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エンゲージメントを向上させる上で知っておきたい「働きアリの法則」とは?

エンゲージメントを向上させる上で知っておきたい「働きアリの法則」とは?

企業が順調な経営を続ける上で、従業員のエンゲージメントは無視できない存在です。
エンゲージメントの向上にはさまざまな施策が考えられますが、「働きアリの法則」を理解していないと期待したような効果が得られないかもしれません。
今回は、エンゲージメントの向上に影響する可能性がある「働きアリの法則」と、それを経営に生かすコツについて紹介します。

組織でよく見られる「働きアリの法則」とは?

働きアリの法則とは、その名の通りアリのコロニーでよく見られる現象のことです。
アリのコロニーは、一般的に女王アリと働きアリ、子どものアリなどで構成されています。
エサを集める、外敵を排除する、子ども・卵の世話をするなど多くの仕事は働きアリの役目であり、日々せっせと働き続ける彼らに「真面目」「勤勉」などのイメージを持っている人も多いでしょう。
ところが、実は働きアリのうち、積極的に仕事をこなす個体は全体の約2割程度しかいません。
残りの6割は普通に働く個体、2割はほとんど働かない個体で構成されているのです。
これは特定の種やコロニーに限定された現象ではなく、ミツバチなども含め多くの社会性昆虫のコロニーでよく見られます。

これになぞらえ、組織の個体を「よく働く」「普通に働く」「働かない」に分けたとき、「2:6:2」の割合になることを「働きアリの法則」と呼びます。
このように聞くと、「2割の働き者のアリだけを集めれば完璧なコロニーが完成するのでは」と思いますよね。
積極的に働かないアリを排除し、働き者だけを集めて新たなコロニーを作れば、素晴らしいスピードで高い成果を得られそうです。
しかし、実際にはそううまくいきません。
それまでよく働いていた2割のアリだけを隔離してみると、なんと彼らは6割の普通に働くアリ、2割の働かないアリに分かれてしまうのです。
元々は熱心に働く優秀なアリだったはずなのに怠け者のアリに変化してしまうとは、不思議なものです。
このように、働きアリの法則はもともとの個体の性質などではなく、集団に合わせてほぼ必ず2:6:2の割合で「働き者」「普通」「怠け者」が発生するのが特徴です。

企業においても、従業員を働きぶりで分けてみると、働きアリの法則のような構成比になることが少なくありません。
意欲的に仕事に取り組む従業員が2割、指示されたことをそつなくこなす普通の従業員が6割、自分からは働かない・ミスが多い怠け者の従業員が2割という構成になるという具合です。
もちろんすべての企業に当てはまるとは限りませんが、集団で仕事を分担する以上、働きアリの法則が成立する可能性はどの企業にもあります。

働かない2割が発生する理由

組織が高いパフォーマンスを発揮するには、約2割の働かないアリは足手まといのように感じますよね。
しかし、上述したように「働き者」のアリだけを隔離したとしても、結局そのうち約2割が働かないアリへと変化してしまいます。
わざわざ働かない存在を生み出すなど非効率的な組織運営だと感じるかもしれませんが、実は働かないアリにも大切な役目があるのです。
それは、働き者のアリの疲労に備えるということ。2016年に北海道大学などの研究チームが公表した内容によると、2割の怠け者のアリは、ほかのアリが疲れて働けなくなると逆に積極的に働き始めることがわかりました。
すべての働きアリが同じタイミングで必死に働くと、同じタイミングで疲れから動けなくなってしまう可能性があります。
そうなると、エサが不足したり卵の世話ができなくなったりして、コロニーはあっという間に滅んでしまうでしょう。
この点、2割のほとんど働かないアリがいれば、よく働くアリが疲れたときに彼らが交代要員として働き、コロニーの崩壊を防ぐことができます。

組織をより長く、より健全に維持するために、働かないアリも必要な存在だというわけです。
企業においても、働かない従業員をただ排除すれば良いというわけではありません。

働きアリの法則をエンゲージメント向上に活用するコツ

企業にとって、従業員のエンゲージメントを高めることは業績向上の観点でも、組織づくりの観点でも非常に重要です。
エンゲージメントが高まれば、離職率の低下やモチベーション・パフォーマンスの向上のなど、さまざまなメリットが期待できます。

このエンゲージメントの向上にも、働きアリの法則を生かすことができます。
従業員をエンゲージメントが「高い・普通・低い」層に分け、全体のエンゲージメントを引き上げられる施策を行うのです。
とは言っても、エンゲージメントが低い2割の層を排除すれば良いというわけではありません。
「エンゲージメントが低い層は離職する可能性が高いから、離職してから新人を含め施策を行おう」と考えて2割を排除しても、残りの従業員の中からまたエンゲージメントが低い層が生まれる可能性があるためです。
これでは、全体のエンゲージメントを引き上げることはできません。

反対に、エンゲージメントが高い2割の層に重点的に施策を行うのも逆効果になる可能性があります。
もともとエンゲージメントが高い従業員であれば、施策を好意的・積極的に受け入れるため、確かにエンゲージメントは向上しやすいでしょう。
しかし、これでは残りの8割の従業員との差が開くばかりです。

エンゲージメントの高い2割の従業員と、普通・低い8割の従業員の間で温度差が大きくなると、2割の従業員は「この職場は自分に合わない」「もっと高い意識の企業で働きたい」と離職してしまう可能性もあります。
貴重な人材を失うだけでなく、全社的なエンゲージメントの低下や企業としての一体感の喪失を招くこともあるでしょう。
このため、エンゲージメントの高い層だけに注目するのは避けたほうが無難です。
それではどうすれば良いかというと、エンゲージメントが高くも低くもない6割の従業員へのアプローチを考えるのがおすすめです。

普通の層は最も構成比率が高いため全社的なエンゲージメントに及ぼす影響も大きいですし、企業に対して良くも悪くも思っていないため、施策次第では良い方向に刺激しやすいです。
人事評価制度の見直しや社内SNSの導入、カフェテリアプランなどニーズの高い福利厚生の拡充など、6割の従業員が興味を持ち、利用しやすい施策を検討しましょう。
ただし、従業員に余計な負担をかける施策は逆に反感を買う可能性があるので注意が必要です。
事前にアンケートをとるなどして現状の不満や課題などを明確にし、必要に応じた施策を行いましょう。

従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

今回は、エンゲージメントの向上に影響する可能性がある「働きアリの法則」と、それを経営に生かすコツについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。

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