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インテグラル理論とは?組織課題を解決する上での活用方法を紹介
インターネットの普及と共にグローバル化が一気に進み、世界は複雑化、多様化しています。
ビジネスの世界でもこれまで通りの方法で組織作りや経営から脱却する新たな観点が必要とされるようになりました。そこで注目されているのが「インテグラル理論」です。
今回は、インテグラル理論の概念や、組織での活用方法などについて紹介します。
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もくじ
インテグラル理論の基礎知識
インテグラル理論とは、アメリカの思想家・実践家であるケン・ウィルバーによって提唱された、多種多様な専門領域を包括的に捉えるためのフレームワークです。
1977年に出版されたウイルバーの著書「意識のスペクトル」がベストセラーとなり、世に知られることとなりました。
インテグラル(統合的)であるとは、異なるものの中に統一性を見出すことで、複雑で多様化している世界を統合的に捉えると、世界の形が正確に見えてくるということです。
インテグラル理論は、自然科学と人文科学、西洋と東洋など、ケン・ウィルバーが実践・研究したあらゆる領域の知識をまとめたもので、実践する人自身にも知識や人格的な成長が求められます。
難解さも相まって日本では、これまで爆発的な広がりを見せることはありませんでした。
しかし、インテグラル理論をもとにした「ティール組織」がビジネスの世界で注目を集めたことも一因となり、この理論を見直し、ビジネスに取り入れようと考える人が増えています。
インテグラル理論は「クオドラント」「レベル」「ステート」「ライン」「タイプ」の5要素からなります。
中でも、「クオドラント」(四象限)と「レベル」は特に押さえておきたい主要な要素です。
インテグラル理論では、四象限(All Quadrants)と全レベル(All Levels)を合わせた統合的な観点を、AQAL(アクオール)といい、この観点から物事を捉えることで、世界的な視野に立ったアプローチが可能になるとしています。
インテグラル理論における四象限
インテグラる理論における「四象限」とは、1つの事象に4つの異なる側面からアプローチし、相互関係を見る方法です。
4つの側面とは「内面的」と「外面的」、「個的」と「集合的」を組み合わせたもので、「内面的・個的」は「私(一人称)」、「内面的・集合的」は「私たち(二人称)」、「外面的・個的」「外面的・集合的」は「それ(三人称)」の立場に立っていると考えられます。
インテグラル理論におけるレベル
インテグラル理論における「レベル」とは、人の成長過程を段階に応じて、ベージュからターコイズの8色に分けて表現したものです。
ベージュは本能や生まれ持った感覚を重視する古代的な世界観で、呪術的な世界観のパープル、呪術・神話的な世界観のレッドと合わせて自己中心的な段階とされます。
秩序を生み出したり、目的を見つけ出したりするブルー、合理的な分析や戦力立案が可能なオレンジは集団中心的な段階です。
この段階にある人が全体の7割を占めると考えられています。
多元的な世界観のグリーン、統合的段階のイエロー(ティール)、世界全体の視野からマネジメントが可能なターコイズは世界中心的な段階です。
人の成長段階だけに留まらず、会社などの組織の成長過程を測る指針としても使われます。
ビジネスの場で話題に上ることも多い「ティール組織」は、インテグラル理論におけるレベルをもとに、組織フェーズを「レッド」「アンバー」「オレンジ」「グリーン」「ティール」の5段階に分けて考えたものです。
組織内で慣例となっている上下関係やミーティングなどを見直し、権限や責任を1人1人の従業員に持たせることで、自ら考えて自主的に動くことができる組織のことを指します。
ちなみに「ティール」とは青と緑の中間色のことで、インテグラル理論のレベルではイエローと訳されている色のことです。
組織課題を解決する上でのインテグラル理論の活用方法
インテグラル理論は抽象的で使いこなすことが難しい理論です。
そのため、会社などの組織運営に生かす際には、インテグラル理論のすべての要素を取り入れようとせず、「四事象」と「レベル」を活用してみるとよいでしょう。
「四事象」と「レベル」は、課題の解決に関連がある要素であり、組織を包括的に把握するのにうってつけの方法です。
まず「四事象」を使って現状の把握を行いましょう。
組織で起きている課題をリサーチし、4つの領域に振り分けてマッピングしていきます。
例えば、「部署をまたいだ連携が機能していない」という課題があった場合、四事象の左上における「内面的・個的」には「営業部門の山下さんは、他部門と連携した業務を任されているものの、部門間を繋ぐリーダー的な存在がいないため、情報の共有がうまくいっていないと感じている」、右上における「外面的・個的」には「部門間を連携する業務の多くを20代~30代の従業員が担当している」などと記します。
左下における「内面的・集合的」には「『部門をまたいだ仕事は評価につながりにくい』『自分の部署の仕事で手いっぱい』『問い合わせをしても相手の担当者がはっきりせず、打ち合わせの実施までに時間がかかる』などと考える人が多い」、右下における「外面的・集合的」には「古い体制が残っている業界で、仕事はそれぞれの部署が独立してやるものといった企業風土がある」といった内容を書き込めます。
四事象への振り分けができれば、どの部分に負荷がかかっており、どの部分の解消が必要なのか、それぞれはどのように関連しているかといった組織が抱えている課題を明確にできます。
この分析をもとに、次は、インテグラル理論のレベルに当てはめていきます。
組織にどのレベルの人が多いのか、部門間連携の当事者はどのレベルの人なのか、部署の状態はどのレベルに当たるのかを考えていきましょう。
組織の状況や組織を構成する従業員のレベルが把握できたら、実際に働きかけを行います。
それぞれのレベルに応じて最大限のパフォーマンスを出せるようにするためには、強力なリーダーが必要です。
リーダーには、多元的に物事を捉えられるグリーンや、統合的な観点を持っているイエロー(ティール)レベルにあることが求められるため、こうした人材の育成や確保にも組織的に取り組んでいくことが大切だと言えます。
従業員が定着・活躍できる組織を作ろう
今回は、インテグラル理論の概念や、組織での活用方法などについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。
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