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早期離職の原因と対策、日本の3年以内の離職率を紹介
早期離職は、企業にさまざまな問題を引き起こします。
例えば、採用コストの増加や既存社員の負担増加などが考えられます。
離職の原因を捉えて、対策を講じたいと考えている企業は多いでしょう。
今回は、就職後3年以内の離職率と主な離職理由、そこから考えられる具体的な対策について紹介します。
もくじ
国内の就職後3年以内の離職率
就職後3年以内の離職率は、厚生労働省が発表している「新規学卒就職者の離職状況」を参考にできます。
この資料によると、平成30年3月卒業者における就職後3年以内の離職率は、中学卒就職者55.0%、高卒就職者36.9%、短大卒等就職者41.4%、大卒就職者31.2%です。
中学卒就職者の約6割、高卒就職者、短大等卒就職者の約4割、大卒就職者の約3割が就職後3年以内に退職しています。
年度により多少の増減はあるものの、離職率はほぼ横ばいといえます。
平成25年度3月卒業者における就職後3年以内の離職率は、中学卒就職者63.4%、高卒就職者40.9%、短大等卒就職者41.7%、大卒就職者31.9%です。
企業は、これらの離職率を踏まえて採用活動を行う必要があります。
業界別の就職後3年以内の離職率
就職後3年以内の離職率は産業でも異なります。
高卒就職者で離職率が最も高いのは、宿泊業・飲食サービス業です。
平成30年3月卒の離職率は61.1%となっています。
次に高いのは、56.9%の生活関連サービス業・娯楽業、その次に高いのは52.7%のその他です。
反対に、離職率が最も低いのは、9.2%の電気・ガス・熱供給・水道業です。
次に低いのは、24.4%の鉱業・採石業・砂利採取業、その次に低いのは26.3%の複合サービス事業となっています。
大卒就職者で最も離職率が高いのは61.3%のその他です。
51.5%の宿泊業・飲食サービス業、46.5%の生活関連サービス業・娯楽業が続きます。
反対に、離職率が最も低いのは、11.1%の電気・ガス・熱供給・水道業です。
次に低いのは、11.5%の鉱業・採石業・砂利採取業、その次に低いのは19.0%の製造業となっています。
離職率が高い産業、離職率が低い産業は、高卒就職者・大卒就職者でほぼ共通しています。
最も離職率が高い産業では、新規学卒就職者の10人に6人程度が退職しています。
反対に、最も離職率が低い産業では、新規学卒就職者の10人に1人程度しか退職していません。
離職率が高い産業は、離職理由を把握して対策を講じましょう。
↓宿泊業や飲食サービス業の離職率や原因と対策について紹介した記事はこちら↓
サービス業の離職率とは?離職率が高い原因と対策方法を紹介
新卒の主な早期離職の理由・原因
現在の若者は我慢が足りないなどといわれることもありますが、新規学卒就職者の離職率が急激に上昇しているわけではありません。
若者はどのような原因で離職しているのでしょうか。
若者の離職率を把握するうえで参考にできる資料が、内閣府が発行している「平成30年版 子供・若者白書」です。
この資料には、初職の離職理由が掲載されています。
最も割合が高かったのは、43.4%の「仕事が自分に合わなかったため」です。
23.7%の「人間関係がよくなかったため」、23.4%の「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」が続きます(複数回答可)。
「子供・若者白書」には、初職離職理由の中で最も重要な理由も掲載されています。
割合が最も高かったのは23.0%の「仕事が自分に合わなかったため」、次に割合が高かったのは10.0%の「人間関係がよくなかったため」、その次に割合が高かったのは「結婚、子育てのため」です。
また、転職入職者が前職を辞めた理由は、厚生労働省が発表している「令和2年度雇用動向調査」に記載されています。
この資料によると、男性で最も多い離職理由は9.4%の「給料等収入が少なかった」、次に多い離職理由は8.8%の「職場の人間関係が好ましくなかった」、その次に多い離職理由は8.3%の「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」です。
女性で最も多い離職理由は13.3%の「職場の人間関係が好ましくなかった」、次に多い離職理由は11.6%の「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」、その次の多い離職理由は8.8%の「給料等収入が少なかった」です(ともに、「定年・契約期間の満了」「その他理由(出向などを含む)を除く」。
以上の結果から、就職ミスマッチは若者に多い離職理由、人間関係、労働条件は年代を問わず多い離職理由といえます。
↓新卒社員に焦点を当てた、離職理由と予防策について紹介した記事はこちら↓
新卒社員の離職はなぜ多い?離職理由と具体的な予防策について紹介
就職後3年以内の早期離職を防ぐ方法
早期離職が発生すると、採用コストや教育コストが想定よりもかかる、残った社員の負担が増加するなどの問題が生じます。
早期離職は、どのように防げばよいのでしょうか。
1.就職ミスマッチの防止
若者が早期離職をする主な原因は就職ミスマッチです。
就職前に考えていた仕事と違うなどの理由で、多くの若者は早期離職を選択しています。
したがって、就職前に相互理解を深めておくことが重要です。
例えば、求職者に仕事の良い面だけではなく厳しさも伝えておくなどが考えられます。
若手に重要な仕事を任せる社風であれば、責任が伴うことも伝えておけばそれなりの覚悟をもってもらえます。
採用活動では、求職者に会社のことを知ってもらう取り組みも必要です。
2.人間関係の改善
好ましくない人間関係も、若者が早期退職する主な理由です。
先輩からフォローしてもらえない、先輩から頑張りを認めてもらえないなどと感じて、精神的に孤立する新入社員は少なくありません。
重要なポイントは、実際の状況とは関係なく本人がこのように感じていることです。
周囲がフォローをしていても、職場で孤立していると感じる新入社員はいます。
おすすめの対策は、つながりを感じられる仕組みを導入することです。
例えば、社内SNSツールを導入すれば、スマートフォンのアプリなどを介して従業員間で感謝や称賛の気持ちを伝えられるようになります。
作業を手伝ってもらったときに「ありがとう」、研修を終えたときに「がんばったね」などのメッセージを送れるため、忙しいときでも目に見える形で新入社員をフォローできます。
新入社員が抱く会社への愛着や貢献意欲を高めやすくなるでしょう。
3.労働条件の改善
労働条件が合わず早期離職を選択する若者も少なくありません。
具体的には、労働時間、休日、休暇が問題になりやすいといえるでしょう。
これらの問題は、本人が希望する条件で働ける環境を整えることで解消できます。
例えば、フレックスタイム制度、短時間勤務制度の導入などが考えられます。
現実的には対応が難しいこともありますが、離職率が問題になっている場合は何かしらの対策が必要と考えられます。
↓退職慰留を行う際のポイントと注意点を紹介した記事はこちら↓
退職慰留を行う際の方法とポイント、気を付けることを紹介
早期離職の要因を解消し、従業員が定着・活躍できる組織を作ろう
今回は、就職後3年以内の離職率と主な離職理由、そこから考えられる具体的な対策などについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。
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