48 view

飲食業界における人手不足の原因と影響、対策を紹介

飲食業界における人手不足の原因と影響、対策を紹介

飲食業界は、コロナ禍で一気に働き手を失い、コロナ明けで飲食需要が戻ったものの働く人が戻っていなかったり、労働力人口の減少を受けて、中々人が集まらないなど、人手不足の状況が続いています。
飲食業界は対策を実施し、人手不足の問題を解決することが求められています。
今回は、飲食業界の人手不足の原因や背景、具体的な対策を紹介します。

飲食業界の人手不足の現状

帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」によると、飲食業界の人手不足企業の割合は以下の通りになります。

  • 正社員:59.8%(全業種平均:51.0%)
  • 非正社員:67.5%(全業種平均:28.8%)

全業種平均の人手不足企業の割合からも分かるように、飲食業界は人手不足の企業が多い業種といえます。
なかでも、非正社員が不足している企業の割合は67.5%で、前年同月の83.5%から16.0%低下し、改善傾向にはあるものの高水準で推移しています。
ここでは、飲食業界の人手不足の現状を紹介します。

コロナ禍での大量離職

2020年からのコロナ禍で、さまざまな規制や行動制限が実施されました。
なかでも、飲食業界は営業の自粛や営業時間の短縮、客の人数や酒類提供の制限などで売上が大きく落ち込みました。
休業に追い込まれる店舗や営業はできてもスタッフを解雇せざるを得ない店舗が続出したのです。
その結果、アルバイトやパートを中心とした人材の大量離職が起こりました。
現在の飲食業界は、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられたり、インバウンドの増加により需要が拡大したりして、徐々に通常営業へ戻りつつあります。
しかし、コロナ禍で飲食業界を去った人材は、異なる職種への転職を希望する傾向が強く、その多くは戻ってきていません。
そのため、スタッフの補充が追いつかず、深刻な人手不足につながっています。

慢性的な人手不足

飲食業界には、長時間労働や給料が安い、休みが取りにくいといったネガティブなイメージが定着しています。
そのため、求人を出してもなかなか応募者が集まりにくく、慢性的な人手不足に悩まされているのです。
ここでは、帝国データバンクが実施している「人手不足に対する企業の動向調査」の飲食業界における非正社員の人手不足割合(2019年1月〜2024年7月)を紹介します。

飲食業界の非正社員の人手不足割合(2019年1月~2024年7月)

  • 2019年1月/7月:84.1%/80.0%
  • 2020年1月/7月:76.9%/38.6%
  • 2021年1月/7月:34.4%/56.4%
  • 2022年1月/7月:76.6%/73.0%
  • 2023年1月/7月:80.4%/83.5%
  • 2024年1月/7月:72.2%/67.5%

コロナ禍の2020年7月と2021年1月の調査で、一時的に人手不足割合が減少しましたが、それ以外は業種別トップの高い水準で推移しており、飲食業界の人手不足が慢性的だと分かります。

離職率の高さ

前述した通り、コロナ禍以前から現在に至るまで、​飲食業界は​慢性的な​人手不足です。​
厚生労働省が​2023年に​発表した​「新規学卒就職者の​離職状況(令和2年3月卒業者)」に​よると、​2020年3月に​卒業した​新卒者の​就職後​3年以内の​離職状況は、​高卒・​大卒ともに​宿泊業・​飲食サービス業の​離職率が​トップでした。​
大卒では​51.4%、​高卒では​62.6%に上ります。​この調査から、新卒者の​半数以上が​3年以内に​離職している​ことが​分かります。
​長時間​労働や​業務量の​多さなどが​原因で​離職率が​高く、​慢性的な​人手不足に​陥っているのが​現状です。

飲食業界における人手不足の主な原因

そもそも飲食業界が人手不足になる原因は何でしょうか。
ここでは以下の通り、飲食業界が人手不足に陥っている主な原因を紹介します。

給与が低い

飲食業界が人手不足に陥る原因の一つとして、給与の低さが挙げられるでしょう。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査|産業別」の男女計では「電気・ガス・熱供給・水道業」が410.2千円で最も高くなっていることが確認できます。
全産業平均「令和5年賃金構造基本統計調査|賃金の推移」でも318.3千円です。
それに対して「宿泊業,飲食サービス業」が、259.5千円と最も低くなっているため、給与面の不満で離職率が高くなり、人手不足の原因になっているといえます。

