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家族手当とは?扶養手当との違いや導入のメリット・デメリットを紹介

家族手当とは?扶養手当との違いや導入のメリット・デメリットを紹介

始まりは大正時代ともいわれ、多くの企業が導入している「家族手当」。
日本社会に定着している制度ですが、家族の在り方が変わって制度を廃止したり、見直しを始めたりする企業も増えています。
今回は、家族手当の概要や扶養手当との違い、家族手当導入のメリット・デメリットについて紹介します。

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家族手当とは?

家族手当とは、配偶者や子どもなどの家族がいる従業員に対して雇用主が支給する手当で、福利厚生の1つです。
家族が増えれば増えるほど、生活や子どもの養育にかかる出費はかさんで家計を圧迫します。
家族手当は、こうした家計の負担を軽減し、経済的な面から安心して働き続けられる環境を支える目的で支給されています。
家族手当の対象となる条件や金額は、配偶者の収入状況や家族構成、人数などに応じて各企業が定めており、統一したものではありません。
一般的には、従業員の配偶者、子ども、両親を対象とすることが多いですが、「6親等内の血族及び3親等内の姻族」「都道府県知事から養育を委託された児童」「市町村長から養護を委託された老人」などを対象としている場合もあります。
企業に対して法律上の家族手当支払い義務はなく、支給するかどうかの判断は各企業にゆだねられています。

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家族手当の支給金額の相場

人事院の「令和2年職種別民間給与実態調査」によると、家族手当制度を設けている企業は全体の75.9%で、企業の規模による差は大きくありません。
配偶者に家族手当を支給している企業は全体の79.1%に上り、そのうち85.6%の企業が「家族手当の支給要件に配偶者の収入による制限がある」と回答しています。

厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、令和元年11月に支給された家族手当(扶養手当、育児支援手当などを含む)の平均支給額は1万7600円です。
こちらは企業規模によって金額に大きな差があり、従業員数1000人以上の企業では2万2200円なのに対し、30~99人の企業では1万2800円となっています。

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「家族手当」と「扶養手当」の違い

家族手当とは、扶養の有無にかかわらず家族がいる人に支給される手当、扶養手当とは扶養している家族がいる人に支給される手当で、大きな違いは「扶養」の有無です。
企業によっては、扶養の有無が家族手当の支給要件になっていることもありますが、厳密にいえば、これは扶養手当のことを家族手当と呼んでいるケースといえるでしょう。
共働きの妻、アルバイト収入のある子ども、公的年金支給を受けている親などで一定額以上の収入があって扶養から外れている場合は、扶養手当の対象にはならない場合があります。

人事院の「令和2年職種別民間給与実態調査」によると、家族手当を支給する要件に配偶者の収入による制限を設けている企業のうち、収入制限額で最も多いのは45%で103万円、次に多いのは31.7%で130万円でした。
103万円とは、所得税がかからない配偶者の収入の上限で、配偶者の収入が103万円以下であれば納税者は配偶者控除を受けることができます。
130万円とは、国民年金や健康保険、社会保険などの面で、扶養家族になることができる収入の上限です。
収入が130万円を超える配偶者や子どもなどの家族は、扶養家族となることはできません。
税制上の扶養と社会保険上の扶養の範囲を支給の要件としている企業が多く、家族手当という名称であっても実質的には扶養手当のケースが含まれると考えられます。

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家族手当を導入するメリット

家族手当を導入するメリットは、従業員の経済的な負担が軽減され、会社に対する満足度が向上することです。
ボーナスなど金額が変動する手当と異なり、家族手当は毎月、決められた金額が支給されるため、家族のいる従業員にとって非常に助かる制度であることは間違いないでしょう。
従業員の会社に対する満足度が上がれば、離職率の低下を防ぐ面でも良い影響が出ると考えられます。
また、就職・転職先を選ぶ際にも「福利厚生が充実している」ことはプラスポイントとして働くため、人材の確保にも一役買うでしょう。

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家族手当を導入するデメリット

家族手当を導入するデメリットは、単身者をはじめとした従業員に不公平感を与えてしまう可能性があることです。
給与体系が年功序列から実力・成果主義へと移り変わっている中で、家族構成による給与の差を問題だと考える人も増えています。
従業員から「古い体制が残っている会社」「会社をよりよく変革する姿勢が見られない」と判断される可能性も否定できません。
また、家族手当を支給する際には、支給要件に違反する「不正受給」を防ぐ必要があり、定期的に従業員に対して確認を行う手間もかかります。
共働き世帯の増加によって家族手当の対象となる従業員が減っているため、家族手当を支給することによる業務上の負担が相対的に重くなってしまう可能性もあるでしょう。

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企業における家族手当導入の現状

家族手当を導入する企業の割合は、以前と比べると減っています。
平成15年には全体の86.3%に支給されていましたが、平成20年には80%になり、平成25年には76.5%、そして令和2年には75.9%にまで減少しました(人事院「職種別民間給与実態調査」平成15年、20年、25年、令和2年)。
その要因は、共働き家庭が増えたことや、配偶者控除の改正、事実婚、別居といった家庭の在り方など多岐に渡ります。

人事院の「平成30年職種別民間給与実態調査」によると、配偶者に家族手当を支給している事業所の14.2%が家族手当を見直す予定、または見直すことについて検討中だと答えています。
今後、家族手当を支給する会社が減る可能性は高いといえるでしょう。
一方で、令和2年時点で、全体の75.9%が家族手当を支給しているという数字は、決して少ないものではありません。
家族手当がなくなるということは従業員にとって不利益であり、大きな反発が予想されます。
不利益変更には従業員の同意も必要です。
そのため、家族手当をなくしてしまうのではなく、時代に則した不公平感のないシステムに変えていく動きが多くの企業で生まれています。
家族手当は大正時代に始まった制度とも言われており、結婚する人が多く男性が外で働き、女性が家庭を守ることが一般的だった時代に合わせて広まっていきました。
家族や結婚の在り方が変化する中、今後どのような形に変化していくのか、注目される手当だといえるでしょう。

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