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アルムナイネットワークとは?メリットや運用のポイント、企業事例を紹介

アルムナイネットワークとは?メリットや運用のポイント、企業事例を紹介

一度退職した方であっても、再度入社を受け付ける企業が増えています。
企業の社風や事業内容を知っているため、入社後の適応が早く、早期離職のリスクも少ないことやある程度その人の能力を知っているため、即戦力として活躍してもらえる可能性が高いためです。
大手企業を中心に広がるアルムナイネットワークですが、具体的にどのように運用していけばよいのでしょうか。
今回は、アルムナイネットワークの内容や活用メリット、運用のポイント、企業事例などを紹介します。

アルムナイネットワークとは?

「アルムナイネットワーク」とは、企業と企業を退職した元従業員とで形成されるコミュニティを指します。
アルムナイ(alumni)とは、「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。
人事領域では、定年退職者以外の「離職者」や「OB・OG」を指す言葉として使われています。
アルムナイネットワークの運用として一般的なのが、Webサイトやメールなどを活用したアルムナイに対する情報提供やイベントへの招待などを定期的に実施することです。

アルムナイネットワークが注目される背景

アルムナイネットワークが注目される背景としては、社会背景が大きく関わっています。
主な理由としては、以下の3つが挙げられるでしょう。

  • 少子高齢化による労働人口の減少
  • 終身雇用制度の崩壊
  • 経営戦略の多角化

近年、新卒を大量採用し定年まで雇用するというスタイルは減少傾向にあるだけでなく、労働人口の減少や経営戦略の多角化で人材採用が困難になっています。
その点、既に企業風土や職場のルールを理解し、スキルアップも期待できる退職者を再雇用することは、生産性向上に寄与すると考えられています。

アルムナイネットワークを構築するメリット

アルムナイネットワークが構築されると、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、以下の通り5つのメリットについて紹介します。

企業を理解している即戦力を再雇用できる

主な目的を再雇用(アルムナイ採用)として、アルムナイネットワークを構築している企業は少なくありません。
近年、労働人口の減少や終身雇用制度の崩壊による労働市場の流動化などに伴い、「人材確保」が企業にとって大きな課題となっています。
加えて、企業の持続的な成長・イノベーション創出のために、新しい視点からの発想をもたらしてくれる「外部からの人材の獲得」も重要になっています。
アルムナイの採用は、この両方の課題を解決する方法になり得ます。
アルムナイは、企業風土やルールを理解した即戦力になり、かつ社外での経験や知識を持ち合わせており、企業にはなかった考え方や発想を持った人材に成長している可能性もあります。
このことから、企業にとっては魅力的な人材といえます。

従業員の人材開発につながる

企業の現役従業員とアルムナイが定期的に交流し情報を交換することで、現役従業員は新しい考え方や発想を取り入れ、業務に生かせるでしょう。
さらに、交流する中で、社外から見た自社の強みや弱点に関する情報を得られます。
また、アルムナイとの交流は、従業員が自律的にキャリア形成に取り組むよいきっかけになります。
アルムナイとの交流で従業員が自己のキャリアを見つめ直し、リスキリングやスキルアップに積極的に取り組むことが期待できます。

アルムナイの意見を人事戦略などに活用できる

企業にとってアルムナイは、自社だけでなく他社の実情も把握している貴重な存在です。
在籍していた時には気付かなかったことに、他社に移ってから、または起業してから気付くこともあるでしょう。
企業はアルムナイからの客観的かつ忖度の無い正直な評価や意見を受け入れ、その意見を基に組織の改善、そして職場の魅力向上を図ります。
結果として、従業員のエンゲージメントが向上するだけではなく、離職率の低下につながる可能性もあります。

アルムナイとの協業やビジネス連携につながる

企業とアルムナイとの間で定期的なイベントや情報交換の場を通じて、お互いが良好な関係を構築・維持できていれば、協業やビジネス連携につながる可能性があります。
実際に、ある領域に関する専門知識を持つアルムナイと企業が意見交換や情報交換の場を設けたり、アルムナイが起業した会社へ出資したりする事例もあります。

企業ブランディングができる

企業がアルムナイネットワークの構築・維持やアルムナイ採用に注力することで、採用ブランディングにつながる可能性があります。
例えば学生のなかには、数年後の転職も視野に入れながら、入社する企業を選ぶ人が一定数はいると考えられます。
そのような学生たちにとって、アルムナイネットワークを構築・運用していてアルムナイを大事にする企業は、魅力的に映るでしょう。
さらに、アルムナイネットワークに登録している人数、およびアルムナイ採用の実績が多い企業は、アルムナイと良好な関係を築けている確固たる証明になります。
これにより、採用面でプラスの影響が期待できるのです。
他にも、アルムナイネットワークを通じて企業とアルムナイ、またはアルムナイ同士の協業やビジネス連携が実現できます。
社外でアルムナイが活躍することで、企業ブランドの向上にもつながるのです。

