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人事制度、最新トレンド・企業の取り組み内容を紹介

人事制度、2021年の最新トレンド・企業の取り組み内容を紹介

労働力不足が深刻化する現代では、人材を確保するために人事評価制度を見直す企業も増えています。
社員の納得感を高め、多様な働き方に対応した評価を行うためにも、時代に合わせた人事評価制度を導入することは欠かせません。
そこで今回は、大手企業や先進企業が積極的に導入している新たな人事評価制度について、実際に導入している企業の事例と合わせて紹介します。

1.ノーレイティング

ノーレイティングとは、社員の能力をランク付けしない人事評価制度のことです。
社員をランク付けする人事評価制度は多くの企業で導入されていますが、これには社員同士の相対評価となるため納得感を得にくい、期間全体ではなく評価直前の行動・成果が重視されやすいなどの課題がありました。
そこで、一律の基準による社員のランク付けを廃止し、社員ごとに短期の目標を設定するノーレイティングという評価手法が生まれたのです。

ノーレイティングでは細かく目標設定やフィードバックを行うため、その時点の状況に合わせた適正な評価を行いやすくなり、評価への納得感も高まります。
社員ごとに目標が設定されるため、リモートワークなど多様な働き方をする社員にも対応しやすいでしょう。

その一方で、ランク付けのように一律の評価基準がない分、評価をする上司には高いマネジメント能力や管理能力が求められます。
実態にそぐわない評価を下すと、社員は「正当に評価されない」と不満を抱き、せっかくのノーレイティングの効果が得られなくなってしまいます。
また、短期的に面談などを繰り返すため、評価する上司の負担が増してしまう点にも注意が必要です。
制度を導入する前に、上司側へ評価のノウハウを周知徹底する、フォロー体制を整えるなど準備を整えるようにしましょう。

このノーレイティングは、世界的な大企業であるマイクロソフトでも導入されています。
マイクロソフトではもともとランク付けの人事評価制度を導入していましたが、高いランクを得るために社員同士の競争が激化してしまいました。
これでは組織としての一体感がなくなり、生産性も低下しかねません。
そこで、評価の基準を相対評価ではなく「どれだけ企業・顧客へ影響を与えたか」という個人評価へと変更しました。
1カ月に2回は上司との1on1ミーティングを行い、評価の内容や仕組みもその都度本人へ伝えます。
社員同士の連携や企業・顧客への貢献度などによって評価されることで社員間の競争が減り、モチベーションや生産性の向上につながりました。

↓ノーレイティングについて解説した記事はこちら↓
ノーレイティングとは?導入メリットや事例を紹介

2.360度評価

360度評価とは、上司だけでなく同僚や他部署、取引先など多くの関係者からも評価してもらう評価手法です。
上司だけが評価する手法では、目に付きにくい普段の行動など、見落としによって正しい評価ができないこともあります。
この点、多角的な評価が集まる360度評価なら社員が現場で発揮している能力をより正確に把握できますし、上司のマネジメント能力や人間関係に左右されない公平な評価が可能です。
また、社員がほかの社員の評価に関わることで、目標や成果、普段の行動などに対する当事者意識も高まりやすくなります。

さまざまなメリットが期待できることもあり、日本経済新聞社が上場企業など約1600社を対象に行った調査によると、46.1%もの企業が360度評価を導入していました(2016年時点)。

アメリカの大企業ゴールドマン・サックスでは、チームワークの向上を目的として360度評価を導入しています。
毎年1回、新入社員から経営陣にいたるまで全員が、自分を評価する人を指名して360度評価を行うのです。
集まった評価は上司へと送られ、上司は社員の評価や育成方針などを決定します。
評価項目には「チームへの貢献度」も設定されており、自分の成果ばかりを重視してチームへの貢献を軽んじた社員は評価が下げられるなど、円滑な組織運営を実現する工夫がなされています。

↓360度評価について解説した記事はこちら↓
360度評価とは?導入するメリット・デメリット、活用方法を徹底解説!

3.バリュー評価

バリュー評価とは、企業が求める行動規範に沿った行動ができたかどうかを評価する評価手法のことです。
行動評価やプロセス評価などと呼ばれることもあり、成果ではなく行動が重視されるという点において従来の評価制度とは一線を画します。
いくら成果が高くても、行動規範に反する行動が見られれば高い評価は得られません。
企業が求める社員像を明確にすることで、社員が「何をすれば良いか」「どう行動すれば評価されるか」を理解しやすくなり、企業と足並みをそろえて同じ方向を目指せるようになります。

企業の求めるものを理解し、自発的に行動できる社員の育成につながるため組織力の強化が可能になり、企業としての成長も期待できるでしょう。
ただし、行動規範には明確な数値があるわけではなく、目標設定や評価が難しいため注意が必要です。
具体的な行動を明示しなければ、社員の認識に齟齬が生じ、期待した行動にならないこともあります。
評価者を複数にする、行動と評価基準を具体化するなど、客観的で公平な評価ができるような工夫をしましょう。

バリュー評価は、日本最大のポータルサイトを運営するヤフー株式会社で導入されています。
「課題解決」「爆速」「フォーカス」「ワイルド」という4つの行動規範「ヤフーバリュー」を設定し、どれをどのくらい達成できたかで評価します。
具体的には、課題の発見と解決に尽力し、爆速で仕事をこなし、1つの目標にフォーカスして集中し、失敗を恐れないワイルドさを持つということです。
これらのバリューと役職に応じた計10問の設問に対し、社員がどう行動していたかによって評価が下されます。
評価は上司だけでなく同僚なども参加する360度評価を組み合わせており、評価が難しい行動規範をより公平で正確に評価できるよう工夫されています。

↓コアバリューについて紹介した記事はこちら↓
コアバリューとは?作り方や組織への浸透方法、企業事例を紹介

4.ピアボーナス

ピアボーナスとは、社員同士が成果や企業への貢献度合いを評価し合ったり、報酬を贈り合ったりする評価手法のことです。
スマホアプリや社内コミュニケーションツールなどを利用し、ポイントや感謝のメッセージなどを気軽に贈り合います。
報酬は金銭や家電製品などさまざまなアイテムを設定できるため、内容次第で社員のやる気を大きく引き出せるでしょう。
上司よりも近い距離でともに働く同僚から評価してもらえることで、モチベーションの向上やコミュニケーションの活性化などのメリットが期待できます。
従来の評価制度ではスポットライトが当たりにくかった仕事や社員も評価される可能性があり、仕事への満足度が高まることで人材流出の予防効果も得られるでしょう。

一方で、ピアボーナスの実施には報酬を準備する必要があり、コストがかかってしまいます。
一部の社員だけに報酬が集中していないか、コストパフォーマンスに問題はないかなど、定期的に成果を確認しましょう。

株式会社メルカリでは、「メルチップ」というピアボーナスを実施しています。
メルカリでは以前からサンクスカードを用いて感謝の気持ちを贈り合っていましたが、そこに報酬が発生するピアボーナスを加えたのです。
社員1人あたり週に400ポイントが支給され、好きな相手に好きなだけポイントを贈ることができます。
「感謝を表現しやすい」「他部署と連携しやすくなった」「自分の行動が認められて嬉しい」など好意的な意見が多く寄せられ、導入後のアンケート調査では約87%もの社員がメルチップに満足していると回答しています。

↓ピアボーナスについて解説した記事はこちら↓
ピアボーナスとは?メリットやツール選びのコツを徹底解説

従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

今回は、大手企業や先進企業が積極的に導入している新たな人事評価制度の概要や事例ついて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。

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