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キャリアアンカーとは?診断方法や企業での活用方法を紹介

キャリアアンカーとは?診断方法や企業での活用方法を紹介

多くの人は、40年以上を仕事とプライベートの両輪で過ごします。
自らの生き方の軸ともいえるキャリアアンカーを知ることは、より良いキャリア形成に必要不可欠といえるでしょう。
そして、企業にとっても、人事に有益なキャリアアンカーは、積極的に取り入れたい概念ではないでしょうか。
今回は、キャリアアンカーの基礎知識や診断方法、企業での活用方法を紹介します。

キャリアアンカーとは?

キャリアアンカーとは、マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者である、エドガー・H・シャインによって提唱された概念です。
ある人物がキャリアを選択するときに、「能力」「動機」「価値観」の3つの要素において、最も重要で譲りたくないと考える軸を指します。
周囲の変化に影響されることが少なく、キャリアアンカーが形成された後は、結婚や出産などの節目を経ても、変わらないと考えられています。

従業員のキャリアアンカーを分析することで、適材適所の人事が可能になるため、従業員本人にとっても会社にとってもメリットは大きいです。
一方で、新卒採用されたばかりの若手社員など、キャリア形成がまだなされていない人には適さない考え方です。
ある程度のキャリアを積んだ30代以降の従業員を対象に、活用するとよいでしょう。

キャリアアンカーの8分野

キャリアアンカーは、大きく8つの分類に分けられます。

1.管理能力

1つ目は「管理能力(Managerial Competence)」です。
将来的には経営に携わりたいと考えており、会社経営に関わるような、スケールの大きな仕事に価値を見出すタイプです。
広い分野での見識を広め、将来に生かすために、若い時期の異動は厭わないといった傾向があります。
上昇志向が強く、昇進のための資格試験などにも積極的に取り組みます。

2.専門・職能別能力

2つ目は「専門・職能別能力(Technical/Functional Competence)」です。
いわゆる職人タイプで、現場の仕事を続けて専門性を高めたいと考えます。
向いているのは研究職や技術職で、畑違いの分野に異動することを好みません。
専門性を高められない環境に身を置くことになれば、転職を考える可能性が高いタイプです。

3.保障・安定

3つ目は「保障・安定(Security/Stability)」です。
収入や待遇、雇用環境が安定していることに価値を見出し、大企業に勤めることや公務員として働くことを目指します。
「専門・職能別能力」と同様に、異なる分野への異動には後ろ向きですが、すぐに転職をするという決断には至りません。
できれば1つの会社に終身雇用されたいと考えることが多いです。

4.起業家的創造性

4つ目は「起業家的創造性(Entrepreneurial Creativity)」です。
クリエイティブな挑戦を好む起業家タイプで、新規事業の立ち上げや、新サービスの開発、既存事業の再建などに力を発揮したいと考えます。
社内ベンチャーの制度がある会社なら、こうした分野でも活躍する意欲があります。

5.自律と独立

5つ目は「自律と独立(Autonomy/Independence)」です。
自分のペースで仕事を進めたいと考え、組織の規律やルールに縛られるのを嫌います。
集団行動が得意ではなく、在宅勤務など自由度の高い働き方で力を発揮するのが特徴です。
人の力をできるだけ借りずに、自分のスタイルを崩したくないと考える傾向があります。

6.奉仕・社会貢献

6つ目は「奉仕・社会貢献(Service/Dedication to a cause)」です。
社会貢献をしたいという意識が強く、人のためになる仕事に価値を見出します。
誠意をもって働き、不正を正したいと考えるため、監査部門での勤務にうってつけです。
他人に奉仕し、支援することを良しとするため、医療、看護、福祉、教育などの分野にも向いています。

7.純粋なチャレンジ

7つ目は「純粋なチャレンジ(Pure Challenge)」です。
困難な課題にチャレンジすることを好み、同じ仕事の繰り返しを好みません。
ライバルとしのぎを削ったり、未経験の分野に飛び込んだり、といった刺激的な挑戦のためには、ハードワークも厭わないタイプです。

8.ワークライフバランス

8つ目は「ワークライフバランス(Lifestyle)」です。
仕事とプライベートのバランスを考え、その両立のために行動するため、「予定外の残業をしない」「飲み会などのイベントを断る」などの特徴があります。
子どもが生まれると育児休業を取ったり、家族の時間を作るために在宅勤務を選んだりして、プライベートを充実させ、それを仕事のモチベーションにします。

キャリアアンカーの診断方法

キャリアアンカーは、エドガー・H・シャインが著書「キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう」で紹介している40の質問に答えることで診断できます。

「周りの人がいつも自分にアドバイスを求めてくるくらい、専門性を高めたいと思う」「自由に働けるかより、安定した生活のほうが大事だ」「人類や社会に真に貢献ができるキャリアを目指す」などの質問に、「まったく違う」は1点、「ほとんど違う」は2点、「どちらかというと違う」は3点、「どちらかというとそう思う」は4点、「よくそう思う」は5点、「いつもそう思う」は6点を付けて集計します。

質問に答えるだけでキャリアアンカー8分野のどれに当てはまるかが分かる、手軽な方法です。

診断項目をチェックせずとも、キャリアアンカーを構成する3つの要素「能力」「動機」「価値観」について自己分析をすることで、自分のタイプを知ることができます。
能力とは、その人の強みと弱み、動機とは望むことと望まないこと、価値観とはキャリアにおいて重視することです。
仕事とプライベートにおいて自分がどのように行動したいと考えているかを分析してみましょう。

企業におけるキャリアアンカーの活用方法

少子高齢化を背景に人手不足が進み、多くの企業で優秀な人材の確保が課題となっています。
明らかにキャリアアンカーと異なる部署への配属や昇進を行うと、従業員の力が発揮できない可能性があります。
結果として、仕事への不満が募り、離職につながるかもしれません。

キャリアアンカーを生かして適材適所に人材を配置することで、会社全体のパフォーマンスを上げることができ、優秀な人材の定着をはかれます。
従業員本人にとっても、キャリアアンカーを知ることで、新たな部署への異動がスムーズに進んだり、スキルアップのモチベーションになったりする利点があります。

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今回は、キャリアアンカーのタイプや診断方法、企業における活用方法について紹介しました。
個々人の適性や志向に合わせて配属を変えることによって、より定着や活躍してくれる可能性が高いため、個々人の能力をまずは把握し、人員配置や育成に活用してみてはいかがでしょうか。

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