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住宅手当とは?支給条件や導入するメリット・デメリットを紹介
企業が従業員のために提供する福利厚生のひとつが「住宅手当」です。
支出の中で大きな割合を占める住宅費の補助は魅力的であり、求職者が応募先を選ぶ際に住宅手当の有無をチェックしていることも珍しくありません。
企業の中には、住宅手当の導入を検討しているところも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、住宅手当の概要や支給条件、導入のメリット・デメリットなどについて紹介します。
住宅手当とは?
住宅手当は企業が導入する福利厚生制度の一種で、従業員の住宅費用の一部を補助するというものです。
法律で支給が定められているわけではなく、あくまでも企業が独自の基準・判断で支給の条件や金額などを決定します。
賃貸物件へ入居している従業員のみ対象にしている企業もあれば、持ち家で住宅ローンを支払っている従業員も対象としている企業もあるなど、内容はさまざまです。
住宅手当の支給金額
一般的には「定額」または「定率」で支給額を算定することが多く、「定額」は実際の家賃や住宅ローンの額にかかわらず、毎月一定額の住宅手当を支給します。
たとえば、住宅手当が毎月2万円支給される企業の場合、家賃5万円を支払っている従業員なら住宅費の自己負担額は3万円ですが、家賃10万円の従業員なら自己負担額は8万円です。
家賃や住宅ローンの額によっては自己負担額に大きな差が出るため、従業員が不公平感を抱くことも少なくありません。
一方の「定率」は家賃や住宅ローンに対して一定割合の住宅手当を支給する算定方法です。
たとえば支給割合が3割の企業の場合、5万円の家賃を支払っている従業員なら1万5000円、10万円の家賃なら3万円が支給されます。
住宅費の自己負担金額はそれぞれ3万5000円、7万円と差があるものの、支給割合は平等なので従業員が不満を抱くことは少ないです。
住宅手当の支給条件
住宅手当はその企業の従業員であれば必ず受け取れるとは限らず、企業が定める支給条件を満たさなければなりません。
具体的な支給条件は各企業で異なるものの、一般的には「雇用形態」「扶養家族の有無」「住宅の種類」などを基準にしているところが多いです。
「雇用形態」は多くの企業が定める代表的な支給条件で、一般的には正社員にのみ住宅手当を支給します。
ただし、政府が主導する働き方改革では「同一労働同一賃金」が原則とされており、同じ仕事をしているのに雇用形態で住宅手当に差をつけるのは望ましくないという判断が増えています。
これにともない、多くの企業で支給条件に雇用形態を含めるかどうか見直しが進んでいくでしょう。
「扶養家族の有無」は、その従業員の収入で養う家族がいるかどうかで住宅手当の支給・不支給や金額を決めるものです。
扶養家族が多いほど広い住宅が必要になり、住宅費も増えていくと考えられます。
このため、扶養家族がいる人により多くの住宅手当を支給したり、一人暮らしや独身の従業員には支給しなかったりする企業も少なくありません。
「住宅の種類」は、住宅が持ち家か賃貸物件かで支給・不支給や金額を決めます。
住宅ローン完済の持ち家や実家住まいの場合は支給せず、住宅ローン返済中または賃貸物件に入居している従業員に支給するというケースが多いです。
住宅手当を導入することのメリット
住宅費は、家計の支出の中でも特に大きな割合を占めるものです。
この住宅費を補助することで、従業員は支出をカットし、浮いたお金を他のものに回せます。
住宅手当の分だけ実質的に給与が多いことにもなるため、従業員にとって住宅手当は非常に魅力的な存在です。
このように住宅手当で得をするのは従業員に限った話ではなく、企業にとってもさまざまなメリットが期待できます。
たとえば、採用活動をしやすくなる点。
リーマンショック以降、日本の有効求人倍率は年々右肩上がりに上昇を続けており、2019年には1.60倍という過去3番目の高水準を記録しました。
2020年にはコロナ禍の影響もあり1.18倍に低下しましたが、将来的には回復すると見込まれています。
少子高齢化が進み、労働人口の減少が懸念される日本では、長年求職者に有利な売り手市場が続いており、求職者はさまざまな企業の待遇をチェックしながら、自分がより満足できる勤務先を選べるようになりました。
このような状況下で求職者から選ばれるためには、給与や福利厚生を充実させ、ほかの企業と差別化を図ることが欠かせません。
従来のような企業有利な条件では、質・量ともに十分な人材を確保できない恐れがあります。
この点、従業員にとって負担が大きい住宅費を補助する住宅手当があれば、求職者の興味をひきやすくなります。
上述したようにプライベートに費やせるお金が増えますし、住宅費の自己負担額が減ることでよりグレードの高い家やオフィスに近い家に住めるようにもなります。
同じような条件の企業が複数あった場合、住宅手当がない企業よりもある企業のほうに求職者が集まりやすくなるでしょう。
また、企業イメージの向上というメリットも期待できます。
住宅手当を導入することで充実した福利厚生をアピールすれば、「従業員を大切にする企業」として社会的な信用度やイメージが向上するでしょう。
求職者が同じような条件の複数の企業で応募先を悩んだ場合、最後の決め手となるのはやはり企業イメージです。求職者に「ここで働きたい」と思わせられるよう、企業イメージの向上に努めることも欠かせません。
住宅手当を導入することのデメリット
住宅手当にはメリットがある一方、デメリットにも注意しなければなりません。
たとえば、従業員間で不平等が生じやすくなる点。
支給条件を満たさない従業員や支給されても額が少ない従業員などは、十分な図住宅手当てを受け取っている従業員を見ると不公平感を募らせてしまう恐れがります。
これがモチベーションやエンゲージメントに影響し、生産性の低下やチームワークの悪化などを招いてしまうかもしれません。
また、かけたコストに対して十分なリターンが得られない場合もある点にも注意しましょう。
住宅手当は従業員の能力や成果などに関係なく、支給条件さえ満たせば誰にでも支給しなければなりません。
十分な成果を出していない従業員にも当然支払われることになり、企業側の損が大きくなる可能性もあります。
また、単純にコストが増える点も事前に十分に検討しなければなりません。
厚生労働省が行った「令和2年度就労条件総合調査」では、従業員1人あたりの住宅手当の平均支給額は1万7800円という結果でした。
支給額の平均は企業の従業員数によっても変わり、従業員30~99人では1万4200円と平均より低いですが、従業員1000人以上の企業になると2万1300円と平均よりかなり高くなります。
導入すればこのコストがずっとかかることを理解し、負担をどのようにカバーしていくか、継続できるのかなど慎重に判断することが重要です。
手当を上手く活用し、従業員が定着・活躍できる組織を作ろう
今回は、住宅手当の概要や支給条件、導入のメリット・デメリットなどについて紹介しました。
従業員の定着や活躍を支援する際は、福利厚生は非常に重要ですので、自社の課題に合わせて必要な福利厚生は何か、本当に必要なのかを確認してみてください。
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