アルムナイネットワークを構築・運用する注意点・デメリット

アルムナイネットワークの構築・運用には、注意点やデメリットもあります。
ここでは、以下の通り4つの注意点・デメリットについて紹介します。

既存社員の不満

現役従業員が、アルムナイの再雇用に対して不満を抱く恐れがあります。
特に、アルムナイが好待遇で再雇用された場合、既存社員との間に不和が生じるケースが考えられます。
企業に長く勤めている従業員であれば「なぜ途中で辞めた人が好待遇で再雇用されるのか」「なぜ自分より評価が高く、給与も多いのか」といった不満が生まれやすくなります。
このような状況はチームワークや士気に悪影響を及ぼすため、企業にとってよくありません。
アルムナイを再雇用する際に考慮すべきは、現役従業員とのバランスです。
また、アルムナイの再雇用に関する制度や採用条件を社内に周知徹底することも、既存社員に不満を抱かせない施策となります。

退職に対するハードルの低下

アルムナイネットワークを活用してアルムナイ採用数が伸びている場合、退職に対するハードルが低くなってしまう恐れがあります。
なぜなら、アルムナイ採用が機能していると「他の企業に転職してうまくいかなければ、ここでまた採用してもらえばいい」などと考え、安易に退職してしまうからです。
その結果として、離職率が高くなる恐れもあります。このような現象を防ぎつつ、アルムナイネットワークを運用するには、加入条件だけでなくアルムナイの採用条件もしっかり定め、徹底的に周知する必要があるでしょう。

スキルのミスマッチ

以前勤めていた企業だからといって、アルムナイのスキルがマッチするとは限りません。
市場の変化などに企業も対応しなければならないため、従業員に求めるスキルや役割も変わってくるのです。
アルムナイだから再雇用するのではなく、アルムナイが持つスキルが、いまの企業にマッチしているか見極めることが重要になります。

情報漏洩リスク

アルムナイだからといって、企業の情報をなんでも公開していいわけではありません。
なぜなら、アルムナイネットワークの中にも悪意を持って接触してくるアルムナイがいるおそれがあるためです。
アルムナイと交流し情報を交換する際は、競合他社などに情報が漏洩するリスクも考慮して、どこまでの情報を共有していいのか事前に周知しておきましょう。
また、自社への理解が深いアルムナイとの交流では、現役従業員がつい機密情報を漏らしてしまうケースもあります。
アルムナイとはいえ、現在は社外の人間であることをしっかりと意識付けする必要があるでしょう。

アルムナイネットワークから採用に繋げる方法

ここまでアルムナイネットワークの概要やメリット・デメリットなどについて紹介してきました。
それでは、実際どうすればアルムナイネットワークから採用につなげられるのでしょうか。
ここでは、アルムナイネットワークから採用につなげる具体的な方法について順番に紹介します。

アルムナイのデータベースの整備・管理

まず着手すべきは、アルムナイに関するデータベースの整備・管理です。
アルムナイに関する基本情報だけでなく、現在どこに勤務していて、どんなスキルを持っているかといった情報をデータベース化する必要があります。
なお、アルムナイネットワークが発足して間もないときは、退職者に対してデータベースへの登録を促す必要があるでしょう。

アルムナイとの定期的なコミュニケーションの継続

アルムナイネットワークを運用し、採用につなげるうえでポイントとなるのは、企業とアルムナイの定期的なコミュニケーションです。
ただし、アルムナイと企業の双方が負担にならないようなコミュニケーション方法にする必要があります。
例えば、毎回オフラインの交流会や情報交換会を開催するとなると、会場費用がかかるだけでなく準備や会場への移動など、双方の負担が大きくなります。
その点、X(旧Twitter)やFacebookなど多くの人が利用しているSNSやチャットツールなどでコミュニティを形成すれば、操作も慣れていて気軽に始められますので双方の負担は少ないでしょう。
また、SNSやチャットツールであれば、企業とアルムナイだけでなくアルムナイ同士のコミュニケーションも負担が少なく始められます。
コミュニケーションが一方的にならず、交流が活性化するのもメリットとして考えられます。

アルムナイ主導のイベント開催

アルムナイと企業との良好な関係を継続するには、定期的なイベント開催も重要なポイントです。
しかし、前述の通り毎回オフラインのイベントでは、アルムナイと企業双方の負担が大きいため、オンラインとオフラインをうまく使い分ける必要があります。
オンラインであれば、会場の準備や移動などの負担がなく、参加しやすいのがメリットです。
また、オフラインではアルムナイ主導のイベント開催も有効でしょう。
新たな知識を習得するためのセミナーなどを開催して、アルムナイ自身が講師になってイベント運営に積極的に携わってもらいます。
アルムナイは、企業から「任されている」「頼りにされている」という喜びを感じることができます。
結果として、より良好な関係を築け、再就職への意欲が高まる可能性があります。

