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看護師の人手不足の原因とは?具体的な対策方法、企業事例を紹介

看護師の人手不足の原因とは?具体的な対策方法、企業事例を紹介

少子高齢化に伴い、医療需要は拡大しており、それに比べて看護師は足りていないことから人手不足に陥っています。
若い看護師の採用が難しいだけでなく、離職防止にも力を入れる必要があるため、企業としては原因を分析して対策を講じることが求められます。
今回は、看護師の人手不足の状況や原因、対策、企業事例などを紹介します。

看護師の人手不足の状況

看護業界の課題として、深刻な人手不足が挙げられます。
これは、医療需要の増加や高齢化社会によりニーズが拡大する一方、看護師が十分に確保されていないためです。
看護師の人手不足を評価する指標の一つに、有効求人倍率があります。
現在の看護師の有効求人倍率は2倍以上といわれており、求人に対して半分以下の応募であることを表します。
看護師が不足すると、看護師一人あたりの業務負担が増えるため、医療・看護の質の低下を招きかねません。
また、高齢者が増加している昨今では、訪問看護や慢性疾患患者の看護、ターミナルケア(終末期医療)の需要が増加しています。
患者の安全性を守るためにも、看護師の人手不足を解消する必要があります。

看護師の人手不足に陥っている背景

看護師が不足している背景には、看護需要の拡大や労働人口の減少などが挙げられます。
ここでは、看護師が人手不足に陥っている背景を見てみましょう。

看護需要の拡大

高齢化社会が進んでいる昨今では、看護需要が拡大しています。
特に、高齢者や慢性疾患の患者が急増しており、自宅で看護を必要とする人が多くいることから、訪問看護のニーズが高まっています。
厚生労働省の「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」では、訪問看護に従事する看護師は増えているがニーズも大幅に増加しています。
そのため、訪問看護師を確保する必要があると発表しています。
しかし、実際に看護を提供する看護師は不足しており、質の高い看護を受けられないケースがあるようです。

若者の労働力人口の減少

日本では、少子高齢化による人口減少が進んでいるため、生産年齢人口(15〜64歳)も減少しています。
2024年5月1日時点での生産年齢人口は、7,371万7,000人です。
しかし、総務省が発表した令和4年版情報通信白書によると、生産年齢人口は1995年から減少しており、2050年には5,275万人まで減少することが見込まれています。

また「2025年問題」により、看護師が不足するともいわれています。
2025年問題とは、団塊の世代が2025年に後期高齢者(75歳以上)となり、日本が超高齢化社会を迎えることでさまざまな分野に影響を与えると予想される問題です。
2025年を迎えると、労働人口の不足や、医療・福祉の需要が大幅に増大します。
厚生労働省は「2025年には最大27万人の看護師が不足する」と発表しています。
このことから、現在も日本全体の労働力が減少しているなかで、特に医療や福祉業界の労働力不足も課題となっています。

離職者が多い

離職する看護師が増加していることも看護師の人手不足の要因です。
看護師の離職率は著しく高く、人材を安定して確保することが困難な状況となっています。
公益社団法人日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」によると、正規雇用看護職員の離職率は11.8%です。
10人に1人が離職している計算になりますが、看護師の有効求人倍率が高いことから、新たに人材を採用するのは簡単ではありません。
看護師の離職者が多い理由は、人手不足による労働環境の悪化が挙げられます。
離職率が高まると人手不足がさらに進行し、看護師一人当たりの負担がより大きくなるでしょう。

看護師の人手不足の原因

続いて、看護師の人手不足の原因を紹介します。
人手不足を解消するには、根本的な原因を把握することが大切です。

職場の人間関係

看護師の人手不足の原因に、職場の人間関係に悩んでいることが挙げられます。
看護師は、チームで業務に取り組み、他の医療スタッフと連携を取りながら仕事を進める職業です。
そのため、人間関係が悪化すると、連絡の行き違いやコミュニケーション不足から医療事故につながる恐れがあります。
看護師の業務は、患者の命に関わる責任の重い業務であるため、患者のことを思うあまりに周囲への視線が厳しくなる人もいます。
また、人手不足で休憩時間を十分に確保できなければ、精神的な余裕が持てずに、疲れから口調が厳しくなることもあるでしょう。

