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日本企業の離職率の平均値、業界別のスコアを紹介
少子高齢化による労働力不足が懸念される日本企業にとって、いかに離職率を抑えるかが非常に重要な課題になりつつあります。
自社の離職率が高いのかどうか、気になっている企業担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、業界別の離職率や離職率が高くなる原因、離職率を抑えるための対策などついて紹介します。
もくじ
離職率とは?
離職率とは、その企業で働いていた人のうち、一定期間が経過した後に退職した人の割合を数値で表したものです。
一般的には、入社から1年、3年などの期間を対象に計算され、転職サイトや会社の四季報などに掲載されることもあります。
↓離職率の定義や考え方について紹介した記事はこちら↓
どうするのが正解?離職率の定義と計算方法、改善のための考え方について
離職率の計算方法
離職率は、法的に明確な計算方法が定められているわけではありませんが、厚生労働省が公表している資料では、
- 離職者数÷1月1日現在の常用(年齢階級別は6月末日現在の常用労働者数)×100
で算出しています。
たとえば、社員200人の企業で1年間に4人が離職した場合、4÷200×100=2となり、離職率は2%になるというわけです。
計算の対象となる期間や人を任意に変更することで、新入社員の3年以内離職率や中途採用社員の1年以内離職率といった具合に、目的に応じた離職率を求めることもできます。
離職率が高い=悪い企業とは限らない
離職率が高いと離職者が多い、つまり何らかの原因で多くの社員が辞めるような「悪い企業」だと判断されがちですが、実は離職率が高いからといって、必ずしも問題のある企業だとは限りません。
たとえば、特定の年齢層の社員が極端に多い企業の場合、その社員たちが定年を迎えるなどして離職すると離職率は一気に高くなります。
繁忙期や事業拡大の対策として一時的に短期の雇用契約で人員を増やした企業も、同様に契約が終われば一気に離職するため離職率が上がるでしょう。
また、新規オフィスのオープンなどで一度に多数の社員を採用した場合も、採用数が多くなればその分離職する社員の発生確率も上がります。
逆に離職率が低い企業でも、実は業績悪化などで新しい社員を採用できず、定着した既存の社員から離職者があまり出ていないだけという場合もあるのです。
このように、離職率にはその企業の事情やタイミングなどの要素も深く関わっているため、一概に高いから悪い、低いから良いとも言い切れません。
離職率に注目する場合はこの点も考慮し、採用と離職のバランスがとれているかどうかも判断に含めることが大切です。
日本企業の業界別の離職率
厚生労働省が公表している「雇用動向調査結果の概要」によると、令和2年上半期における離職率は8.5%でした。
単純計算で、半年に社員100人当たり8~9人ほど離職していることになります。
ただし、これはあくまでも全企業を対象とした平均の割合です。
実は離職率は業界によって大きく異なり、高い業種と低い業種を比べると5倍以上も離職率の平均に差が出るケースもあります。
このため8.5%を指標とするのではなく、自社が属する業界の離職率をチェックすることが大切です。
具体的に挙げると、業界ごとの離職率の平均は以下のようになっています。
- 鉱業・採石業・砂利採取業:2.9%
- 建設業:4.8%
- 製造:5.1%
- 電気・ガス・熱供給・水道業:7.9%
- 運輸業・郵便業:8.0%
- 不動産業・物品賃貸業:8.1%
- 医療・福祉:8.8%
- 宿泊業・飲食サービス業:15.3%
- 教育・学習支援業」:12.2%
- 生活関連サービス業・娯楽業:10.2%
上記のように、ひと口に離職率といってもその現状は業界別に大きく異なります。
生活や社会に欠かせない基盤となるインフラ産業の離職率が低いのは、その必要性の高さから仕事としての安定性が高く、福利厚生も充実しているなど働く側にメリットが多いことが理由のひとつです。
一方で、人と接する機会が多いため何かとストレスがたまりやすく、その割に給与が割安なサービス業は離職率が高い傾向にあります。
サービス業はアルバイトやパートとして働きやすく、人の入れ替わりが比較的激しい点も理由のひとつになっていると考えられます。
↓中小企業の離職率や離職の理由・対策について紹介した記事はこちら↓
中小企業の平均の離職率や離職理由、対策方法について紹介
離職率が高いことによるデメリット
離職率が高くなる原因はさまざまであり、やむを得ない事情があるかもしれませんが、離職率が高いまま放置していると社外からの視線が厳しくなり、経営に悪影響を及ぼす恐れもあるため注意が必要です。
具体的には、以下のようなデメリットがあります。
- 企業イメージの悪化
- 企業イメージ悪化に伴う売上の低下
- 新規採用が難しくなる
- 従業員の離職が止まらない
- 採用や育成コストが膨大に必要になる
人材は企業の競争力の源でもあるため、離職率が高い場合は早急に改善策を講じることをおすすめします。
離職率を抑えるための対策
離職率を抑えるには、主に3つの対策が考えられます。
1.長時間労働の改善
1つ目は、長時間労働の改善です。労働時間が長いほど疲労が蓄積することに加え、プライベートの時間も確保できないことでモチベーションが低下しやすくなります。
業務フローを見直し、特定の社員に業務が集中している場合は不要な業務の削減や振り分けなどを通して、本来の労働時間内に業務を終えられるよう調整しましょう。
ノー残業デーの設定やフレックス制度、時短勤務制度の導入などで社員が働きやすい環境を整えるのも効果的です。
2.公正な人事評価制度の構築
2つ目は、公正な人事評価制度の構築です。
上司の裁量ではなく明確な基準によって評価を行うことで、社員は自身が適正に評価されているという納得感を得やすくなります。
どう頑張れば評価されるかも明確になるため、意欲を持って業務に取り組めるようにもなるでしょう。
これにより、評価への不満から離職を決断する社員を減らすことができます。
3.上司や同僚とコミュニケーションをとる機会を増やす
3つ目の対策は、上司や同僚とコミュニケーションをとる機会を増やすことです。
社員が企業と信頼関係を築けていれば、問題が起きた場合でも周囲への相談や解決が容易になるでしょう。
エンゲージメントの向上により安易な離職を予防するだけでなく、課題の明確化や改善策の提案なども行いやすくなり、業績アップなどの効果も期待できます。
これらの対策は、総じて社員の働きやすい環境をつくることにつながります。労働力不足が懸念される昨今、離職率を抑えるには社員に気持ちよく働いてもらうことが非常に重要なのです。
すぐに企業の体質を変えるのは難しいかもしれませんが、将来のために積極的な対策を講じていきましょう。
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今回は、日本企業における平均の離職率や業界ごとの離職率について紹介しました。
離職率が高いということは何かしらの原因が考えられます。
対策せずに放置してしまうと、採用や育成のコストがどんどん増加するほか、最終的には採用活動が全くうまくいかなくなる可能性もありますので、早期に対策に取り組みましょう。
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