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金融業界の離職率の現状と理由、離職率を下げるための対策について紹介

金融の離職率の現状と理由、離職率を下げるための対策について紹介

銀行や保険会社などが含まれる金融業界は、窓口業務や法人営業など非常に幅広い仕事を行なっている業界です。
新卒の就職ランキングでも上位に入ることが多い一方で、離職率も低くはありません。
今回は、金融業界における離職率の現状やその理由、離職率を下げるための対策について紹介します。

金融業界の離職率の現状

毎年、厚生労働省が発表している『雇用動向調査結果の概況』2019年の統計によれば、年間の入職者数は、のべ8435万4千人、離職者数は、のべ7858万4千人で、入職者数が離職者数を上回っています。
国内の企業全体で見ると、労働者は離職するよりも、同じ会社に定着する傾向のほうが強い現状にあるといえます。

その一方で、産業別の雇用動向調査で「金融業・保険業」は、年間の入職者数116万2千人に対し、離職者数が151万1千人と、離職者のほうが大きく上回っています。
これを離職率にすると、入職率8.2%に対して、離職率10.7%です。
なお、この前年、2018年の同じ統計によると、金融業・保険業の入職者数144万5千人に対し、離職者数は153万8千人でした。
この1年間で入職者が大幅に減ったことで、結果的に入職率と離職率の差が広がっています。

↓業界別の離職率を紹介した記事はこちら↓
離職率の高い業界とは?業界別の平均やランキングを紹介

金融業界で離職率が高い理由

入職率よりも離職率のほうが上回っている業界は、国内で珍しく、金融業界はそのひとつです。
金融業界で離職率が高い理由として次のような内容が考えられます。

1.新人に課されるノルマが厳しく、激務である

金融業界で退職するのは、そのほとんどが新卒で入社から間もない新人社員です。
新入社員は、顧客に対して口座開設を促し、お得意様には融資を進めたりもします。
そうした新規契約件数が、ノルマとして課されていることが多いからです。
ノルマを達成できない場合、上司から有形無形のプレッシャーをかけられ、ストレスを溜めがちになります。

既存のルールがたとえ理不尽でも、絶対的に従わなければなりません。
土日や祝日が必ず休みになるのはメリットですが、新人の場合は資格試験や社内試験の勉強に追われて、休みが潰れてしまいます。

金融業界で全体の10%は離職するわけですが、裏を返せば、残り90%は金融業で居残っているのです。
大半は、新人時代の激務に耐えて同僚との競争に打ち勝ったベテラン社員です。
金融業では、入社から10年前後は待遇がほとんど変わらないことが多いですが、社内で出世して役職を得ると、やがて好待遇を獲得できるようになります。
新人は激しく入れ替わるけれども、ベテランがほぼ辞めずに居残っている業界は、人材の新陳代謝に時間がかかり、旧態依然とした体制が継続しやすくなります。
知らず知らずのうちに既得権を得ているベテラン社員も多いので、その大きな社内格差から、若い人材が金融業界から離れていくのも無理はありません。

金融業界の先行きが明るそうに見えない

新人に対して、旧態依然とした無理のあるルールを押しつけがちな金融業界ですが、その将来性は不透明です。
金融とITを組み合わせた、いわゆる「フィンテック」と呼ばれる新技術が台頭し、金融の仕組みの多くが自動化されるようになっています。
また、ビットコインなどの仮想通貨を支える基幹技術である「ブロックチェーン」も、金融は人でなくシステムによって管理したほうが公正だという「非中央集権」の発想に基づいて設計されており、金融機関を経由せずに世界中へ安価に送金できる機能も備わっています。
システムによって金融が自動化される動きが進展すれば、金融機関に大勢の人材は要らなくなるでしょう。
さらには、手数料の安いネット銀行が普及し、コンビニ系の銀行が多数のATMを設置している現状では、従来型の金融機関が窮地に追い込まれるのは目に見えています。
近い将来、金融業界で大規模なリストラが行われたとしても、決しておかしくない状況です。
このように将来性が先細りしているように見えることが背景となり、金融業界の入職率が下がり、離職率も高止まりしていると考えられます。

金融業界の離職率を下げるための対策

金融業界において離職率を下げるためには以下のような対策が考えられます。

従業員の能力やレベルにあったノルマを設定する

金融業界の若手社員は、高すぎるノルマを達成できないことへの焦りと上司や周囲からのプレッシャーが原因で心身の健康に異常をきたすということが少なくありません。
心身が健康でないと、良いパフォーマンスを発揮できず、場合によっては休職や退職に繋がってしまいます。

2.新人社員に対するサポート体制を強化する

新入社員や若手の社員が困ったことがある場合は、すぐに近くの人や場合によっては第三者に相談できるような体制を構築することが必要です。
悩みを早期に解決できれば、離職を考える前の段階で問題を解消でき、離職率の軽減が期待できます。
合わせて、数年・数十年後のキャリアを描きやすいようなビジョンを掲げること、教育の支援に力を入れることにも取り組みましょう。

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今回は、金融業界における離職率の現状やその理由、離職率を下げるための対策などについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。

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