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グループ・シンク(集団浅慮)とは?具体例や原因と対策を紹介

グループ・シンク(集団浅慮)とは?具体例や原因と対策を紹介

ミーティングや会議は、組織やチームで間違った合意形成をしないために活用されます。
しかし、集団であるためにかえって不合理な判断をしてしまう「グループ・シンク」という現象があることに注意が必要です。
今回は、グループ・シンクの概要やグループ・シンクを引き起こす原因・具体的な事例・解決策について紹介します。

グループ・シンク(集団浅慮)の意味

グループ・シンク(集団浅慮)とは、集団で合意形成をすることによって、かえって不合理な結論や行動を引き出してしまうことです。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがありますが、これと反対のデメリットが生じることもあるということです。

このグループ・シンクは、社会心理学者のアーヴィング・ジャニスによって提唱されました。
彼は真珠湾攻撃のリスクを過小評価したことやキューバ侵攻作戦の失敗などについて、グループ・シンクの観点から考察しています。

グループ・シンクに陥ると、集団としての能力に過度の自信を持つようになります。
そのため、例えば業績不振などの兆候を無視して、根拠のない楽観主義を持つようになります。
また、専制主義国家のように、自分たちの行動を道徳的に正しいものとしたり、社会的に意義があることだと考えたりすることもあるでしょう。
こうした組織では、多数派と違う意見を言いにくくなったり、都合のよい情報以外はシャットアウトしたりする傾向があるため、組織としての自浄能力も失ってしまいかねません。
そして、グループ・シンクの度合が進行すると、後から振り返って「なんてバカなことをしたのだ」と思うような方向に進んでしまいます。

グループ・シンク(集団浅慮)に陥る原因

社会心理学者のジャニスによると、グループ・シンクに陥る原因は、以下の5つに分類できるといいます。

1.集団凝集性が高い

集団凝集性とは、集団に対する帰属意識が高い性質のことです。
一概にはいえませんが、例えば、終身雇用制を採用している企業や上下関係の厳しい職場などが、集団凝集性の高い状態になりやすい傾向があります。

2.外部情報が入らず閉鎖的な状態である

このような状態では、物事を客観的に判断したり、さまざまな角度から見直したりすることができないため、グループ・シンクを引き起こしてしまいます。

3.リーダーや専門家の存在など特定の人の知識や権力が強い

何事もトップダウンで行われると、下の人間は命令に従うだけの状態になってしまうため、多様な意見が組織に生まれにくくなってしまうでしょう。
また、専門家などがいる場合は、その人の意見を鵜呑みにしてしまい、自分の頭で考えなくなってしまいます。

4.集団が過度のストレスにさらされる

例えばノルマ達成やトラブル対処を時間内に終えなければならないような場面です。
こうしたケースでは、行動を起こすことや結論を出すこと自体が目的になってしまい、内容をしっかり検討できなくなってしまいます。

5.決定することに参加者の利害が発生する

何らかの利害関係が発生する打ち合わせでは、自分に有利になるよう考えてしまい、議論の内容自体への考えが浅くなってしまいます。

グループ・シンク(集団浅慮)の事例

グループ・シンクと関連して取り上げられることが多い事例の1つが、ケネディ政権発足時に、アメリカがキューバのカストロ政権を倒すために起こした「ピッグス湾事件」と呼ばれる侵攻作戦です。
この作戦は愚かしい内容が多いことから、アメリカ史に残る軍事作戦の失敗として知られています。
その大きな要因は、ケネディらが、権威ある専門家やCIAの意見にそのまま従ってしまったことが挙げられます。
その結果、わずかな数のキューバの反政府軍を頼りにした作戦であることや、空軍の援護や物資補給が不十分であるなど、初歩的なミスが見過ごされました。
ここには、根拠のない楽観主義や少数派の批判を無視してしまうグループ・シンクの傾向が見られます。
また、強力なリーダーシップが、ときとして裏目に出ることもあることを示している事例です。

スペースシャトル「チャレンジャー」の打ち上げ失敗も、グループ・シンクの観点から考えると問題点がみえてきます。
チャレンジャーの事例は、打ち上げプロジェクトチームへの過度のプレッシャーから生じるストレスが関係しているからです。
当時、チャレンジャー打ち上げプロジェクトはトラブルが続いており、もし延期すれば、予算縮小や打ち上げ計画自体の見直しにつながる恐れがありました。
そうしたことから、部品を製造した会社から不具合の報告があったにも関わらず、打ち上げを強行したとされています。
つまり、乗務員の安全を含めた合理的な判断よりも成果を優先したグループ・シンクによって、チャレンジャーの爆発事故が引き起こされたと考えられます。
NASAのルールには、問題が解決されるまで関係者全員で議論されるべきだとあったにもかかわらず、反対意見や疑問が出ない状況になっていました。
このように、通常は優秀な集団であったとしても、ストレスがかかる環境下においては、グループ・シンクが発生しやすいことに注意が必要です。

グループ・シンク(集団浅慮)に陥らないための対策

グループ・シンクに陥らないためには、組織の体制作りと、経営層から従業員まで含めた意識改革の2つが必要です。
組織作りとして効果的な方法は3つあります。

1.集団を小グループに分けて、議論を分ける

1つは、集団を小グループに分けて合意形成を行い、次にこれらの結論を持ち寄って統一の合意形成を出すことです。
これは「バス・セッション法」と呼ばれる、自由なディスカッションを促すためのメソッドです。
小グループごとに違う結論が出ることで、多角的に物事を評価できるようにもなるでしょう。

2.少数派も意見を出すような仕組みを作る

もう1つの方法は、多数派に対して批判意見を述べる担当者を決めておくことです。
この制度のポイントは、担当者は自分の意見に関係なく、多数派の意見を批判したり疑問を投げかけたりすることです。
例えば、ある事業戦略が異論なく決まった場合は、強制的に担当者が反対意見を述べなければなりません。
この自浄機能を確実に働かせるために、どのような条件が整った場合に反対意見を述べるかどうかを決めておきましょう。
例えば、賛成が9割以上の場合は、次の会議で担当者が意見を述べる機会を与えるなどです。
これに似た方法として、外部組織の意見を取り入れることや、専門家にアドバイスを求めることも効果的な方法です。
利害関係がない人の意見に耳を傾けることで、閉鎖性によって生じるグループ・シンクを予防できます。

3.リーダーの意識改革を行う

リーダーシップが強すぎる組織では、特にリーダーの意識改革が必要です。
例えば、ミーティングでは中立の立場を守ることや、業務権限の一部を譲るなどが考えられるでしょう。
自由に意見やアイデアを述べられる掲示板やWeb社内報などを設けている企業もあります。
また、従業員同士の間に多様性を尊重する社内文化や、誰の発言なのかよりも内容を重視する職場の雰囲気を育てることも大切です。
グループ・シンクが集団心理の一種である以上、社風や職場のコミュニケーションの雰囲気などのあいまいな要素にも注意を払っておきましょう。

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