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退職金とは?計算方法や税金、相場、支給方法について紹介
長年勤めた職場を去るときにもらう花束や労いの言葉、銀行口座に振り込まれるのが退職金です。
それが普通のこととして社会に根付いていますが、法律で義務付けられているわけでもないのに、退職金はなぜ支払われるのでしょうか。
また、その額はどのように決定されるのでしょうか。
今回は、退職金の計算方法や税金、相場、支給方法などについて紹介します。
退職金とは?
「退職金」とは退職する人に支払われる金銭です。
退職手当、退職慰労金、退職功労報奨金と呼ばれることもありますが、一括して支給される退職一時金の他に、定期的に給付される退職年金もあります。
退職金を支払う慣行は古くからありましたが、広く普及したのは第2次世界大戦後といわれています。
今日でもその支払いを義務付ける法律はなく、任意に支払われていますが、退職金は優秀な人材の確保や労働者のモチベーションを高めることに貢献すると考えられています。
なお、厚生労働省の調査(2018年)によると退職金の支給を制度化している企業は全体の約8割です※1。
(参考文献) ※1 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査結果の概況」
退職金の計算方法
退職金の計算方法は就業規則の中で定められるのが一般的です。
その方法は企業によって異なりますが、多くの会社は退職時の基本給に勤続年数に応じた支給率を乗じて計算しています。
例えば、以下のような支給率が就業規則の中で定められています。
勤続年数:支給率(係数)
- 3年~4年:1.0
- 5年~10年:2.5
- 11年~15年:5.0
- 16年~20年:7.5
- 21年~25年:10.0
- 26年~30年:15.0
- 31年~35年:17.5
- 36年~40年:20.0
- 41年~:25.0
例えば勤続年数45年で退職時の基本給が50万円の場合、退職金は1250万円(50万円 x 25.0)です。
なお、勤続年数が3年未満の労働者には退職金を支給しない場合、就業規則の中で「退職金は自己都合による退職者で勤続年数が3年未満の者には支給しない」と定めることが必要です。
退職金の相場
退職金の相場は勤続年数だけではなく、退職理由、学歴、業種といった種々の要素に左右されますが、厚生労働省の調査(2018年版)※2によると、それぞれの平均額は下記の通りです。
1.勤続年数・学歴別
勤続年数別の退職金の平均額は下記の通りです。
・大学・大学院卒の管理・事務・技術職の場合
- 20~24年1267万円
- 25~29年1395万円
- 30~34年1794万円
- 35年以上 2173万円
このように勤続年数20~24年と35年以上には約900万円の差があるため、退職金制度は離職防止にも効果があるとされています。
なお、同じ職種でも高卒者の退職金の平均額は下記にようになっています。
35年以上勤務する場合を除き、大卒・大学院卒者に比べると大幅に少ないことが分かるでしょう。
・高卒の管理・事務・技術職の場合
- 20~24年525万円
- 25~29年745万円
- 30~34年928万円
- 35年以上1954万円
このように高卒者の場合、勤続年数が35年以上になると退職金が大幅に増えます。
その結果、大卒・大学院卒者の退職金との差は大幅に縮まっています。
2.業種別
東京都の調査(2020年)によると業種間で退職金は下記の通りです※3。
大卒・大学院卒
- 金融/保険:1725万5000円
- 建設業:1313万8000円
- 不動産業・物品賃貸業:1353万7000円
- 情報通信業:1154万5000円
- 製造業:1148万7000円
- 生活関連サービス業/娯楽業:1104万2000円
- 学術研究、専門/技術サービス業:1007万1000円
- 運輸業/郵便業:893万2000円
- サービス業:996万円
- 教育、学習支援業:656万9000円
業種間で大きな開きがありますが、高卒者の退職金の方が多い業種(生活関連サービス業、娯楽業、サービス業)もあります。
3.退職理由別
退職理由別にみた退職金の平均額は下記の通りです(勤続年数20年以上、かつ、45歳以上の大卒・大学院卒の人の場合)※2。
- 定年退職:1983万円
- 会社都合:2156万円
- 自己都合:1519万円
- 早期優遇:2326万円
「会社都合」とはリストラを指していますが、「早期優遇」とともに「定年退職」による退職金を上回っています。
※2厚生労働省「平成30年就労条件総合調査結果の概況」
※3 東京都東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版) モデル退職金
川辺拓也退職金の相場を比較~会社員と公務員のモデルケース解説~
退職金にかかる税金
退職金(一括して支払われる退職一時金)は所得の1つであるため所得税がかかります。
ただし、課税の対象となるのは退職金の半額です。
また、下記の計算式による控除が認めらているため、納める税金はゼロになる場合があります。
・勤続年数が20年以下の場合40万円 × 勤続年数
※80万円に満たない場合には80万円 ・勤続年数20年を超える場合800万円+70万円 ×(勤続年数-20年)
この計算式に当てはめると、勤続年数が20年の人は800万円(40万円 x 20年)まで控除が認められます。
そのため、支給される年金が800以下の場合、所得税はかかりません。
これに対し、勤続年数が30年の人は1500万円(800 + 70万円 x 10年)まで控除が認められます。
支給された退職金が2000万円のときは控除後の金額を半分にした額、つまり、250万円が課税対象額です。
この金額の場合、所得税の税率は10%で、9万7500円の税額控除が認められるため、納める所得税は15万2500円(250万円 x 0.1 – 9万7500円)です。
また、その2.1%、つまり、3202円を興特別所得税として納めなければいけません。
なお、これらの税金は源泉徴収されるため、確定申告を行う必要はありせん。
(参照)国税庁No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) 、 国税庁
退職金の支払い方法
退職金は就業規則の定めに従い支払われます。
一般的には、退職した時ではなく、それから3~6カ月以内に退職者の銀行口座に振り込まれます。
なお、支払い期限が経過しても支払われないとき、退職者は遅延損害金を請求することが可能です。
就業規則では、労働者が死亡し退職するときは、「遺族」に対し退職金を支払うと定められることも少なくありません。
遺族とは配偶者や子を指しますが、最高裁判所は「内縁のパートナー」も含まれると判断しています。
退職金を従業員に支給するため、企業は準備金を確保していますが、掛け金を支払い共済(例えば中小企業退職金共済)に加盟することも可能です。
その場合は、共済から退職金が支払われますが、企業の準備金と各種共済の両方から支給されることもあります。
【参考文献】
doda【社労士監修】退職金の平均・相場・計算式・計算方法は? いつもらえる?勤続年数や種類、退職理由でどのくらい変わる?
あしたのチーム退職金とは?相場や計算方法、退職金制度の構築方法などを紹介
フリーウェイジャパン退職金制度とは~経営者が知っておきたい導入のポイント~
従業員が定着・活躍できる組織を作ろう
今回は、退職金の計算方法や税金、相場、支給方法などについて紹介しました。
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