勤務時間や休暇取得への不満

勤務時間や休暇取得への不満も看護師の人手不足の原因に挙げられます。
看護師の勤務時間は、引き継ぎ作業により時間外労働が発生したり、勤務形態により勤務時間が長くなったりするため、長時間労働になりやすい傾向です。
加えて、人手不足で休憩が十分に取れない場合や、残業をせざるを得ないケースがあります。
時には、患者の急変により突発的な対応を行ったり、時間外の勉強会に参加したりする場合もあるでしょう。
また、看護師の労働環境は厳しく、有給休暇の取得率が低い傾向です。繁忙期は有給休暇の申請が通らないケースがあるため、「有給休暇が取りづらい」と不満につながります。

給与や待遇の低さ

看護師の給与は、数字だけ見ると多職種と比べて高い傾向です。
しかし「給与が低い」と感じる看護師は多くいます。
理由として、業務内容や責任に給与が見合っていなかったり、昇給率が低かったりすることが原因でしょう。
看護師の業務には、夜勤といった長時間労働や介助業務・診察補助・事務作業など、ハードな業務が多くあります。
加えて、ナースコールによる呼び出しや、緊急の対応などで病院内を駆け回ることも珍しくありません。
身体的にも精神的にも大きな負担がかかる業務内容であるため「割に合わない」と感じる看護師が多くいます。

ライフイベントで続けられない

近年は、男性の看護師が増えています。
しかし、看護師は女性のほうが比率は高く、結婚や妊娠・出産などのライフイベントを機に退職する人が多くいます。
大きな病院であれば、子育てしながらでも働けるよう、働きやすい部署へ異動できる場合もあるでしょう。
しかし、従業員が少人数のクリニックでは、看護師本人が負い目を感じて自ら退職することも少なくありません。
また、ライフイベントで仕事を続けられない理由には、配偶者の転勤も挙げられます。
自衛隊や全国に拠点のある企業などは、転勤の頻度が高い傾向にあるため、夫の転勤により転職せざるを得なくなるケースもあるでしょう。

キャリアアップのため転職する

キャリアアップのために転職するケースが多いことも看護師の人手不足の原因です。
看護師が取得を目指す資格には、実務経験が5年必要(5年のうち3年は専門分野での実務)といった、前提条件に一定のキャリアが求められる場合があります。
資格はすぐに取得できないため「〇歳までに資格を取りたい」という人は、逆算してキャリアを築く必要があるでしょう。
また「最新の医療機器がある病院で働きたい」「リハビリに重点をおいた病院で働きたい」というように、新たな経験を積むために転職を考える人も多くいます。

看護師の人手不足の具体的な対策

ここでは、看護師の人手不足の具体的な対策を紹介します。

働き方改革の実践

看護師の人手不足を解決するために、働き方改革を実践しましょう。
2019年4月(中小規模の医療機関は2020年4月)から、看護業界においても働き方改革が施行されています。
働き方改革とは、働く人々が多様で柔軟な働き方を選択できる社会を実現するための改革です。
長時間労働やライフステージに合わない働き方、労働人口減少といった問題を解決するため、労働環境の改善と生産性向上が目指されています。
この働き方改革により、看護師の時間外労働は、原則月45時間・年間360時間以内(特別な事情がある場合は、年720時間以内)に収めなければなりません。
また、有給休暇の取得や労働時間の把握が義務化されるとともに、一定時間の休憩の取得が努力義務で必要になりました。
働き方改革で定められた義務や努力義務を遂行することで、労働環境の改善につながり、人手不足の解消も期待できます。

ITツールの活用

看護師の人手不足は、ITツールの活用で緩和できます。
例えば、電子カルテや電子処方せん、マイナンバーカードを使用した情報の一元管理など、デジタル技術を導入することで看護師の業務負担が軽減できます。
業務負担が減ると、人手不足の解消につながり、患者に質の高いケアを提供できるでしょう。
また、オンライン予約システムを導入すると、予約対応の業務負担が軽減するだけでなく待ち時間や混雑を減少させられるため、患者の利便性も向上します。