労働条件が厳しい

飲食業界が人手不足に陥る原因の一つとして、労働条件の厳しさが挙げられるでしょう。
24時間365日営業の店舗もあるため長時間労働に陥りやすく、シフトの関係で休みが取りづらいケースもあります。
さらに、調理や接客、清掃など業務は多岐にわたり、スタッフにとって身体的・精神的に大きな負担となります。
また、慢性的な人手不足をカバーするために長時間労働や休日出勤が常態化し、スタッフのモチベーション低下や離職の原因となることも珍しくないです。

キャリアを描きにくい

飲食業界で身につけたスキルが、今後のキャリアに活かせるか分からなければ、スタッフも不安に感じるでしょう。
飲食業界は、多くの小規模飲食店に支えられています。
しかし、小規模飲食店は、昇給や昇格の明確な基準が提示されていないことが多く、スタッフは将来のキャリアを含めた「働きがい」を見いだすことができないという現実があります。
働きがいを見いだせない、頑張りを認めてもらえないことを理由に離職を決意したスタッフの多くは、他業種に転職する傾向です。
また、評価制度が整備され将来のキャリアを描ける飲食企業への転職を希望する方も増えています。

人間関係のトラブルがある

人間関係のトラブルも離職につながり、人手不足の大きな原因になります。
さまざまな年代のスタッフで構成されることの多い飲食店を円滑に回すためには、スタッフ同士のコミュニケーションが必要です。
しかし、スタッフ同士が密に接するからこそ、人間関係のトラブルが起きやすくなります。
忙し過ぎて、コミュニケーションがうまくとれないこともあるでしょう。
そこで飲食店は、採用の段階でお店の雰囲気に合う人材を採用したり、コミュニケーションツールを導入したりして、スタッフ同士のやり取りを円滑にする工夫が必要になります。

仕事量が多い

飲食店は営業中の調理や接客だけでなく、営業時間外の仕込みや片付け、掃除など、担当しなければならない仕事が非常に多く、連日タイトなスケジュールで仕事を進めなければなりません。
そのため、「給料の安さ」や「働きがいを見いだすことができない」などの問題とも相まって、割に合わないと感じるスタッフも出てきます。

クレームやサービス提供でストレスが発生する

飲食業界は、クレーム対応や難しい客へのサービス提供など、大きなストレスを伴う業務が多いといえます。
​クレーム対応も業務の一部ではありますが、客の中には暴言や脅迫、暴行や不当な要求などの迷惑行為をおこなう人もいます。
このような客からクレームを受けたり、クレームを避けるために細心の注意を払ってサービスを提供したりすることでスタッフが疲弊してしまい、離職するケースもあります。

売り手市場で採用が難しい

飲食業界は慢性的な人手不足、つまり「売り手市場」です。
飲食店は求人を出してもなかなか人材が集まりません。
一方で求職者は、飲食業界に限らず多くの求人の中から希望に近い就業先を選べる状況だといえます。
売り手市場は今後も続くと見込まれているため、飲食業界は魅力的な待遇や働きやすい環境を提供し、採用市場における競争力を高めなければなりません。

飲食業界で人手不足が発生することによる影響

飲食業界で人手不足が発生することで、下記のような悪影響が出ています。
いずれの場合も経営状態の悪化につながるため、早期解決が必要です。

売上の減少

人手不足でスタッフ一人ひとりに業務が集中し、身体的・精神的負担が大きくなると、パフォーマンスが低下します。
これにより、店舗の回転数が悪化し、客数が減少する恐れがあります。
加えて、SNSなどで悪評が広まってしまえば、新規顧客の獲得も難しくなります。
人手不足が売上高の低下を招くといった悪循環を招いてしまいます。

顧客満足度の低下

人手不足の状態で飲食店を営業した場合、顧客満足度の低下につながる恐れがあります。
なぜなら、スタッフ一人ひとりにかかる負担が増えて、ミスしやすくなったり、客を待たせてしまったりして十分なサービスを提供できなくなるためです。
提供するサービスの品質が低下すれば、すぐSNSなどで悪評が広がりリピーターが減り、新規顧客も獲得できなくなってしまいます。
このように、人手不足による顧客満足度の低下も、経営状態に深刻な打撃を与える恐れがあります。

