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ワークモチベーションとは?理論の概要や具体例について紹介
仕事に従事するうえで、働く意欲を持つことは重要なことです。
労働に対する意欲の問題は、心理学なアプローチでの研究も進められ、実験を通じて多数の体系的な理論が提唱されています。
ワークモチベーションも、そうした理論のひとつです。
現在では、実際の企業活動の現場でもこの理論が導入され、社員の働く意欲を高める方法論として活用されています。
そこで今回は、ワークモチベーションの概要や具体例について紹介します。
もくじ
ワークモチベーションとは?
ワークモチベーションとは、個人が目標に向けて自発的に頑張ろうとする意欲を意味する言葉です。
1997年、ワシントン大学のミッチェル教授が、ワークモチベーションを「目標に向けて行動を方向づけ,活性化し,そして維持する心理的プロセス」と定義しました。
この定義が現在ではワークモチベーションの基本な考え方とされています。
ワークモチベーションを構成する3要素
ミッチェル教授によると、ワークモチベーションには3次元の構成要素があるとされます。
すなわち、
- 方向性
- 強度
- 持続性
の3要素です。
方向性とは、目標を定める理由と、目標を実現するための明確性とされます。
強度は、目標の達成に向けた本気度や意識の高さを表す概念です。
そして持続性は、目標を実現するために費やされる時間的な長さや継続性を指します。
この3要素が合わさることで、ワークモチベーションの理論が成立します。
たとえば、働く中で何か役割を与えられたとしましょう。
仕事においては、そうした役割を守り、意欲的に行動することが求められます。
しかし、意欲のない社員は、与えられた役割に甘んじ、その役割が要求する最低限の務めしか果たしません。
つまり、いわれたことしかやらないのです。
ワークモチベーション理論は、なぜそうした意欲に欠ける社員が生まれてしまうのか研究し、社員に意欲的に働いてもらうにはどうすれば良いのかを導き出すための理論です。
ワークモチベーションの代表的な理論その1:ホーソン研究
ワークモチベーションに関する研究は、既に20世紀の初頭から行われており、現代にいたるまでさまざまな理論が提唱されています。
たとえば、オーストラリアの産業心理学者メイヨーが実施したホーソン研究はその代表例です。
メイヨーを代表者とするハーバード大学の研究グループは、1924年から1932年の長期に渡り、ホーソン工場で人間関係によるモチベーションの向上に関する実験を行いました。
その実験とは、「リレー組立実験」と呼ばれるものです。
リレー組立実験とは、作業員12名をそれぞれ6名ずつのグループに分けて、休憩時間や賃金、室内温度といった環境要因を随時変化させながら作業に従事させるという実験です。
しかし、いくら環境要因に変化を付けても、両グループの生産性は下がることなく、むしろ右肩上がりに上昇していきました。
つまり、この実験でわかったことは、生産性を決定づけるのは職場環境より人間関係や仲間意識であるということです。
ホーソン研究では、作業員の面接実験も行われました。
そこでは、作業員から数多い不満や意見が出されますが、そのほとんどが思い込みや勘違いに起因するものだったそうです。
しかし、そうした不満や意見を表現すること自体が彼らの満足度につながり、結果としてモチベーションを高めることも明らかとなっています。
ワークモチベーションの代表的な理論その2:ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグの二要因理論も、有名なワークモチベーション理論のひとつです。
この理論は、1959年にフレデリック・ハーズバーグという研究者が提唱した理論です。
アメリカのピッツバーグで、200人の技術者と経理担当者に対して行われた実験を通して、ハーズバーグは二要因理論というものを提唱しました。
実験自体はとてもシンプルで、被験者に対して仕事上で「満足に感じたこと」と「不満に感じたこと」の2点を質問するだけというものです。
そして、この実験からハーズバーグは仕事のモチベーションを左右するのが「満足要因」と「不満足要因」の2つであると結論付けます。
満足要因とは、「達成」や「承認」「昇進」「成長」「やりがい」といった要因です。
これらの要因は、人がより高い次元へ成長したいという動機、すなわちモチベーターになることから、「動機づけ要因」と呼ばれます。
一方、不満足要因とは、「人間関係」や「健康」「私生活」「給与」「作業条件」などです。
労働条件や対人関係など、精神衛生に関する事項が多いことから、不満足要因は「衛生要因」と呼ばれます。
簡単にいえば、「動機づけ要因」は「働きがい」を、「衛生要因」は「働きやすさ」を表す概念と見るとわかりやすいでしょう。
ハーズバーグの二要因理論では、労働者のモチベーションは働きがいがあるだけでも働きやすさがあるだけでも保たれないとされます。
働きがいと働きやすさ、その両方を担保することが働くモチベーションにつながるとハーズバーグは提唱しています。
社内コミュニケーションの活性化がワークモチベーションのアップにつながる
ホーソン研究やハーズバーグの二要因理論は20世紀に提唱された理論ではありますが、現代の企業活動においてもさまざまな示唆を含んだ研究だといえます。
社員の働く意欲は生産性に直結しますし、ワークモチベーションの考え方は働き方改革に応用することも可能です。
たとえば、社員の意欲を向上させるために、働く環境を改善したとしても、それだけではモチベーションのアップにはつながりません。
なぜなら、ホーソン研究の理論を応用すれば、モチベーションに関係しているのは環境より仲間意識だからです。
もちろん、環境を改善すること自体は間違った手法ではないでしょう。
社員の不満をすくい上げ、精神衛生を阻害する要因を解消するのは、働きやすさの改善にもつながります。
しかし、給与や作業条件、福利厚生など、衛生要因を改善するだけでは、社員の満足にはつながりません。
社員のモチベーションを上げるためには、環境を整えるだけではなく、仕事上の達成感を得る機会や、自己実現を発揮する場所などを設けてあげることが大切なのです。
実際の現場では、報酬を上げたり、福利厚生を充実させたりする対策は、大幅なコストアップにつながるため、効果的ではあっても実用的ではありません。
こうした現場の実情を鑑み、比較的コストをかけずにモチベーションアップにつなげる方法として、社内SNSなどのコミュニケーションツールを活用するという例があります。
社内コミュニケーションの活性化は、仲間意識の向上という点でモチベーションのアップに役立つ対策であり、しかも比較的低コストで実現できる点も魅力です。
また、社内コミュニケーションを活性化することは、衛生要因をケアしつつ、動機づけ要因を刺激する取り組みでもあります。
実際、部署のチーム内で共通の目的・目標を設定し、それに向かって協力して仕事に取り組むことで、チーム内で仕事の達成感ややりがいを共有し、結果としてモチベーションの向上につながったという例もあります。
社員同士がお互いにモチベーションを高められるような環境を作ることができれば、働く意欲の相乗効果を生み、生産性の向上にも大きく貢献することになるでしょう。
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今回は、ワークモチベーションの概要や具体例などについて紹介しました。
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