再雇用プログラムの明確化

アルムナイネットワークから採用につなげる場合は、明確に雇用条件を設定し、再雇用後の体制を整備する必要があります。
何も条件を設定せずに再雇用してしまうと、再び辞めてしまう恐れがあるからです。
例えば、「勤続年数5年以上」や「主任以上の役職だった者」といった条件を付ければ、アルムナイを再雇用した結果再び早期退職してしまうという事態を防げます。
待遇面に関しては、以前在籍していたときの経験やスキルだけでなく、退職後に身につけた経験やスキルも加味する必要があります。
また、やむを得ない家庭の事情で退職したアルムナイに対しては、仕事とプライベートが両立できる環境を整備し提供しましょう。

アルムナイネットワークを運用する際のポイント

アルムナイネットワークは、運用されなければ意味がありません。
企業や従業員、アルムナイのすべてにとってメリットのある仕組み作りが重要です。
ここでは、アルムナイネットワークを運用する際のポイントを紹介します。

個別の関係の構築

アルムナイネットワークを運用する際のポイントの一つ目は、個別に連絡を取り続けることです。
個別連絡では、アルムナイのキャリアに関する話や求人情報など、アルムナイ個人に焦点をあてた話題を提供します。
これにより、再雇用や協業、ビジネス提携など、新しい可能性が広がるでしょう。

アルムナイへの情報提供

アルムナイには、企業が現在どういった状況でどう進化しているかといった最新情報を定期的に提供する必要があります。
提供された情報を見て、新商品を手に取ってもらえたり、サービスに関する意見が聞けたりする可能性があるためです。
また、会社の方針や福利厚生など、働き方に関するさまざまな情報を提供することで、アルムナイの再雇用につなげられるでしょう。
さらに、アルムナイからより自社に合った人材の紹介も見込めます。

つながりの仕組み強化

アルムナイに情報提供するには、アルムナイネットワークに登録するだけでなく、専用SNSグループやメルマガなど、さまざまな方法があります。
また、アルムナイネットワークを活用するには、企業が情報を発信するだけでなく、アルムナイから意見や情報を受け取れる仕組みも必要です。
現役従業員とアルムナイのつながりが強くなれば、より良いサービスが提供できます。
したがって、情報を提供してもらう際は報酬を用意するなどの施策も取り入れ、アルムナイネットワークの活性化を測ることが大切です。

アルムナイネットワークの導入企業事例

アルムナイネットワークの運用ポイントなどを紹介しましたが、実際に導入している企業はどのような成果を上げているのでしょうか。
ここでは、アルムナイネットワークを導入・運用している企業の事例を紹介します。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、グループウェアを開発・販売する企業です。
現在は、主にkintoneやサイボウズOffice、Garoonやメールワイズの4製品を提供しています。
これまで同社では、退職時に希望すれば最長6年まで再雇用が約束される「育自分休暇制度」を運用していました。
しかし、希望者全員に再雇用を約束するのは困難です。
さらに、保険的に本制度を利用するアルムナイも増えたことから、2024年4月に育自分休暇制度を改め「アルムナイ採用」を開始しています。
選考ステップを減らし、募集対象ではないポジションでも受け入れ可能性を広く検討するなど、アルムナイ向けの採用フローを提供しています。

アクセンチュア

アクセンチュアは、ストラテジー&コンサルティング・テクノロジー・オペレーションズ・インダストリーX・ソングの領域でサービスを提供する総合コンサルティング企業です。
同社は、「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」を運営しています。
大きな目的の一つとして、アルムナイの再雇用が挙げられますが、一番の目的は、現役従業員とアルムナイまたはアルムナイ同士のネットワーク構築です。
ただ、アルムナイの中には、同社に戻りたいと考える人も多いため、アルムナイネットワークを通じて再雇用するケースも増えています。
しかし、出入りの激しい業界とはいえ、同じ企業に出戻るにはそれなりの覚悟が必要でした。
その点、アルムナイネットワークが構築・運用されているアクセンチュアでは、出戻り従業員に対する抵抗感は薄れています。

Microsoft

Microsoft社は、ソフトウェアを開発、販売する会社で、アメリカ合衆国ワシントン州に本社を置いています。
同社は、ワールドワイドに「Microsoft Alumni Network」を展開しており、これまでに多くのアルムナイが加入しています。
主な特徴として挙げられるのは、優秀な元従業員の再雇用はもちろんのこと、自社製品を広げるネットワークとして活用している点です。
また、同社ではインターン向けのアルムナイネットワークも構築しています。
研究機関である「Microsoft Research」では、毎年多くのインターンを受け入れていますが、修了生のアルムナイネットワークも構築しています。

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