店舗が回せない

人手不足で飲食店を営業しても、店舗が回せない恐れもあります。
店舗が回せなければ、「細かな気配りができない」や「料理の提供が遅くなる」、「会計を待たせてしまう」といったさまざまな弊害につながってしまいます。
店舗運営において重要といわれるQSC(Quality:料理の品質、Service:接客サービス、Cleanliness:清潔感)が下がると、客の不満につながりクレームにつながる恐れがあります。
スタッフはクレーム対応に追われ、さらに店舗が回らなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

過重労働の増加

求人を出しても人材が集まらずシフトが埋まらないほどの人手不足の場合、今いるスタッフでその穴埋めをするしかありません。
この状況が、飲食店スタッフの過重労働の増加につながり、常態化してしまいます。
過重労働が常態化すると、仕事の質が下がるだけでなく、身体的・精神的な負担が増えます。
最悪の場合は、メンタル疾患の要因となる恐れもあります。

飲食業界における人手不足の対策

飲食店経営における慢性的な人手不足は、サービスの質低下による売上の低下という悪循環につながります。
最悪の場合は、閉店につながる深刻な問題です。
厳しいといわれる飲食店経営を円滑に進めるためにも、一刻も早く具体的な対策にとりかかる必要があります。
ここでは以下の通り、飲食業界における人手不足の対策を紹介します。

労働条件の見直し

人手不足はスタッフの離職によって引き起こされるケースが多いため、離職者が減れば人手不足を回避できる可能性があります。
そこで、離職率を下げる方法として有効といわれるのが、労働条件の見直しです。
なぜなら、辞めたいと考えるスタッフの多くは、労働条件に不満があると考えられるからです。
昇給や昇進、休日の増加など労働条件の改善を検討し、スタッフに「ここで頑張っていれば認めてもらえる」と感じてもらう必要があります。
なお、労働条件を改善する際は、近隣の競合店と比較して労働条件が悪くないか確認する必要があるでしょう。

給与の見直し

深刻な人手不足を背景に、給与の見直しを実施する飲食店が増えています。
待遇や給与面での不満から離職する人が多い中、給与の見直しは人手不足解消の有効な解決手段です。
一方で、給与の見直しを実施しても売上が上がらなければ、飲食店の負担だけが増えてしまいます。
給与の見直しにあたっては、「どのように見直したらスタッフのモチベーションが上がるか」を意識することが必要です。
これにより、店舗全体の生産性が向上し、売上アップにもつながるでしょう。

業務内容の見直し

求人を出せば、すぐに応募者が集まり採用に至るわけではありません。
人材をすぐに増やせなかったり、労働条件の見直しに時間がかかったりする場合は、まず業務内容の見直しを行います。
食材や備品の在庫確認や掃除、設備のメンテナンスなどが効率的におこなわれているかチェックしましょう。
また、食洗器や掃除ロボット、セルフレジやキャッシュレス決済などを積極的に導入するのもよいかもしれません。
業務が効率化すればスタッフの負担が軽減され、働きやすい職場に生まれ変わる可能性もでてきます。
働きやすい職場は、人手不足解消の強力なセールスポイントとなります。

人材教育の強化

人材教育を強化することで、スタッフのスキル向上を図るとともに、柔軟なキャリア形成ができる環境を整える必要があるでしょう。
飲食店での教育といえば、「見て覚える」ケースが珍しくありませんでした。
しかし、それでは教育する側・される側両方の負担が大きいという課題があります。
そこで、基本的な接客マナーや業務手順などをまとめたマニュアルを用意すれば、業務に関していちいち聞かなくても解決できます。
マニュアルを見直すことでいつでも確認できるため、サービスの均一化も図れ、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

外国人やシニア層など採用ターゲットの拡大

求人を出してもなかなか人材が集まらない場合、採用条件を変更しターゲットを拡大する必要があります。
これまでは主に、学生や主婦(主夫)、フリーターをターゲットにした求人が目立っていました。
しかし、少子高齢化による労働人口の減少を受けて、新たな人材活用として「外国人」や「シニア層」も採用対象に含める必要があるでしょう。

リファラル採用の推進

多くの飲食店は、求人広告に掲載したり人材紹介会社に登録したりして人材確保に務めています。
しかし、なかなか応募者が集まらず苦戦しているのが実情です。
そこで近年、注目されているのが「リファラル採用」になります。
リファラル採用とは、既存のスタッフから友人や知人を紹介してもらい、人材の拡充を図る手法のことです。
多くの場合、事前に職場環境や業務内容などについてスタッフから聞いているため、採用ミスマッチが起こりにくく、採用率も高いのが特徴といえます。

