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福利厚生とは?導入のメリット&デメリット
企業の魅力の1つとなる「福利厚生」。在職者のモチベーションになることはもちろんですが、求職者へ提示すると採用活動が円滑になるというメリットもありますし、企業がその企業「らしさ」や文化を醸成するのにも効果を発揮します。
しかし、一口に「福利厚生」といってもバリエーションが多く、どのような福利厚生を導入すれば良いのか迷ってしまう経営者や人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。
そこで、本コラムではそもそも「福利厚生」とは何のことで、どういったものがあるのかご紹介いたします。
福利厚生とは
「福利厚生」には大きく「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」があります。
■法定福利厚生
法律で義務付けられている最低限の福利厚生制度のことであり、法定福利厚生がない場合は法律違反となります。法定福利厚生は、以下の6種類です(社会保険料3種類、労働保険料2種類、子ども・子育て拠出金1種類)。
①健康保険料:企業と従業員で折半
②介護保険料:企業と従業員で折半
③厚生年金保険料:企業と従業員で折半
④雇用保険料:企業負担2/3、従業員負担1/3
⑤労災保険料:企業負担のみ(従業員による負担なし)
⑥子ども・子育て拠出金:企業負担のみ(従業員による負担なし)
■法定外福利厚生
企業が独自に提供する報酬や制度です。そのため、企業が独自の「らしさ」や「文化」に活用できるのはこちらの法定外福利厚生のほうであるといえるでしょう。詳細は後述します。
適用対象は?
「福利厚生」は、正規雇用労働者だけが受けられる特別なものではなく、パートタイム労働者や有期雇用労働者(契約社員)にも適用されます。
2020年4月1日からはパートタイム・有期雇用労働法が施行されたので(中小企業は2021年4月1日から)。それにより、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)とパートタイム労働者・有期雇用労働者の間の不合理な待遇差は禁止されます(同一労働同一賃金)。企業として、基本給や賞与、各種手当や福利厚生などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を解消しなければなりません。
法定外福利厚生の具体的な種類
法定外福利の内容は多岐にわたりますが大きく分けて以下の10種類に分類されます。
①通勤交通費
多くの企業で導入されている、自宅から勤務先への移動費用についてを企業が負担する制度です。電車は認めるがバスは2㎞以上の場合のみ、や上限は月2万円まで、等企業が独自の条件を設けている場合があります。
②健康・医療
健康診断(がん検診等法定への上積み)、人間ドック、ストレスチェック、メンタルヘルスケア、 診療所などの医療施設、健康診断などを指します。
また、ジム・スポーツ施設の利用契約など、健康増進を目的とした制度もあります。
③慶弔・災害
結婚祝、出産祝、見舞金、香典などの慶弔金、お祝いの品、花束の贈呈などを指します。社員にとって、こうした慶弔の機会に会社から配慮を受けることは、ありがたく感じることが多く、会社への帰属感が高まります。
④育児・介護
育児休業(法定への上積み)、育児施設育児補助、介護休業・介護休暇(法定への上積み)などを指します。乳幼児あるいは看護を必要とする家族を抱えた社員にとって、こうした福利支援の有無、特に、会社内あるいは連接した場所に保育所等があるかないかは、「働きやすさ」に大きく影響します。
⑤休暇
有給休暇(法廷への上積み)、リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇など、を指します。
また、近年では女性社員に対して生理休暇などの配慮をしている企業もあります。
⑥業務・職場環境
社員食堂、カフェスペースの設置、
⑦自己啓発
研修費用の負担、公的資格取得支援などを指します。
会社がサービスを提供する教育機関等と団体契約を結ぶことにより、社員は団体割引の費用でサービスを受けられることができ、社員一人一人のスキルアップ、キャリア形成を深淵する制度です。
⑧文化・体育・レクリエーション
懇親会援助、部活動(サークル活動)補助、イベント開催補助などを指します。
制度として全社員を対象としていても、活用する社員が限られてしまう場合もあります。
⑨財産形成
財形貯蓄制度、持株会、個人年金など(従業員拠出)への補助を指します。
給与から自動的に天引きされるもので、退職後や定年後を見据えた資産形成が可能になります。
⑩住宅
社宅や寮、家賃補助や住宅ローン補助などを指します。
生活費の中でも大きな割合を占める住宅への手当なので、求職者や在職者からの人気は非常に高い制度です。
企業独自の福利厚生事例
上記の分類には属さない企業独自の福利厚生もたくさんありますので一例をご紹介します。
・マッサージルームで無料マッサージ月2回
・会社のカフェでアルコール提供
・図書購入補助
・ケータリング(社員食堂)
・配偶者の誕生月に1日休暇を取れる配偶者特別休暇
・会社会議(宿泊型ワークショップ)やNPO向けプログラムを利用した海外研修
・病気療養と仕事の両立支援制度
・積立NISA
・お昼寝制度
・昼食手当(1日750円×20日=15,000円固定で支給)
・入社お祝い金
そのほか、最近ではテレワーク準備金、テレワーク手当など働き方の変化に伴いその部分を補助してくれるような福利厚生を実施する企業も増えてきています。
導入の効果
■メリット
①従業員の満足度が向上する
ワークライフバランスが取れている従業員は経験値や能力、業務効率が高くなるという傾向にあります。心身ともに健康で働きやすい環境を整えることで、従業員は個々が持つ強みを活かし、高い集中力を持って仕事に取り組むことができるのです。
②労働生産性が向上する
従業員が満足度高く業務に取り組めていることで、会社全体の生産性も向上します。
労働生産性の向上には、長期的に見て労働者人口が減少していく時代背景も加味する必要があります。一人一人の健康を意識することで組織全体の健康も維持することができるといえるでしょう。
③採用力が上がる
福利厚生の最大のメリットとしては採用時の人材が集まりやすいこと。応募数が増えることでより自社の求めている能力を有した人材や、会社の方針・理念に共感度の高い人材を採用することが可能になります。また、他社との差別化を図るといった面でも効果的です。企業特質を特徴づけるようなユニークな制度やほしい人材が魅力を感じそうな制度を導入することで、採用活動も有利に進めることができるでしょう。
④社会的信用が高まる
充実した福利厚生の提供は、安定した経営基盤の証明にもなるので、対外的なブランディングにも寄与します。
■デメリット
①コストがかかる
従業員のための福利厚生ですから、当然コストがかかります。適切な見直しと状況に合わせた改善によって、費用対効果の高い制度の導入が常に進められています。
②管理負担がかかる
申請書類の作成や受付、利用機関とのやりとりに利用後の処理など、大きな管理負担が発生する可能性があります。またそれぞれの制度で処理方法が異なるため担当者の業務量が膨大になる可能性もあります。
まとめ
いかがでしたか?
導入に関しては「会社らしさ」「文化醸成」だけでなく実務上の「採用力」「生産性向上」「社会的信頼」など様々メリットがありますが、導入までのコストや導入後の管理工数は必ず発生するので、バランスを考えながら実施について見直し、調整していく必要があります。
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