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政府が掲げる「人への投資」の内容と注目される背景について紹介

政府が掲げる「人への投資」の内容と注目される背景について紹介

2022年に内閣府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針2022」を受け、政府が推進する 「人への投資」という言葉に注目が集まっています。
しかし「人への投資」とは具体的にどういうことなのか、よく分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、政府が実施すると発表している「人への投資」の具体的な内容や背景について紹介します。

「人への投資」とは?

2022年6月7日、日本政府は国際情勢の変化に対応し国内の課題解決をはかるための方針である「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)を発表しました。
この方針では「新しい資本主義」を掲げ、国内の資本主義をバージョンアップして経済体制を一層強化していくことを謳っています。
この「新しい資本主義」実現に向けた改革のひとつが「人への投資と分配」です。
従来、人件費のように企業にとってコストと考えられていた人材を、コストではなく投資の対象として捉え直そうというものです。
政府は人的資本投資を抜本的に強化するため、2024年までの3年間に4000億円規模の予算を投入する施策パッケージを講じると発表しました。
パッケージの内容は、主に労働者が自らスキルアップする際の支援や労働環境を整備するための非財務情報の開示ルールの策定などです。

人への投資が注目される背景

「人への投資」という考え方が注目される理由は主に2つあります。

1.労働力人口の減少

日本では少子高齢化の影響により、労働力人口が年々減少しています。
2015年に総務省が行った推計によれば、2015年と2060年での生産年齢人口比率は100:60になります。
そのことに加え、日本では社会全体で人材のミスマッチが発生していることも大きな問題とされてきました。
2016年の中小企業白書でも、事務的職業の有効求職者数が過剰であるのに対し、専門的・技術的職業やサービス職、介護職などは深刻な人材不足に悩んでいるとしています。
業務の生産性向上や人材育成、労働移動などが日本にとっての大きな課題だといえるでしょう。

2.デジタル技術の発達

業務の効率化を行うためにはDXを導入する必要がありますが、そのためにはITに関する知識を持った人材がいなければなりません。
2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、2030年にIT人材不足が最大で約79万人になると試算されています。
日々発展し続けるデジタル技術についていけるような人材を育成できるかどうかが日本経済の今後を左右する大きな分かれ目となっています。

骨太方針2022で示された内容

それでは、2022年の骨太方針では具体的にどのような施策を行うと発表されたのか、それぞれ紹介します。

1.多様的な働き方の推進

人への投資によって達成すべき目標のひとつに労働者のエンゲージメント向上が挙げられます。
そのためには、職場環境を改善するだけでなく、多様な働き方を推進していかなければなりません。
従来のように毎日出社するという働き方だけでなく、テレワークや兼業、副業といった働き方が選択できるような環境整備に取り組む、と方針では述べています。
また、子育てや介護での活用を目的とした選択的週休3日制の導入を促進し、普及をはかるとしています。

2.質の高い教育の実現

人への投資を通じて成長と分配の好循環を実現させるためには、現役世代だけでなく未来の人材の投資も必要です。
政府は文・理問わず全国の大学でデジタル化に対応できる人材を育成するため、給付型奨学金や授業料免除の範囲の拡大、減額返還制度の見直しなどを検討するとしています。

3.賃上げと最低賃金

内閣官房が2021年に公表した一人あたりの実質賃金の推移を見ると、1990年以降イギリスでは実質賃金が1.48倍、アメリカでは1.41倍となっているのに対し、日本はほぼ横ばいです。
そこで政府は最低賃金の全国加重平均が1000円以上になるよう、大企業で最大30%、中小企業で最大40%まで税額控除を引き上げるといった賃上げ促進税制の活用を促進します。

4.資産所得倍増プラン

国民所得が増加するためには、給与所得だけでなく個人資産も増加する必要があります。
そこで政府は方針において貯蓄から投資へとシフトを転換するための「資産所得倍増プラン」を策定すると発表しました。
このプランではNISAの抜本的拡充やiDeCo制度の改革、投資教育の推進を行うとしています。

人への投資に関する8種類の提案とその対応

政府は骨太方針2022に加え「人への投資」を行う上で能力開発や労働移動に関する提案を広く国民に募集しました。
その結果、集まった提案を8種類に分け、それぞれ対応すると発表しました。

1.研修内容のオンライン化と学習範囲の拡大

研修をオンラインで受講できる環境を整備してほしいという声に応え、政府は人材開発支援助成金の改正を行うと発表しました。
改正の内容は、これまで対面を原則としていた研修においてもオンライン研修を可能にすることと、これまで助成金の対象外だったサブスクや追加料金の発生する研修も助成金の対象とすることです。

2.研修外でのスキルアップ支援

企業が実施する研修だけでなく、個人でスキルアップを図ろうとしている人も多いです。
そこで政府はこれまであった事業主の業務命令による訓練の助成に加え、労働者が自発的に受講した教育訓練に対する助成事業を新たに創設することを発表しました。

3.学び直しのための時間の確保

学び直しをしたくても時間がないという声が多くあったことを受け、政府は従業員が特別休暇を取得する場合の賃金や就業規則整備費用を企業に助成する制度を改正すると発表しました。
このことによって労働者は学び直しのための休暇をこれまでよりも取得しやすくなると期待されます。

4.専門家によるカリキュラムの作成

自社に特化した人材を育成するためには独自のカリキュラムが必要になります。
そこで政府は企業が従業員に対して実施する訓練経費を助成する制度を改正し、個別の訓練カリキュラム実施を外部に委託した場合でも開発費用を助成対象とすると発表しました。

5.即戦力人材の育成や採用の支援

既存の従業員が新たにIT業務に就いた場合や新たにIT業務に就かせる従業員を雇用した場合、その賃金を助成してほしいという声が多かったことを受け、政府は訓練経費助成制度の引き上げや資格試験受験料を助成するとしました。

6.成長分野への労働移動促進

少子高齢化のため、高齢者や女性、外国人が積極的に成長分野で雇用されることが期待されています。
そこで政府は高齢者やシングルマザーといった就職困難者を雇用する事業主を助成する制度を改正し、デジタル・グリーンなどの成長分野の場合には助成金を1.5倍に引き上げるなどの新たな制度を創設することとしました。

7.学び直しのための費用支援

研修の中でも高度に専門的な分野や海外での研修は高額になることが多いです。
そこで政府は高度なデジタル人材を育成する場合、企業に対する訓練経費の助成率を30%引き上げることを発表しました。
また、海外を含む大学院へ入学する場合、一人あたりの助成上限額を大幅に引き上げることも発表しました。

8.非正規社員の教育訓練と正社員化

非正規社員に対する企業の教育投資は正社員と比較すると少ないのが現状です。
そこで政府は非正規社員を正社員として雇用した事業主を助成する制度を改定し、デジタル分野やグリーン分野では助成額を母子家庭や父子家庭の人と同等の助成額まで引き上げることとしました。

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