ITツールの活用

業務内容を見直す方法として挙げられるのは、ITツールの活用です。
例えば、「QRコード」を読み込んで自分のスマホから注文する「セルフオーダー」システムの導入で、接客業務を効率化できますし、ネット予約システムを導入すれば予約情報を一元管理できます。
ほかにも、キャッシュレス決済を導入するだけでも、会計業務を効率化できるでしょう。
新たなITツールの導入には、初期費用がかかりますし、慣れるまで時間がかかります。
しかし、長い目で見た場合、業務効率化によるコスト削減につながるのです。

人間関係を良好化する仕組みの導入

人間関係の悪化で離職するケースは珍しくありません。
スタッフ同士の関係が悪いと、職場の雰囲気も悪化し、新しい人材を採用できても雰囲気の悪さからすぐ辞めてしまう恐れもあります。
店舗経営者や責任者は、日ごろからスタッフ同士の人間関係をチェックする必要があります。
そして、情報共有ツールなどを導入したり、スタッフとの面談の機会を定期的に設けたりしましょう。

THANKS GIFTを導入してリファラル採用を増加させた事例

ここでは、外食店舗の企画・展開・運営をおこなう、「株式会社フレスカ」の成功事例を紹介します。

・背景
社員に対しては、理念や考え方の浸透はできていましたが、アルバイトに対しては、充分に情報を届けられていませんでした。
当時、アルバイトだけでも600〜700名程在籍していたこともあり、情報共有ツールが必要性を感じます。
「感謝」をきっかけにしてコミュニケーションを促進し、日々貢献を称讃し合うWEB/アプリサービスであるTHANKS GIFTの導入を決定しました。

・推進方法
THANKS GIFTは利用ハードルが低く、同じ店舗のメンバーだけでなく他店舗とのコミュニケーションも気軽に行えるようになりました。
また、社内掲示板に各店舗の取り組みを投稿するようにお願いしています。
店舗独自の取り組みや工夫などを見て、社員やアルバイトが「自分の店でも取り入れたい」「まねしたい」といったポジティブな動きも生まれています。

・効果
アルバイトが友人や知人を誘うリファラル採用では、年間200名以上採用しています。
店舗によっては、広告費を全く使わずにアルバイト採用ができている所もあります。

おすすめのエンゲージメント向上ツール「THANKS GIFT」

THANKS GIFT_サービスサイトトップ

THANKS GIFT(サンクスギフト)は、感謝を贈り合うことで社内コミュニケーションを活性化させ、社内文化を醸成でき組織や社内の生産性向上、エンゲージメント向上に寄与するツールです。
大手IT製品レビューサイトでは、プロダクトの機能の豊富さや使いやすさ、サポートの充実度などで評価いただき、複数のカテゴリにおいて満足度No.1を獲得しています。

THANKS GIFTの資料ダウンロードページはこちらをクリックください

THANKS GIFT_機能一覧

THANKS GIFT(サンクスギフト)は、感謝や称賛を伝え合うサンクスカードをはじめ、経営者の思いや従業員のコミュニケーションを活性化させるWeb社内報、組織の課題を把握するための組織サーベイなど、組織づくりを行う上で必要な機能を搭載したプロダクトです。

人手不足の原因を解消し、従業員が定着・活躍できる組織を作りましょう

今回は、飲食業界の人手不足の原因や背景、具体的な対策を紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、具体的に人手不足の原因や背景を理解し、適切な対策を講じることが求められます。

『THANKS GIFT』は、エンゲージメントを向上させる上で重要な理念浸透や社内コミュニケーションを活性化させる、Web社内報やサンクスカードなどの機能を搭載した社内コミュニケーションツールです。
『THANKS GIFT』を活用して従業員エンゲージメントや働きがいを向上させる取り組みを開始しませんか?
ぜひ、サービス紹介資料をダウンロードいただき、貴社の人材定着の活動に活用できそうかご確認ください。

エンゲージメントクラウド
『THANKS GIFT』の
資料ダウンロードはこちらから

サービス資料に含んでいるもの
  • 機能概要
  • 導入企業インタビュー
  • 料金体系
  • サポート体制
飲食 人手不足