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企業内保育所とは?導入メリットや大手などでの導入事例を紹介

企業内保育所とは?導入メリットや大手などでの導入事例を紹介

女性の社会進出が進み、共働き世帯が増えることで従業員が頭を悩ませることの1つが「子どもの預け先」です。
都市部では待機児童問題が深刻化し、泣く泣く退職せざるを得ない人も少なくありません。
そのような状況の中、近年普及しつつあるのが「企業内保育所」です。
今回は、企業内保育所の基礎知識を踏まえ、導入のメリットや注意点、実際に導入している企業の事例などについて紹介します。

企業内保育所とは?

企業内保育所とは、企業が自社で働く従業員のために開設した保育所のことです。
一般的には企業がオフィスを構える建物内や近隣に開設されることが多く、従業員が気軽に利用しやすい環境が整っています。
厚生労働省が公表した「平成29年度認可外保育施設の現況取りまとめ」によると、事業所内保育施設数は平成30年3月現在で5626箇所あり、前年の4766箇所と比べて大幅に増加していることがわかりました。

上記のように企業内保育所の需要が増えているのは、やはり女性の社会進出が進んだためです。
共働きを実現するには、子どもを保育所に預けなければなりません。
しかし、共働き世帯が全国的に増加したことで、特に都市部では保育所に空きがなく入園できない「待機児童問題」が深刻化しています。
子どもの預け先がなければ、両親のどちらかが仕事を諦めるしかなく、本当は働きたいのに泣く泣くキャリアを諦めるケースも多くありました。
このような状況で退職することは、本人はもちろん貴重な人材を失う企業側にとっても大きな痛手です。
そこで、望まぬ退職を防ぎ、女性の社会進出を支援するために、企業が従業員の子どもを優先的に預かる保育所を開設するようになったのです。

企業内保育所の種類と特徴

企業内保育所は、

  • 事業所内保育所
  • 企業主導型保育所

の2種類に分けられます。

どちらも主に従業員の子どもを預かるための施設という点は同じですが、認可や導入コストなどに違いがあるため注意が必要です。

事業所内保育所とは?

事業所内保育所は市区町村の認可が必要であり、保育内容などは市区町村が定めルールに従う必要があります。
定員や確保する保育士の数、子ども1人当たりの保育スペースなどさまざまな規制があるため、開設には手間がかかるかもしれません。
預かる子どもの年齢も0~2歳児までであり、それ以降は連携する保育園などに入園する流れが一般的です。
また、定員の4分の1は地域枠として従業員以外の親にも開放しなければならないため、100%従業員のための保育所として運営するのは難しいでしょう。
なお、大企業の場合は全体の3分の1、中小企業は全体の3分の2まで、国から導入コストの助成を受けることができます。

企業主導型保育所とは?

一方の企業主導型保育所は、企業が独自の保育施設を開設し、従業員と直接契約して保育サービスを提供するスタイルです。
市区町村の認可を受ける必要がないため、ルールに縛られない柔軟な保育サービスを提供できます。
預かる子どもの年齢にも制限がなく、地域枠を開放する義務もないので、従業員の利便性だけを追求した満足度の高い保育所を開設することも可能です。
導入コストは企業規模にかかわらず最大で95%まで助成されますし、自社での運営が厳しくなったら外部委託するという方法もあるため、導入のハードルは低いでしょう。

企業内保育所を導入するメリット

1.従業員の離職を防ぐことに繋がる

企業内保育所を導入する大きなメリットは、妊娠・出産に関連した従業員の離職を防ぎやすいという点です。
特に待機児童問題が深刻な都市部の場合、子どものために母親や父親が離職してしまうケースも珍しくありません。
経験やスキルを持つ従業員が離職してしまえば、新しい人材の採用・教育にコストや時間がかかり、生産性も低下してしまいます。
離職率が高くなることで、社会的なイメージが悪化する可能性もあるでしょう。
この点、企業内や近隣に子どもを確実に預けられる保育所があれば、親は離職する必要がありません。
待機児童問題による離職を避けることができ、離職率や生産性の低下を抑えられるというのは、企業・従業員双方にとって大きなメリットです。

