コラム

エンゲージメントの定義とは

エンゲージメントの定義とは

株式会社Take Action代表の成田です。
今回は、最近様々なメディア、雑誌、ネットでも耳にするようになった「従業員エンゲージメント」について話したいと思います。
この「従業員エンゲージメント」についてそれぞれの解釈や認識のズレを引き起こさないために、ここで「従業員エンゲージメント」の定義を再確認しておきましょう。

エンゲージメントの定義

「従業員エンゲージメント」とは、「会社の成長」と「個人の成長」が連動していることを意味し、企業の目指すべきビジョンや方向性に対して従業員もそれを理解し、自身の成長へと紐づけて互いに貢献しあう関係を指します。

また企業と従業員との愛着心や信頼関係を指した言葉です。
世界140ヵ国以上に社員を抱え、世界有数のコンサルティング会社『ウイリス・タワーズワトソン』によると、従業員エンゲージメントとは「従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」としています。
従業員の自発的な行動や貢献意欲を様々な視点や要素から測定することで、会社としても個人としても成果を高め合う次世代の最良のやりかたと言えます。

また、この従業員エンゲージメントを向上させることは、成長する組織において優秀な人材を集め、離職を防ぐ方法としてとても有効です。

つまり、エンゲージメントは組織と個人が密接にかかわり合っており、どちらか片方という考え方ではなく双方の「関係性」「関わり合い」がとても大切だと言えます。

よって更に深堀りするとそれぞれの個人が組織の戦略やビジョンを理解し自発的に組織に貢献する行動を取り続けるという関係性です。
組織が戦略やビジョンを掲げるだけでは会社本位であり、個人が自分の有益だけを考え組織の意向を組まないことには従業員エンゲージメントは成り立ちません。

モチベーションや従業員満足度と従業員エンゲージメントの違い

最近ではモチベーションという言葉が組織論やマネジメント論には頻繁に使われるようになり、従業員エンゲージメントがモチベーションと同じ意味合いを持っていると思っている方も多いのではないでしょうか。
そういった意味では従業員エンゲージメントという言葉はまだまだ定着していないのが実情かもしれません。
(もちろん感度の高い経営に携わる方や人事の方などは、かなり前からご理解されていることだと思いますが)
また従業員エンゲージメントを語る上で違いをしっかりと認識しないといけないのは、従業員満足度やモチベーションなんかの意味合いだと思います。
もちろん似た部分もありますが本質的な違いもありますので、ここで整理しておきたいと思います。

従業員満足度との違い

従業員満足(Employee satisfaction)は一言でいえば、組織から従業員に対して与えているもので、従業員がどう捉えているかという従業員本位の考え方です。
これは「従業員がどれだけ会社や働く職場環境に満足しているか」を定量化したものであるため、主に給与や福利厚生、労働環境などについて語られます。

もちろん大切な指標であることは間違いなく、顧客満足(customer satisfaction)と並べて論じられることも多くありますが、個々の社員が会社から与えられて「満足している」状態と、「自発的且つ主体的に仕事に取り組む」状態は同義ではありません。
従業員満足度(Employee satisfaction)が上がったとしても、企業の利益や個人の生産性が高まるわけではないのです。
むしろ、従業員満足度を高めることだけに専念していると従業員は会社から与えてもらう受動的な状態になりうるリスクを抱えてしまうことに加え、従業員満足を高める為の施策に対してコストは増大し、業績を圧迫する要因になります。

一方、従業員エンゲージメントは、仕事に対しての取り組む姿勢や熱意やなど、個人の意欲が組織やチームにどれだけ方向性が向かっているかを測定したものです。
会社のビジョンに納得しているか、自己の成長に繋がっているか、責任ややりがいを感じられているかなど組織やチームに対する関係性や状態を表します。
よって、従業員エンゲージメントは従業員満足度とは異なり、仕事上の成果に大きな影響をもたらし、会社としては従業員満足度を高めることよりも企業成長をさせる重要なカギといえます。

モチベーションとの違い

モチベーションはよく私もマネージャー時代、会社から部下のモチベーションを落とさないようにとか維持しなさいと指導され、組織においてとても重要であると認識されている方も多くいると思います。
改めてモチベーションとは、ある取り組みに対しての意欲ややる気『動機づけ』を意味する言葉です。
もう少し簡単なこと言葉で表現すると、「人が行動をとる為に必要な原動力」と言えます。モチベーションには2つのタイプがあり、自分自身の中で湧いてくる感情によって行動へとつなげられる「動因(ドライブ)」と外から与えられた報酬などによって行動が始まる
「誘因(インセンティブ)」があります。

従来、誘因を動かすために成果報酬によってモチベーションを引き出す試みが営業系の会社を中心に日本企業でも多く導入されてきました。

モチベーションは仕事の成果に大きな影響を及ぼすとされていますが、果たして本当にそうでしょうか?
確かにいくら売上を達成したら、何パーセント分のインセンティブがもらえる成果報酬型の取り組みは、一時的なやる気やエネルギーになるかもしれません。
ただ、それはエンゲージメントの定義である「従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」という考え方に沿ったものでしょうか?
モチベーションは一時的な短期的数字の成果という観点では、その一瞬は情熱をもってエネルギーを発揮するかもしれませんがあくまでも個人の「動機づけ」であり、従業員エンゲージメントのように個人と組織の「関係性」を表しているわけではありません。

この違いは重要です。
いかにモチベーションが高い場合であれ、個々人がバラバラな方向を向き自分本位なエネルギーを発揮していては組織としての生産性は高まりません。
つまり、モチベーションは個人としてのやる気や主体的行動を促すことはできても、それが組織としての成果をもたらすとは限らないのです。
本質的に大切なのは、組織で働く人材として個人の優位性でモチベーションを持って働くことではなく、従業員エンゲージメントであると自信を持って話すことができます。

まとめ

これらをまとめるとそれぞれ下記のように定義されます。
・従業員満足度…給与、福利厚生、労働環境などへの満足=組織から従業員に与えるもの
・モチベーション…個人としてのやる気や主体的行動を取る源泉
・従業員エンゲージメント…組織の目指すべき方向性と個人の目指すべき方向性が連動している

私がお伝えしたいのは、従業員満足度もモチベーションも悪いと言っているわけではありません。
そのバランスや度合いによって変わってくると思います。
ただエンゲージメントに関しては、組織の目指すべき方向性と個人の目指すべき方向性が連動しているという理想的状態ですから経営者は最重要な経営課題としてこの問題に向き合う必要があるのです。