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アンダーマイニング効果とは?発生する原因と対策を紹介

会社の業績を高めるには、社員のモチベーションが欠かせません。
モチベーションは動機付けによって生み出されますが、動機付けが内発的なものから外発的なものに変わる「アンダーマイニング効果」を引き起こしてしまうと、モチベーションが低下します。
そこで今回は、アンダーマイニングの意味や発生する原因と対策について紹介します。

アンダーマイニング効果とは?

アンダーマイニング効果とは、心理学者エドワード・L・デシ氏とマーク・R・レッパー氏によって判明した現象で、動機付けが内発的なものから外発的なものにかわることで、モチベーションが下がってしまうことを指します。
内発的な動機付けとは、興味や関心から自主的にやりたいと考えることで、外発的動機付けとは、「やると収入が上がる」「やらないとペナルティになる」といった理由からやろうと考えることです。

基本的に外発的な動機付けよりも内発的な動機付けのほうが、モチベーションが上がりやすいとされているため、社員のモチベーションを高めたいのであれば、内発的な動機付けをしてあげることが重要です。
動機付けが内発的なものから外発的なものに変わる例としては、「好きなことを仕事にして収入を得たら、つまらなくなって辞めてしまった」というケースが挙げられます。
これは「好きという気持ち(内発的な動機付け)」から、「仕事=お金(外発的な動機付け)」に変わってしまったから起こってしまいます。

アンダーマイニング効果が発生する原因と具体例

アンダーマイニング効果は「好き」でやっていたことが報酬を与えられた途端、目的が「好き」が「お金」に変わり、モチベーションが下がってしまうことで発生します。
例えば、「お母さんの手助けをしたいという気持ちからお手伝いをしていたら、あるとき100円のお駄賃をもらった。これを境に、お手伝いをする動機が『手助けしたい』から『お駄賃』にすり替わってしまった。大きくなると、100円のお駄賃では安すぎると思うようになった。そのため、お手伝いをしなくなった」といったことが挙げられます。
社会人であれば、「好きで自主的にやっていたことが昇給につながった。どうせやるなら昇給につながらないと損と考えるようになった。その結果、自主的にはやらなくなった」といったケースが当てはまるでしょう。

こうした有形の「報酬」以外にも、「会社からのノルマの設定」「同僚との競争」といったペナルティがアンダーマイニング効果を引き起こす原因として挙げられます。
例えば、「これまでの経験を活かしてみたいという興味から自主的にしていた仕事を、会社がノルマとして設定した。その途端、無理やりやらされている気がして、モチベーションが下がってしまった」ということが挙げられます。

アンダーマイニング効果を防ぐための対策

人間には本能的に「自分のことは自分で決めたい(自己決定感)」「自分の能力を高めたい(有能感)」といった欲求が存在します。
こうした欲求が低下すると、アンダーマイニング効果が発生します。
このことより、自己決定感や有能感を低下させないように、物質的な報酬を与えず、他人(会社)から支配されていると思わせないことが大切なのです。
とはいえ、一生懸命仕事をしている社員に対して報酬は必要です。

研究によって、物質的な報酬ではなく言語的な報酬であれば、モチベーションは低下しないことが判明しています。
物質的な報酬とは昇給のことで、言語的な報酬とは称賛の言葉です。
つまり、社員が自主的に行っていることに対して、報酬を与えつつもモチベーションを低下させずに続けてもらうためには、感謝や賞賛の言葉をかけることが重要です。
しかし、いきなり「頑張っている社員を称賛しましょう」と言われても、どうすればよいのか分からない社員も多いと思いため、社内で称賛を日常的に行う仕組みづくりが大切です。
具体的には、以下のようなことに取り組んでください。

サンクスカード

サンクスカードとは、仕事を通して感謝した気持ちを名刺サイズのカードに書いて、社員同士伝え合うというツールです。
サンクスカードを使えば、言語的な報酬を自然な形で送ることができ、社内のコミュニケーションの活性化、居心地のよい職場作りに繋がるだけでなく、離職率を低下させることにも寄与します。
とはいえ、いきなり「今日からサンクスカードを送り合いましょう」と言っても心理的なハードが高いものですので、プロジェクトチームを組閣するなどして、少しずつ社内に浸透させていくようにしましょう。
また、広めていくには「内容にこだわらない」「気づいたらすぐに渡す」ことも重要です。

↓サンクスカードについて紹介した記事はこちら↓
「サンクスカード」とは?導入方法と運用で気を付けるべきポイント

社内報

社内報がある会社であれば、頑張った人を紹介するコーナーを作ってみてはどうでしょうか。
社員全員が目を通すものですので、紹介された方はモチベーションが上がることはもちろん、それを見た同僚も同様の仕事を行うなどといった良い循環を作ることにも繋がります。
社内報で新入社員やイベントなどの紹介を行えば、社内のコミュニケーションを活性化させることもできます。
さらに、社長の言葉を掲載すれば、普段接することができない経営陣の考えていることが会社全体に浸透します。
さまざまなメリットが得られるため、現在、社内報がない会社も取り入れてることがおすすめです。

↓社内報発行の目的や効果について紹介した記事はこちら↓
社内報を発行している企業の目的や効果とは?成功企業の事例を紹介

エンハンシング効果を発生させる方法

外発的な動機付けの中でも言語的な報酬によって、自主的にやろうという気持ちが高まることを「エンハンシング効果」と言います。
ただし、言語的な報酬であればどれも同じ効果が生まれるわけではなく、褒められる人によって、その効果は変わります。
例えば、苦手な上司よりも尊敬している上司から褒められるほうが、モチベーションは高まります。
また、「むかつく上司を見返してやりたい」という動機付けよりも「憧れている上司から褒められたい」という動機付けのほうが効果的です。
つまり、会社でエンハンシング効果を得たいのであれば、上司と部下の関係に注目することが大切です。
定期的に面談を行うことなどで、従業員の性格や価値観、スキルセットなどを把握した上で、人員配置を行いましょう。

従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

今回は、アンダーマイニングの意味や発生する原因と対策などについて紹介しました。
従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。

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