活用するには、以下の点に気を付ける必要があります。
注意点を把握して、タレントプールを効果的に活用しましょう。

データベースを常に更新する

タレントプールを有効活用するためには、データベースを常に更新し続けなければなりません。
登録されている候補者の情報は時間の経過に伴って変化するため、古いデータベースのままでは求める人材の確保に支障がでてしまうでしょう。
そのため、人材とコンタクトを取って最新の情報を入手し、現在使用していないデータを削除する必要があります。
また、データベースが肥大化している場合には、候補者の選別基準を見直し、候補者の取捨選択が必要となるでしょう。

定期的に候補者への情報提供を行う

候補者との接点を失ってしまうと、時間とともに自社への関心が薄れてしまいます。
そうならないためにも、定期的に情報提供を行って候補者の自社への関心を維持させることが大切です。
候補者と継続的に関係を築くことで、採用の際にスムーズに連絡を取れます。
また、候補者に自社の存在を意識付けることで、転職を検討し始めた候補者から連絡をもらうことにも期待できます。

質が高い情報を送る

定期的な情報提供を行う際は、質の高い情報を送ることが大切です。
質の低い情報を発信し続けてしまうと、候補者からSNSをブロックされたりメール配信を停止されたりする恐れがあります。
関係を断たれないために、候補者の興味を引く情報や、参加したいと思うイベント情報などを発信するよう心がけましょう。

タレントプール活用事例

ここでは、実際にタレントプールを活用している企業の事例を紹介します。
実際の事例を参考にして、タレントプールを活用しましょう。

Dell Technologies社

世界最大級のテクノロジー会社であるDell Technologies社は、公式ホームページの採用ページに求人情報を受け取るための登録フォームがあります。
将来の候補者として自身の情報を入力することで、タレントプールに登録され、最新の求人情報を受け取れます。
また、SNSを使って採用担当者とつながったり、自身を紹介者として登録したりすることも可能です。
この仕組みにより、必要なポジションに人材を確保しながらタレントプールを効率的に普及させています。

日本ミシュラン社

大手タイヤメーカーの日本ミシュラン社は、採用情報を閲覧する際には、利用者に情報の入力を義務付けています。
利用者の情報の有無により、転職や就職へのやる気や意思の固さの判別が可能です。
また、情報を入力した利用者は、タレントプールに登録され、利用者に合わせた情報が配信されます。
この仕組みにより、効率的に求職者の情報を入手しながら利用者に自社の情報を提供しています。

ゼネラルモーターズ社

アメリカの大手自動車メーカーであるゼネラルモーターズ社は、自社のキャリアサイト内にタレントプールの登録ページを設けています。
LinkedInとのアカウント連携機能もあり、登録者とコンタクトを取りやすくしています。
また、登録者同士のコミュニティへの参加を促している点も特徴です。
自社に興味がある人たちの居場所を設けて情報発信を行うことで、応募までの関心度を高めています。

SmartHR社

クラウド人事労務ソフトを開発するSmartHR社は、タレントプール構築により大きな成功を収めている企業の一つです。
同社は、採用の半分以上を人材紹介に頼っていましたが、必要となる人員は年々増加しており限界を感じていました。
そこで、タレントプールを併用しブログやSNSなどさまざまな媒体で採用広報を行います。
その結果、1年間に約3,700名もの人材情報をデータベースに蓄積できました。
蓄積したデータベースの中から入社してくれそうな人にコンタクトを取ることで、自社とマッチした人材の採用につながっています。

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タレントプールの構築で優秀な人材の採用・確保に繋げよう

今回は、タレントプールを構築するメリットや実際の活用方法、企業事例などについて紹介しました。
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少しでも自社が採用したい人材の採用可能性を高めるためにも、タレントプールを構築し、活用されてみてはいかがでしょうか。

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