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製造業の離職率の現状と理由、離職率を下げるための対策について紹介

製造業の離職率の現状と理由、離職率を下げるための対策について紹介

特に高校を卒業してすぐ就職する社会人にとって、製造業は花形で人気の職業とされていました。
たとえば工場勤務では、自分の持ち場で集中して仕事をできるので、職場の人間関係に気を配る労力は少なくて済みます。
勤務時間もほぼ固定されていて、給与水準も比較的高く、作業に慣れれば効率的に稼ぐこともできるのです。
ただ、製造業の離職率は近年高まっているとも指摘されています。
今回はその製造業の離職率の現状や離職の理由、離職率を下げるための対策について紹介します。

製造業における離職率の現状

厚生労働省が毎年まとめている『雇用動向調査結果の概況』2019年版の統計によると、

  • 年間の入職者数は843万5400人
  • 離職者は785万8400人

と、入職者のほうが離職者を上回っています。
率に直すと、入職率が16.7%で離職率が15.6%、その差は1.1%です。

この構造を産業別に見ると、同じく2019年の統計で「製造業」においては、

  • 年間入職者数が79万9900人
  • 離職者は76万200人

となっています。
割合に引き直すと、入職率10.1%で、離職者が9.6%、その差は0.5%で全体平均よりも小さいです。

この離職率9.6%という数字は、建設業(9.4%)に次いで2番目に低い水準でした。
裏を返せば、9割以上の人材は製造業に留まっていて、むしろ製造業での人材定着率の高さを裏付ける結果となっているのです。

2018年の統計では、むしろ製造業の離職者数が入職者数を上回っていました。

  • 入職者74万3800人
  • 離職者が75万800人

となっていたのです。
わずか1年で入職者が大幅に上回り、人材不足の傾向が解消されたことになります。
製造業からの人材離れが落ち着き、持ちこたえたようにも見えます。

また、若者の3年以内の離職率は、大卒で約30%、高卒で約40%といわれていて、平均を大きく上回る水準ですが、厚生労働省がまとめた『新規大卒就職者の産業分類別 就職後3年以内の離職率の推移』によると、製造業の3年以内離職率は、20%前後で安定しています。
統計の数字を慎重に検討すると、一般的なイメージに反して、製造業の人材の離職率は決して高くないことがわかります。
世界に誇る高品質の商品を造り続ける「ものづくり国家」を支えているのが製造業界の方々です。
ただ、技術を身につけた人材が製造業を見限って辞めていく場合があることも間違いない事実です。
離職すべきでない人材を離職させない努力が、将来にわたる業界の発展を支えていくと考えられます。

製造業で離職が発生する理由・原因

製造業から離職していく理由として、主要なものは次の通りです。

1.ワーク・ライフ・バランスを意識した働き方を実現しにくい

特に工場勤務でのライン作業ですと、1人の従業員が抜けただけでもラインが止まってしまうことがあります。
よって、従業員の個々の事情よりも製造工程を維持することのほうが、しばしば優先されがちです。
場合によっては、残業や休日出勤を余儀なくされることもあります。
このような時間外労働の業務命令が繰り返されれば、その従業員がプライベート時間を大切に過ごすことも難しくなり、人生の張り合いを失ってしまいます。
特に子どもの妊娠や出産を控えている家庭を持つ従業員であれば、出産や育児を理由にした長期休暇を取りたいところですが、製造業ではその願いも実現しにくい傾向にあります。
そのような事情も、人材の製造業離れを生んでいるのです。

2.努力や成果に対する正当な評価を感じにくい

製造業では、長年にわたって真面目に勤務して、会社に貢献しているにもかかわらず、給与などの待遇面がまったく変わらず、低水準のままだと嘆く声が少なくありません。
会社に勤続していても、やり甲斐を感じられず、キャリアを重ねている実感も無く、明るい未来が見えないのであれば、転職に希望を託そうとする人材が現れても仕方ないことでしょう。

3.パワハラやいじめなどでストレスを溜めている

社内で発生している各種ハラスメントやいじめなどについて、会社が見て見ぬふりを決め込んでいるようでは、その被害者は会社を去るしかなくなります。
工場勤務などでは、人間関係がドライで、コミュニケーションに配慮する必要性が少ない気楽さもあります。
しかし、人間関係が内側に閉じられているからこそ、パワハラやいじめの標的になると、被害がひとりに集中しがちになるリスクも生じるのです。
会社は、このような不正を決して見過ごさず、許さない態度をとるべきです。

4.OJT以外の研修や教育の機会が少ない

特別な新人研修の機会を与えず、新人をいきなり現場に出して、現場で仕事を覚えさせるOJT(On-the-Job Training)は、特に製造業で多用されがちです。
しかし、仕事に対する知識をほとんど身につけていないままで現場に出ても、最初は失敗してばかりで、無力感をおぼえるものです。
OJTは会社にとっては効率的ですが、人材育成の方法としては、新人社員のモチベーションを下げるリスクと隣り合わせなのです。
その状況を放置すれば、仕事に慣れる前に「自分はこの仕事に向いていない」と思い込んで、早々に辞めてしまう人も出てきます。

製造業の離職率を下げるための対策

製造業の離職率が、これ以上増すことなく、人材の定着率を上げるために必要と考えられる対策は、次のようなものが考えられます。

1.新人の悩みを相談できる窓口をつくる

上司に恵まれていれば、その上司に悩み事を打ち明けることもできますが、部下は上司を選べません。
会社としては、上司とのコミュニケーションに悩む従業員に向けた相談窓口をつくって対応するのも有効な対策です。
できれば、心理カウンセラーなど専門家の協力を仰ぎましょう。

2.ワーク・ライフ・バランスを確保できる環境を整える

残業が多すぎる、休暇が取れないなどの悩みは、現場レベルでは本質的に解決しません。
経営陣が率先して対策を取らなければ状況は変わらないのです。
それぞれの従業員にとって、休日の趣味や遊び、家事や育児が充実すれば、仕事にも張り合いが出て、会社にとってのメリットも大きいです。

3.新人研修を充実させる

OJTであれば、会社にとっては追加コストもかからずに新人を指導できるので合理的ですが、OJTでは、能力の高い新人だけが適応し、そうでない新人が置いて行かれて社内での居場所を失うおそれがあります。
できれば、OJTと正規の新人研修とを組み合わせたいものです。
仕事に対する意識の高い新人は、充実した研修にも期待しています。
「これからこの会社で働くんだ」と気分を高め、モチベーションが向上するだけでなく、会社から大切に扱われているという実感にも繋がります。
新人研修には可能な限り、時間とコストを投入したいものです。

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