2.従業員が安心して仕事を行える

親子がすぐ近くにいるため、何かあったときにすぐ様子を見に行ける点も魅力です。
ランチを一緒に食べたり、お迎えの時間ギリギリまで仕事をしたりすることも可能であり、親は安心して仕事に打ち込めるようになるでしょう。

3.福利厚生として、喜ばれる

企業内保育所を完備している企業はまだ多いとは言えず、福利厚生の一種としても大きなアピールポイントになります。
子どもや働く女性を大切にする企業だというイメージアップにもつながり、子どもがいる人だけでなく将来的に出産を考えている人も求人募集に応募してくれる可能性が高まるでしょう。

企業内保育所を導入する際の注意点・デメリット

数多くのメリットが期待できる一方で、企業内保育所の導入には注意点もあります。

たとえば、オフィスまで子どもと一緒に通勤しなければならない点、行事や保育の質が不十分な点などは従業員にとってデメリットになるでしょう。
よほど大きな規模のオフィスでない限り、預かるのは少人数となるため、子どもに集団行動が身につきにくいという点も注意したいポイントです。
企業にとっても、企業内保育所を運営すると、施設の管理から集客、助成金の申請など本来の業務以外にさまざまなコストや手間をかけなければなりません。
期待できるメリットとコスト・手間などを慎重に比較し、無理のない範囲で導入・運営できる体制を検討することが大切です。

企業内保育所を導入した企業事例

GMOインターネットグループの企業内保育所導入事例

インターネット関連事業を扱う「GMOインターネットグループ」は、2011年と比較的早い段階で社内託児所を開設しています。
「世界一の託児所」を目指し、単なる事業所内保育所の枠を超えて本格的な保育サービスを追求することで、従業員が安心して我が子を預けられる環境を整えました。
通勤ラッシュ時を避けられるように出勤時間の変更に対応したり、オムツやお昼寝用の布団など保育に必要なものはすべて託児所側が準備したりするなど、万全のサポート体制で運営されています。
お迎えの時間に遅れる場合は臨機応変に延長も可能など仕事への理解も深く、親は安心して仕事に集中できるようです。

株式会社ヤクルトの企業内保育所導入事例

飲料メーカーである「株式会社ヤクルト」では、飲料を販売する多くのヤクルトレディを支えるため、全国各地に1200か所にも及ぶ企業内保育所を開設しました。
1970年代には保育所運営を始めており、企業内保育の先駆けとも言える企業です。
年齢に合わせた教育カリキュラムの実施や、小児MFAライセンスの資格を取得した保育者の配置など、質の高い保育サービスを提供しています。
企業側が費用を一部負担しているため毎月の利用料金がかなり安く、子ども1人あたり月額6000円程度しかかかりません。
2人目からはさらに安くなるなど、経済的にも嬉しい環境が整っています。

三井アウトレットパーク木更津の企業内保育所導入事例

三井アウトレットパーク木更津では、大型商業施設でも多くの女性従業員が働きやすい職場づくりや新規採用などの観点で企業内保育所を導入しています。
勤務場所から保育所が遠い場合は負担も大きい上、お昼休みなどの休憩時間を利用して子供の様子を見れることから非常に満足度が高く、従業員の定着や新規採用にも良い効果が出ています。
今後も系列の商業施設でも増やしていく予定になっています。

従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

今回は、企業内保育所の概要、導入のメリットや注意点、実際に導入している企業の事例などについて紹介しました。
会社からの制度や休暇、褒賞の支給は非常にありがたいもので、従業員の生産性を向上させたり、エンゲージメントを高める効果も期待できますので、自社に合ったもの福利厚生を検討してみてはいかがでしょうか。

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