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働きがいのマネジメント指標とされる心理的資本の内容や尺度とは?
昨今の自然災害や新型コロナウイルスの蔓延、不安定な社会情勢など、現代社会は先行きの見通しが難しい状況が続いています。
そのため、ビジネスにおいても従来の常識であったカネやモノ、人などが中心のマネジメント指標から「心理的資本」へと変化しつつあるのが現状です。
今回は、心理的資本の内容や尺度、心理的資本経営を行う際のポイントなどについて紹介します。
心理的資本とは?
心理的資本(Psycological Capital)は、アメリカの経営学者フレッド・ルーサンスによって提唱された考え方です。
人が働く時に自信を持って課題を乗り越えている力が心理的資本で、従来の人的資本(Human Capital)や社会関連資本(Social Capital)の根底にあるものと位置付けられています。
人的資本は、個人が持つスキルや経験を重視する考え方です。
人的資本を高めるために、企業は社員に対して研修や学ぶ環境を整えるなどします。
社会関連資本は、個人が社会とのつながりで得られる資本です。
多くの人とのつながりからは有益な情報が得られるため、引いては仕事へも良い影響があります。
社会と関わるためのコミュニケーションスキルが高いほど多くの情報を獲得できます。
心理的資本はこれまであまり重要視されてきませんでしたが、心理的資本を高めることにより人的資本や社会関連資本への好影響があることも分かってきました。
例えば、企業が社員の心理的資本を強化すると、従業員満足度や企業への貢献度が高まるといった実証分析も進められています。
心理的資本は社員の心理のみならず働き方にも影響するため、引いては企業全体の業績にもつながるものです。
心理的資本を構成する4つの要素
心理的資本は、希望(Hope)、自信・効力感(Efficacy)、回復力(Resilience)、楽観(Optimism)の4つの構成要素が互いに相乗効果をもたらしています。
心理的資本は4つの言葉の頭文字をとって「HERO(ヒーロー)」または「The HERO Within(自分の中の英雄)」とも呼ばれています。
心理的資本をより理解するために、それぞれの意味を知っておきましょう。
希望(Hope):明確な目標を持ち、目標に向かっていく情熱や目標達成の道筋がある状態のことです。
意志の力や想像力、創造力などを意味するもので、単なる楽観主義というわけではありません。
自信・効力感(Efficacy):自分に自信があり主体的に行動を起こすことができる状態です。
周囲から言われてやるのではなく、自分で決定し自発的に行動することができます。
自分ならできる、という自信があるからこそ行動を起こすことが可能になります。
回復力(Resilience):単なる「折れない心」というわけではなく、ストレスで折れたとしても回復できることを言います。
さらに、回復後には以前よりも成長できる超回復の状態です。
危機や逆境だけでなく、嬉しい変化が起こった時にもストレスは発生するため、誰でも持っていたい心理状態と言えます。
楽観(Optimism):自分でコントロールできるものと不可能なものを見分けた上で、楽観的に行動できる状態です。
自分で考えることなく全ての物事に対して楽観的になることとは違います。
例えば、予測不能なパンデミックが起こった時に、楽観的に自分ができることをやろうと捉えるような心理状態です。
心理的資本が提唱された背景
日本でも国による働き方改革が進むなか、ワークエンゲージメントが促進されています。
従来のように経済が成長を続けてきた時代とは異なり、企業で働く個人に求められるものが変化してきました。
昨今では単なる労働力としての人材ではなく、人間にしかできないものが求められています。
AIや技術の進歩によりビジネスの環境も大きく変化していることも要因です。
2020年、アメリカでは上場企業に対して人的資本の情報公開が義務付けられました。
これは、資本家が人的資源の質が高い企業への投資を注視していることを表しています。
従来では企業の売上高などから短期的に判断する投資が行われてきました。
しかし、社会情勢が目まぐるしく変化する現代では、人的資本を強化して長期的な経営を行う企業が求められています。
少子高齢化社会が急速に進む日本においても、今後は人材確保がますます困難になっていくと予想されています。
優秀な人材の獲得となればより難しいのが現状のため、心理的資本の考え方に注目していく企業が増えていくのは必須でしょう。
企業が行う心理的資本経営のポイント
従来の経営手法では、事業と人的な組織に対して異なる戦略を立てることもありました。
しかし、実際には事業と組織は互いに大きく影響し合っています。
それぞれに異なったマネジメントを取り入れてしまうと、効果が得られないこともあります。
企業は事業内容の分野や形態は様々なので、その特徴を踏まえながら戦略を立てなければなりません。
働きがいのマネジメント指標である心理的資本の考えを取り入れる前に、企業ごとの戦略を見直しておきましょう。
心理的資本を強化するために、経営陣は人間観や組織間などの根本的な考え方についても見直す必要があります。
好ましい人間観とは、人の感情や問題は人と人の関係性にあることを知ることです。
人間関係の改善を目指すようになれば、様々な問題はおのずと好転するようになります。
変化が激しく将来が不透明な現代社会では、その時々の状況を判断する指標にも変化が起こります。
そのため、ビジネスにおいても従来の事業を測る指標だけでは不十分です。
心理的資本にも注目して事業と組織の両方を高めていくことが求められています。
心理的資本で変わる個人と組織
変動する現代社会においては、従来のようにリーダーだけが組織を動かして十分な業績を上げるのは難しいことです。
組織を構成する一人ひとりが自律的な行動を起こし、課題や目標に向かっていくことが大切になっています。
心理的安全性(Psychological Safty)を前提とした企業なら、心理的資本の考え方で組織全体がより良く変わっていくでしょう。
組織の構成員が自律心をもっていれば、自分の役割を自覚しながら持っているスキルを存分に発揮できます。
信頼関係があれば、十分に議論することも可能になるため組織は成長を点透けることが可能になります。
そのためには、目標や課題に向かうプロセスが共有されていることも必要になります。
心理的資本の考え方で個人が自分の力を十分に発揮できるなら、企業全体の業績アップも期待できます。
心理的資本は現代社会の動向に沿ったマネジメントと言えるでしょう。
従業員が定着・活躍できる組織を作ろう
今回は、心理的資本の内容や尺度、心理的資本経営を行う際のポイントなどについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。
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