給与や福利厚生の見直し

看護師の人手不足を解消するには、給与や福利厚生を見直すことが重要です。
給与を上げると、看護師のモチベーションを大きく向上させられます。
加えて、労働環境に対する不満の解消にもつながり、離職率の低下にも効果的です。
また、看護師が働きやすい環境を作るために、福利厚生を充実させることも大切です。
例えば、育児介護支援制度により、院内保育所を設置したり育児休暇を延長できたりすると、定着率の向上が期待できます。
給与アップや充実した福利厚生は、他の医療機関と差別化できるため、新たに人材を確保しやすくなるでしょう。

評価制度を見直す

評価制度を見直すことは、看護師の人手不足や定着率向上が期待できます。
評価に見合った給与を用意することで、看護師のモチベーションがアップし、優秀な看護師の定着にもつながります。
また、スキルによる給与を明確にすることも重要です。

資格取得支援などの人材教育支援

資格取得支援や人材教育支援も、看護師の人手不足の解消につながります。
キャリアアップを目指して働く看護師のために、認定看護師や専門看護師の資格取得支援制度を導入することがおすすめです。
看護師の全体的な質が高まるだけでなく、働くモチベーションの向上も期待できます。
具体的な支援には、定期的に学会や研修へ参加したり、オンライン教育を実施したりすることが挙げられます。
また、研修に必要な費用を補助することも効果的です。

人間関係の良好化・社内コミュニケーションの活性化

職場内のコミュニケーションが活発になると、チームワークが向上し、職場の雰囲気が良くなります。
その結果、看護師の定着率向上や人手不足の解消につながります。
定期的なミーティングやチーム制の導入は、良好な人間関係を築くだけでなく、質の高い看護を提供するために大切でしょう。
また、看護師同士だけでなく、多職種との連携を強化することも重要です。
活発なコミュニケーションは、看護の質が向上するうえに、仕事のモチベーション向上も期待できます。

多様な雇用形態の導入

多様な雇用形態の導入は、看護師の人手不足対策として効果的です。
公益社団法人日本看護協会では、仕事が継続できることに意味があるとして、多様な勤務形態を推進しています。
働き方の例は、以下の通りです。

  • 短時間正職員制度:フルタイムの正職員より所定労働時間が短い職員を正職員とする
  • 時差出勤、終業:勤務の開始・就業時間を、職員によって変える
  • フレックスタイム:職員が始業・就業の時間を決定する
  • 圧縮労働時間制:一日の労働時間を延ばし、週の労働日数を少なくする
  • ワークシェアリング:一人が担当していた業務を、複数人で分担する
  • 交代制勤務の選択:2交代・3交代を選択できる

看護師の人手不足対策でTHANKS GIFTを活用している企業事例

看護師の人手不足対策でTHANKS GIFTを活用している企業事例を紹介します。

医療法人 秋田病院

医療法人秋田病院では、従業員一人ひとりの「組織を盛り上げよう」という気持ちが薄れていました。
長く働いてもらうには「組織に貢献したい」と思ってもらえる工夫が必要だと考え、THANKS GIFTを導入しました。
従業員同士のコミュニケーションが活発になり、仲間意識や帰属意識が生まれることで離職率低下につながるのではないかと考えての導入です。
THANKS GIFTの導入後は、コミュニケーションの質が変化しました。
今まで伝えられなかった感謝を伝えることで、病院全体の雰囲気が良くなったと感じたそうです。
また、THANKS GIFTでは好きな福利厚生が選べるため、従業員満足度の向上が実現できました。

社会医療法人長崎記念病院

社会医療法人長崎記念病院では、看護師不足や定着率に課題があり、離職対策を行う必要がありました。
しかし、コロナ禍の影響や職場の場所の関係から飲み会の開催が難しく、コミュニケーションの機会が減ります。
そこで、職員同士のつながりを深めることで離職を防止したいと考え、THANKS GIFTを導入しました。
THANKS GIFTの導入後は、サンクスカードのやり取りに加えて、掲示板で集会の募集をかける人も現れ、コミュニケーションが促進されていると感じました。
また、看護師同士だけでなく、職種を越えて活発なコミュニケーションが取れることを期待しているそうです。

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