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ジョブローテーションとは?実施目的や効果、メリット・デメリットを紹介

ジョブローテーションとは?実施目的や効果、メリット・デメリットを紹介

人材育成を目的に幅広い企業で導入されているジョブローテーション制度。
職種が異なる場合は仕事内容が大きく変わることはもちろん、同じ職種でも事業部が変わることによって、求められるスキルや能力が変わり、従業員に取って大きな成長の機会になるものです。
今回は、ジョブローテションの概要や自社内で実施する目的と効果、メリット・デメリットについて紹介します。

ジョブローテーションとは?

ジョブローテーションとは、人材育成計画をベースに戦略的に、定期的に職場を異動させる制度です。
主に入社して数年の新入社員を対象に行います。
ジョブローテーションの期間は、企業の方針や目的によってさまざまですが、短い場合で半年、長い場合は2年程度のスパンで職場や職種を異動します。
合計2~3ほどの部署を経験した後に、本人の希望や適性を考慮して正式な配属を決めるというやり方が一般的です。

ジョブローテーションの目的と効果

ジョブローテーションのベースにあるのは人材育成と人材定着です。
具体的には「能力開発」「組織の全体像の把握」という2つの目的があります。
まず、社内の異なる部署でさまざまな業務を経験することは、社員の知識やスキルアップに効果的です。

次に、ジョブローテーションによって上司との縦のつながりだけでなく、部署間の横のつながりも意識できるようになります。
特に、事業規模が大きい大企業では、組織の全体像を体系的に把握しづらい面があるものですが、複数の部署を経験することで、おのずと全社視点が養われていきます。

企業側のジョブローテーション制度のメリット

企業側のメリットは次の通りです。

1.適材適所な配置が叶う

複数の部署や業務を経験してもらうことで、本人がもっとも強みを発揮できる職種に正式配属できます。
志望者全員の適性を面接時に見抜くことは、ほぼ不可能でしょう。
本人にあらかじめ選ばせる職種別採用というやり方もありますが、実際に担当してみるとマッチしないケースも案外少なくありません。
ジョブローテーションであれば、ゆっくり時間をかけて本人の適性を見極められ、適材適所な配置も可能です。

2.業務を標準化できる

ジョブローテーションは、業務の属人化の解消にも繋がります。
人員を流動化させることで、「同じ業務をさまざまな人が担当する」という状態がつくられるためです。
属人的なプロセスが省かれ、教えるためのマニュアルも整備されるため、業務の標準化や効率化が進むでしょう。
担当者の不在時に業務が停滞する・退職によって特定の業務がブラックボックス化するという心配もなくなります。

3.ゼネラリストを育成できる

ジョブローテーションによって若いうちからからさまざまな職場での実務経験を積ませることで、広範囲に渡るスキルや知識を持つゼネラリストを育成できます。
さまざまな場面でオールラウンドに活躍できる柔軟性の高さは、幹部候補生に求められる能力の一つでもあります。

従業員側のジョブローテーション制度のメリット

従業員側には、次のようなメリットがあります。

1.キャリアパスを描きやすい

異なる部署や業務を知ることで、深く広い視点で自分のやりたいことや目指したい姿を描けるようになります。
バックグラウンドの異なる先輩社員から、さまざまなアドバイスももらえるでしょう。
また、入社してから一定の期間が経っていれば企業のビジョンやミッションも理解できており、それに合わせる形で自身のキャリア形成の方向性を具体化できます。

2.多角的な視点が身に付く

次に、複数部門でさまざまな業務を経験することで、多角的な視点が身に付きます。
知識やスキルの幅が広がれば、それらを応用したり組み合わせたりして、ハイレベルな業務を遂行することも可能になるでしょう。

社内の人脈が広がる

さらに、ジョブローテーションによって、社内のさまざまなところに人間関係を構築できます。
交流がある部署とは連携を取りやすく、業務内容も知っているので協力してもらえる範囲についても正しく判断できるでしょう。

企業側のジョブローテーション制度のデメリット

企業側のデメリットには次のようなものがあります。

1.コストがかかる

実施規模にもよりますが、ジョブローテーションにはコストがかかります。
なぜならば、ローテーション中の社員は基本的に研修生という立場となるため、戦力としての活躍は期待できないためです。
正式配属後に担当を持つまでは、教育コストがかかり続けます。

2.受け入れ部門の負担が大きい

受け入れ部門では、業務をひと通り教えたと思ったら異動となり、また新人がやってくるという状態が繰り返されることになります。
常に業務指導に社員のリソースを割かれることになるため負担が大きく、受け入れ直後には一時的に生産性が落ちる可能性もあります。

従業員側のジョブローテーション制度のデメリット

社員側のデメリットも見ていきいましょう。主に次のようなものがあります。

1.専門性が身に付きにくい

一定期間での異動が決まっている社員には、専門性の高い業務はなかなか任せづらいものです。
基本的には単純な業務しかアサインされず、それが複数部署で繰り返されるという場合も少なくありません。
そのため、入社して何年も経っているのに、どの領域においても専門的といえるほどの知識やスキルを身に付けられていないという状態に陥りかねません。

2.業務への意欲が落ちる

いつまで経っても単純な作業しか任せてもらえないことで、業務へのモチベーション維持が難しくなる可能性も否定できません。
これから専門的な領域を学べると思ったところで次の異動が決まるという状況が繰り返されれば、向上心が強い人ほど落胆してしまうものでしょう。
専門性が身に付かずキャリア形成への不安を高めた社員に離職されてしまうと、それまでの教育コストがすべて無駄になってしまいます。

ジョブローテーション制度を自社内に導入する際のポイント

ジョブローテーションを導入するうえでは、なぜその制度が必要なのかという目的を明確にし、全社員に共有しておくことが大事です。
短い期間で次々と異動させるのではなく、ある程度じっくりと担当させ、期間内に一つは達成感のある業務を経験させることも、社員のモチベーション維持には必要でしょう。

前後の工程を担っている部署など、関係性の高い部署をローテーションさせて業務の大きな流れを理解させることも有用です。
加えて、自社の人材育成計画とジョブローテーション制度がマッチしているかという観点も重要です。
自社が将来的に成長していくためにはスペシャリストが必要な場合、ジョブローテーションによる育成は非常に遠回りということになります。
ジョブローテーションの導入にあたっては、自社にとってのメリットとデメリットを突き合わせ、うまく機能しそうかをあらかじめ見極めることが大切です。

従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

今回は、ジョブローテションの概要や自社内で実施する目的と効果、メリット・デメリットなどについて紹介しました。

従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。

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