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2020年から中小企業も施行の「働き方改革法案」とは?

2020年から中小企業も施行の「働き方改革法案」とは?

「働き方改革法案」は2020年から中小企業にも施行されつつあります。

中には、実際には何がどのように変わったのか今ひとつ理解できていない企業もあるかもしれません。

しかし、対応によっては罰則をともなうこともあるため、きちんと内容を把握して順守することが重要です。

そこで、今回は「働き方改革法案」とは何か、ポイントを絞ってわかりやすく紹介します。

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「働き方改革法案」とは?

働き方改革法案とは、正しくは「働き方改革関連法」といいます。

2018年6月に成立し、2019年4月から施行が開始した労働関係法の改正に関する法律のことです。

日本は、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が懸念されています。

さらに、介護や育児との両立を図った働き方が求められています。

働き方改革関連法はこれらの課題の解決を目指し、労働者が多様な働き方を選択できることが目的です。

労働者がそれぞれの環境に適した働き方をするためには、大手企業だけでなく中小企業もしっかり対応しなければなりません。

働き方改革関連法では

  • 有給休暇
  • 時間外労働
  • 残業時間外労働の割増賃金
  • 勤務間インターバル制度
  • 同一労働同一賃金

上記の5つが主なポイントとなっています。

ポイント1:「年次有給休暇の時季指定」

2019年4月に施行されたのが「年次有給休暇の時季指定」です。

雇用者は、法定年次有給休暇が10日以上付与されている労働者に対して、毎年5日間まで確実に有給休暇を取得させなければなりません。

年次有給休暇の時季指定とは、雇用者が時季を指定して有給休暇を取得させることです。

ただし、時季を指定する前に労働者から十分な聞き取りを行い、希望を尊重する必要があります。

雇用者が一方的に時季を指定するものではないため、注意しましょう。

これまでは、労働者が自ら有給を希望するのが一般的な取得方法でした。

しかし、それでは有給休暇を消化しない労働者も出てきます。

つまり、年次有給休暇の時季指定によって、なかなか有給休暇を取らない労働者にも雇用者が取得させる義務を負うということになります。

もちろん、これまで通り労働者が希望して有給休暇を取ることもできますし、その分は5日から控除します。

年次有給休暇を付与するのは

  • 半年間継続して雇われていること
  • 出勤日数が全労働日数の8割を超えていること

の2つを満たしている労働者が対象です。

さらに、雇用者は対象となる労働者の年次有給休暇日数や時季などを記録し、そのデータを3年間保存しなければなりません。

もしも有給休暇を取得させなかったり就業規則に時季指定についての記載が漏れていたりすれば、30万円以下の罰金が科せられるため注意が必要です。

ポイント2:「時間外労働の上限規制」

「時間外労働の上限規制」は大手企業は2019年の4月に施行され、中小企業も2020年4月から対象になりました。

時間外労働の上限規制では、月45時間、年間にすると360時間を超える時間外労働をさせることが原則としてできません。

月45時間とは、1日当たりに換算すると2時間程度です。

臨時的な特別な事情がある場合のみ、この時間を超えて労働させることも可能ですが、その場合でも月100時間、年間にして720時間を超えないことが決められています。

また、月当たりの時間外労働が45時間を超えていいのは年間6カ月までです。

これは、休日労働を含めた時間のことで、必ずしも残業だけが該当するわけではないため、十分注意しましょう。

もしも違反した場合は、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科される可能性が出てきます。

これまで時間外労働が日常化していた労働者がいる企業では、違反しないよう見直しと告知の徹底が必要です。

ポイント3:「法定割増賃金率引き上げ」

「法定割増賃金率引き上げ」についてはすでに施行されており、月当たりの時間外労働時間が60時間を超えた時点で法定割増賃金率を50%以上にしなければなりません。

しかし、中小企業については経営面での配慮がされ、これまでと同様の据置となっています。

そのため、中小企業の場合は、時間外労働が月60時間を超えたときでも法定割増賃金率は25%以上となっています。

ところが、2023年4月からは中小企業も法定割増賃金率引き上げの対象となり、法定割増賃金率を50%以上にするのが原則です。

これに違反すると、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる恐れが出てくるため、注意しましょう。

違反にならないためには、時間外労働時間をきちんと把握することが重要なポイントです。

また、できるだけ業務の効率化を図り、労働者の時間外労働が増えないようにすることも求められます。

ポイント4:「勤務間インターバル制度」

「勤務間インターバル制度」とは、就業時間から次の始業時間までに一定時間の休息を設けることです。

勤務間インターバル制度は2019年4月に施行されたもので、労働者が必要な睡眠をとって疲れを取るとともに、心身ともに健康な状態を維持することを目的としています。

実は、勤務間インターバル制度については、明確な時間や罰則は決められていません。

休息時間についてはそれぞれの企業に任せられています。

「働き改革関連法実務対策」が作成し公開している「勤務間インターバル制度導入促進」によれば、国が推奨している休息時間は9〜11時間としています。

そのため、導入にあたってはこの時間を基礎として設定するといいでしょう。

前述したように導入について義務化されているわけではなく、罰則はありません。

しかし、十分な休息を取ることは、質の高い労働や人材離れの防止につながります。

健全な労働環境を整えるためにも、自社に合った休息時間の設定が求められます。

ポイント5:「同一労働同一賃金」

「同一労働同一賃金」とは、正規雇用者と非正規雇用者の格差を改善するために策定されたものです。

これまで、たとえ同じ業務を行っていたとしても、雇用形態によって待遇に差が出るのが一般的でした。

しかし、企業によっては契約社員もいればパートタイムで働く労働者もいます。

中には、業務内容に変わりはないのに、育児や介護を理由にパートタイム勤務を選択した労働者もいるでしょう。

同一労働同一賃金といっても、基本給やボーナス、昇給だけが対象ではありません。

賃金の面はもちろん、福利厚生や教育訓練なども対象です。

他にも、家族手当や住宅手当てなど、労働に対して待遇差が出ていないか見直しが求められます。

改めて労働者一人ひとりを見直し、待遇に問題がないか検討することが重要です。

そのうえで、全員参加型の社内イベントや表彰制度などを設けるのも、労働者の格差を改善する方法の一つといえます。

従業員が定着・活躍できる環境を整えよう

今回は、中小企業にも施行が開始されている働き方改革について5つのポイントに絞って紹介しました。

働き方改革は、従業員がより働きやすくなることを目的とされた法案で、働き方改革と合わせて自社に適した環境を整備することによって、その効果は大きくなります。

ぜひ、法律への対応を行うとともに、自社に適した環境を整えることによって、従業員の定着・活躍を支援しましょう。

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